遠山茂樹とは? わかりやすく解説

遠山茂樹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 15:04 UTC 版)

明治維新」の記事における「遠山茂樹」の解説

マルクス主義歴史学立場から、長州藩維新主体典型みなした上で明治維新天皇制絶対主義成立とみなす遠山茂樹『明治維新』(1951年岩波書店)が主流地位占めた。 遠山茂樹は以下のように明治維新説明する江戸幕藩体制は、武士階級という「封建権力」が、上層農商層を抱きこんで、耕作農民抑圧して天保の改革失敗したに対して雄藩藩政改革成功させた。 外圧については、中国西欧半植民地となったに対して日本が一応の政治的独立維持できたのは、幕末民衆運動直接排外運動に赴かず、反封建闘争集中するなど、日本階級闘争発展しており、「日本民衆近代化の力」が中国より勝っていたからであった尊王論は「反幕府」でも「反封建」でもなく、また国体強調するものでもなく、世界普遍的にみられる権力正統方式一種とし、攘夷論近代的ナショナリズムとは無縁なものとした。 幕府外交政策消極的で退嬰的であり、混迷深めたことから、尊王攘夷派は「攘夷のための尊王」から「尊王反幕のための攘夷」へと変化し合理的判断失い絶対主義成立への見透し掴めなかった。これに対して長州英米四国連合艦隊との攘夷戦争惨敗したことで、下級武士名分論超える実践力を獲得し、さらに藩権力奪取したことで「開明的軍事官僚」「絶対主義官僚」へと変貌した英仏攘夷運動止め刺し日本半植民地市場として確定させたが、攘夷派も佐幕派英仏外交官指導絶対主義改革意識するようになった1866年幕府長州征伐失敗した頃、全国打ちこわしや一揆が頻発したことで、公議政体論浮上し、これにより封建権力崩壊せずに権力集中強化させる絶対主義運動生じた民衆運動ええじゃないかという非政治的なものに逸脱し、「下からの革命」は瓦解した。こうして明治維新王政復古という矮小な政権移動とどまり、「天皇奪い合い宮廷陰謀となった新政府御誓文公議世論仁政宣伝したが、版籍奉還後の廃藩置県という「第二王政復古クーデター」を起こし、「啓蒙専制政治」を基調とした。地租改正では税負担軽減されず、租税近代化でなく、封建的貢租継承とどまったが、徴兵令封建武士団粉砕した学制は、徳川家が「由らしむべし知らしむべからず」と愚民政策とっていたのに対して、「人民」に変える開明政策であった福沢諭吉の思想本質近代市民革命でなく、啓蒙専制主義にあった征韓論政変以後は、下野グループ民権論国権論従属するものであったが、「下からの自主」の動き見られた。 三谷博によれば遠山説では、天皇幕府対立大変動発端であったことが黙過され、国際環境よりも国内条件重視されまた、昭和史のイメージ維新史に投影してファシズム維新当初から存在してたように語り政治運動においては長州維新主体として着目する一方で薩摩越前藩などの公議政体論軽視または無視し外国勢力ではイギリス排他的に重視するなど、階級闘争史観影響一元論二元対立に傾いた過度に単純化され政治史となった遠山説は、仮説述べ実証研究促す宣言の書であり、以後継承され研究潮流では、徳川将軍旧幕臣の開明派、譜代大名研究軽視されたり、政治史経済史乖離するといった研究偏り生んだ遠山は、体制権力下層階級全面対立好み、それが見られないことを不満げ説明するが、明治維新の持つ複雑性説明としては不適当で、支配身分武士)の消滅世界史上で際立つ特徴であるがまだ解明は十分でなく、また世界革命史において維新著しく犠牲者少ないこと、また「復古象徴利用フランス革命にも認められることで日本特殊ではないこと、また「復古」の参照先律令時代でなく神話であったことは復古の名の改革自由度与えたこと、などを三谷指摘した上で遠山大振り思考の展開には感銘受けた評した遠山以降田中彰明治維新政治史研究』(1963年)も標準的な研究となった長州藩維新主体典型とみなす見方に対して公武合体派薩摩藩重視する毛利敏彦明治維新政治史序説』(1967年)も登場したが、この時期までの研究は、倒幕派敗れた東北諸藩倒幕派でも佐幕派でもない中間的な立場諸藩役割軽視していると後に批判された。

※この「遠山茂樹」の解説は、「明治維新」の解説の一部です。
「遠山茂樹」を含む「明治維新」の記事については、「明治維新」の概要を参照ください。

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