刃部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 14:58 UTC 版)
刃に用いられる素材は高い硬度と靭性が求められる。永切れや曲がりにくさをもたらす硬度と、欠けにくさや折れにくさをもたらす靭性は相反する性質があることから、基本的に使用する用途により鋼材等の素材やその熱処理法が使い分けられる。 鉄・鋼 鉄や鋼は、現代に至るまで広くナイフに利用され、多くは炭素鋼系もしくはステンレス鋼製である。炭素鋼は高い硬度と鋭利な刃先を得られる反面、錆びが生じやすい。ステンレス鋼は錆が生じにくい利点はあるが、被加工性が悪く、また炭素鋼ほどの切れ味は得られないことが多い。 炭素鋼 一般向けのポケットナイフなどでは少数となりつつあるが、ヨーロッパなどの伝統的なナイフメーカーが炭素鋼のナイフを製造している。電工ナイフなどもケーブル加工でビニール皮膜を切削する際「押し切る」という形で常に鋭さを求められることから、炭素鋼のものが多い。 ステンレス鋼 ステンレス鋼は鋼の一種であり、それを構成する金属元素の組成によって様々な特性を持ち、大量生産に多く用いられている。現代の主要なナイフメーカーから個人のカスタムナイフ製作者まで幅広い層に受け入れられている。 製法 炭素鋼の場合は製造の過程で鍛造工程が入るナイフも多く、この工程如何によってもナイフの性能・性質が左右される。鍛造工程の中にはダマスカス鋼のように、他の金属と重ね合わせる場合もある。日本刀のような複合構造をもつナイフも、ナイフビルダーによって製作されている。 ステンレス鋼の場合はロバート・ウォルドーフ・ラブレスのストック&リムーバル法に代表されるグラインダーによる削り出し製法が多い。ストック&リムーバル法では鋼材を削り出しそのまま熱処理を施すため、あらかじめ性質を調整された鋼材を選択し使用する必要がある。 表面の加工もいくつか種類があり、鏡面状になるまで研磨するミラーフィニッシュや、表面に塗料や化学処理で被膜を形成させるコーティングなどがある。ミラーフィニッシュは使用時に汚れや脂が着きにくく切れ味が維持しやすいという利点がありハンティングナイフに使用されることが多い。コーティングは光を反射しにくく目立ちにくいという利点があり軍隊で使用するナイフに多い。またこのコーティングに窒化処理など高い硬度を持つ被膜を形成させるものを使用し潤滑性、耐摩耗性、耐疲労性の向上を図る場合もある。
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