近代の寡頭制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 09:19 UTC 版)
20世紀には、アジア、ラテン・アメリカをはじめとした世界中の多くの国では、政治家の一家や親族による縁故主義や、権力は世襲されないが特定の政党だけが主権を持ち、政治家が国民によって選出されない寡頭共和制(例:ソビエト連邦や中華人民共和国などの社会主義国、国民党一党独裁下の台湾やシンガポールなどの「開発独裁」型国家)が見られる。また、縁故主義や寡頭共和制のあるなしに関係なく、官僚や軍部、大資本家も含めた限られたエリート達による支配も寡頭制といえる。 20世紀の南アフリカ共和国にも、近代における寡頭制の一種が見られる。南アフリカの寡頭制は人種に基づいていた。第2次ボーア戦争のあと、イギリス人とアフリカーンス語を話すボーア人という2種類の白人は暗黙の同意に達した。彼らは合わせて総人口の20%を占める程度だったが、少数派ながら教育や交易の機会のほとんどを占有し、多数派の黒人にはこれらを認めないようになった。こうした人種隔離は18世紀半ばからあったが、1948年には公式な政府の政策となって「アパルトヘイト」として知られるようになり、1994年まで続いた。 なお、名目上は民主的共和制であっても、選挙制度や法制度、不正選挙等の要因により実質的には寡頭制の性格を帯びることもある。全国民に投票権がありながらも、特定の者への投票を事実上強制されるなど不正選挙が横行している国や、選挙制度が極端に歪んだ国などは、事実上の寡頭共和制といえる。
※この「近代の寡頭制」の解説は、「寡頭制」の解説の一部です。
「近代の寡頭制」を含む「寡頭制」の記事については、「寡頭制」の概要を参照ください。
- 近代の寡頭制のページへのリンク