農業専用地区制度
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港北ニュータウン開発に伴う宅地と農地のゾーニング策として、1969年に導入された横浜市独自の制度である。いずれも市街化調整区域内にあり、2015年までに28地区、1,071.0haが指定されている。農業専用地区に指定されることにより、圃場整備や灌漑施設整備等の農業振興策を受けることができる。生産緑地法に基づき市内で295.4ha、1,686個所(2016年(平成28年)12月5日現在)指定されている生産緑地地区は、これとは別の制度である。 菅田・羽沢(神奈川区。1972年3月31日指定、60.2ha) 横浜駅から北西4キロほどに位置する。野菜や植木の生産が行われ、特にキャベツは市内で有数の産地である。 西谷(保土ケ谷区。1972年11月25日指定、25.2ha) 相鉄本線西谷駅近くの丘陵地帯にあり、キャベツやダイコン、ジャガイモ、ネギなどが生産されている。 上川井(旭区。1977年7月7日指定、35.3ha) 上瀬谷通信施設内にあり、イモ類、根菜類、植木などを生産している。 鴨居・東本郷(緑区。1982年1月13日指定、19.1ha) 1976年より畑の造成が行われた地区で、野菜や植木の生産を行う。 寺家(青葉区。1986年3月24日指定、86.1ha) 新農業構造改善事業に基づく、横浜市の「ふるさと村」事業の一環として整備された。 鴨居原(緑区。1986年9月1日指定、17.1ha) 以前は山林が中心で、起伏が大きい土地であったが1991年より土地改良総合整備事業が行われた。周辺には竹山団地など大消費地がある。 保木(青葉区。1992年3月3日指定、14.7ha) 横浜市の北端に位置し、露地野菜や植木などを中心に作付けしている。 佐江戸宮原(都筑区。1993年3月15日指定、8.6ha) 谷本川と恩田川の合流部東側の台地に位置し、露地野菜や植木、果樹を中心に生産している。 新羽・大熊(1969年9月24日指定、23.0ha) 新羽・大熊、池辺、折本、東方、大熊、牛久保の各農業専用地区は港北ニュータウン内にあり、開発地域の約10%を占める。本地区は東側に第三京浜道路が接し、谷戸が入り組んだ丘陵地帯であったが、1970年より土地改良区が設立され整備が行われた。主にホウレンソウや、温室で水気耕栽培したトマトなどを生産する。 池辺(1969年9月24日指定、60.0ha) 新羽・大熊地区と同様、丘陵地帯を1973年から農地整備された。葉物野菜や水気耕トマトの生産が主である。 折本(1969年9月24日指定、43.0ha) 1980年に、地区の西部で土地改良区による農地整備が行われた。1987年には折本地区有機肥料生産利用組合が設立され、周辺の畜産農家から出る家畜糞や古畳の藁を混合した堆肥が使用されている。 東方(1969年9月24日指定、60.0ha) 鶴見川支流の大熊川上流に位置し、折本と池辺の農業専用地区に接する。神奈川県道45号丸子中山茅ヶ崎線で東西に二分され、東側はさらに大熊川で南北に分かれる。露地の葉物野菜が主である。 大熊(1969年9月24日指定、20.0ha) 大熊川右岸に位置し、丘陵上の畑での露地野菜や花の栽培が主である。 牛久保(1969年9月24日指定、24.0ha) 多摩丘陵の南端に位置し、起伏が激しく山林が多い土地である。植木の生産が盛んで、露地野菜の栽培もおこなっている。 東俣野(戸塚区。1972年3月31日指定、65.4ha) 境川を挟んで藤沢市に接する緩傾斜地に位置し、ホウレンソウやコマツナなどの葉物野菜、トマト、キュウリ、花卉などを生産する。 氷取沢(磯子区。1973年3月22日指定、20.9ha) 円海山をはじめとする横浜市南部の保全緑地の一角に位置し、野菜類を中心に生産している。 田谷・長尾台(栄区。1973年10月30日指定、35.1ha) 柏尾川右岸の水田と、トマトやナスを栽培する台地上の畑からなる。隣接する小雀や、鎌倉市関谷からの入作が多いのも特徴である。 野庭(港南区。1975年12月27日指定、43.4ha) 大規模住宅団地に囲まれた立地で、野菜類の他品種栽培・直売を行う。1979年から1981年にかけて協同育苗温室や農産物直売所が整備された。 中田(泉区。1976年5月13日指定、40.0ha) 泉区の中央部に位置する。畑作のほか、横浜市から委託を受け、都市緑化用の樹木の苗木の増殖も実施している。 並木谷(泉区。1976年5月13日指定、35.0ha) 相鉄いずみ野線いずみ野駅南側の畑作地帯である。 上瀬谷(瀬谷区。1977年7月7日指定、92.0ha) 東側の上川井農業専用地区同様上瀬谷通信施設内に位置し、ウドやトウモロコシ、サツマイモを中心に栽培している。 舞岡(戸塚区。1979年9月17日指定、90.9ha) 地下鉄舞岡駅を中心とした一帯で、丘陵の畑と谷戸の田、山林などからなる。多種の露地野菜のほか、稲作と畜産の複合経営も見られる。舞岡ふるさと村では農産物の直売や、収穫体験などができる。 小雀(戸塚区。1980年4月25日指定、25.7ha) 植木を主体とした旧的場土地改良区と、野菜類を主体とした旧堤ヶ谷土地改良区を合わせた地区である。 平戸(戸塚区。1986年3月24日指定、8.8ha) 東戸塚駅東側500mほどの旧東海道沿いの丘陵地帯に位置する。ナシ、ブドウ、柿、ウメ、クリなど果樹が主体で、「平戸果樹の里」として観光農業が行われている。農業専用地区の指定に際し、地元農家の要望により、市街化区域から市街化調整区域への「逆線引き」が行われた。 柴(金沢区。1991年3月30日指定、17.4ha) 八景島や柴漁港を見下ろす丘陵地帯にあり、JA横浜が運営する約500区画の市民農園「柴シーサイドファーム」が主である。 北八朔(1997年指定、39.8ha) 水田の多い地区である 長津田台(緑区。2006年8月指定、25.7ha) 町田市との境の近くに位置する「原」「草木」と呼ばれていた二つの農地を合わせて2006年(平成18年)に指定された。イモ類や根菜類の栽培が主であったが、生活協同組合の契約栽培を契機にトマトやホウレンソウなどの多品目生産に移っていった。農業専用地区の指定により、老朽化した灌漑設備の更新を行う。 十日市場(緑区。2015年1月9日指定、21.6ha) 2015年(平成27年)に指定された、最も新しい農業専用地区である。
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