近代の常滑焼とは? わかりやすく解説

近代の常滑焼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 09:11 UTC 版)

常滑焼」の記事における「近代の常滑焼」の解説

明治時代になって株仲間のような規制がなくなると新規に陶器生産参入する家が増えていく。そして、明治常滑では近代土管という新たな主力製品があり、その生産従来の窯屋だけでは供給しきれないほど大量需要があった。土管は英語のEARTHENWARE PIPE訳語とされる常滑では江戸末期赤物土樋があり、文久年間鯉江方寿美濃高須侯の江戸屋敷上水道用として用いる真焼土作って納めたという記録がある。しかし、近代土管生産土樋とは異な規格化され製品明治5年横浜の新埋立地下水工事に伴う注文鯉江方寿のもとにもたらされたことに始まる。その設計お雇い外国人リチャード・ブラントンであった。はじめ瓦の材質作られ土管強度難があるということで、常滑の真焼甕のように作ることを求められた。この注文従来常滑焼技術だけでは充分に対応できず、江家出入りしていた大工発案した木型用いて作る方法ブラントン求めた規格通り製品納めることができたとされるその後鉄道網整備される灌漑用水路線路分断されるため暗渠水路強固な素材で通す必要があり、分厚くて硬く焼き締まった特厚の土管大量に求められた。また、都市での疫病大きな問題となるに従い上下水道分離求められ土管需要増大する一方であった。こうした状況江家だけでは生産追いつかず、江家はその技術解放して常滑をあげて土管生産対応するようになっていく。 タイル中心とする建築陶器生産明治末年ころから開始されるが、大正期フランク・ロイド・ライト設計になる帝国ホテル採用されスクラッチタイルテラコッタなどを常滑生産して以降急速にその生産量増加していく。帝国ホテル開館祝い催されていた大正12年9月1日関東大震災発生したであったそれまで近代建築多く煉瓦積みであったのに対し帝国ホテルコンクリート用いており、震災の影響見た目にはそれほど大きくなかった。そして、その後鉄筋コンクリート建築普及するとともに建築陶器需要急速に増大していくことになる。 幕末から常滑焼業界リーダー位置付いた鯉江方寿明治期近代土管量産軌道乗せ、さらに輸出用陶磁器生産にも取り組んだ。しかし、江窯の試作品は高級品志向強く本格的に輸出されるようになったのは朱泥龍巻しゅでいりゅうまき)と総称される製品群であった明治10年代試作され2030年代本格的に輸出され朱泥龍巻北米主要な市場としていた。朱泥土を用い壺や投入花瓶などを作り、その表面石膏型成型した龍を中心とした薄板状の文様貼り付けてレリーフ状の装飾したもの朱泥龍巻であるが、常滑から神戸送られ、そこでさらに漆や金箔などを用いた加工施されていた。明治末になると朱泥龍巻急速に商品価値失い大正期には新たに素焼き生地に漆を塗り様々な装飾加えた漆器(とうしっき)が輸出品として生産されるうになる鯉江方寿業績として、明治11年清朝末期文人宜興窯茶器製法知っていた金士恒という人物招聘し、常滑陶工に、その技法伝習させたというものがある。明治期常滑煎茶器生産は、多く名工によって担われていたが、産業として量産されるような段階には至っていない。それは、大正・昭和戦前期においても同様で植木鉢火鉢の方が主要な製品であった。 近代の常滑焼は、初め連房式登窯大窯焼かれていたが、明治33年結成され常滑陶器同業組合明治34年度の事業として取り組んだ倒焔式の石炭窯の試験成功したことで、石炭窯が急速に普及し大正・昭和主役となる。しかし、町中黒煙覆った石炭窯も昭和45年改正大気汚染防止法」のころから重油へと燃料転換計られ、さらにガス窯電気窯普及、そして、量産品トンネル窯によって焼成されるようになり、その役割終えていった。

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