耐震構造とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 建設 > 構造 > 構造 > 耐震構造の意味・解説 

たいしん‐こうぞう〔‐コウザウ〕【耐震構造】

読み方:たいしんこうぞう

地震揺れ抵抗できる強固な部材筋交いなどの仕様建物強度確保する構造。→免震構造制振構造


たいしんこうぞう 耐震構造

地震力に耐えられるように設計され構造

耐震構造

設計施工に際して地震強風などの力に耐えられるように設計され建築物構造。「耐震」が地震力に耐える構造対し、「免震」、「制震」は地震力を低減させるという構造違いがある。

耐震

(耐震構造 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/06 20:16 UTC 版)

モデリングにおける地震動の影響の一部(ロサンゼルス - サンディエゴ)、GIF動画

建築における耐震(たいしん、: earthquake resistant)とは、地震に対する建築構造物土木構造物の破壊損傷を防ぐ措置[注釈 1]を言う。目的は同じだが類似の用語制震免震とは区別される。

概要

地震が起きると、建築物は、その地震の強さやその構造によっては大きな被害(震害)を受けることがある。その震害を減らしたり防いだりすることを目的とした建築物等に対する設計を耐震設計(earthquake-resistant design)と呼ぶ。

一般に、建築物が大きな被害を受ける可能性がある地震の強さは、加速度で100 gal(cm/s2)以上であると言われる[注釈 2]

建築構造物の耐震設計においては、一般に建物の供用期間中に数回起こる可能性のある中規模の地震に対しては大きな損傷はしない、建物の供用期間中に一度起こるか起こらないかの大地震に対しては居住者の生命を守る(倒壊しない)ことを目標としている。すなわち、大地震に対しては倒壊しない程度の損傷は許容しており、また損傷を受けても安定性を損なわないようにすることが求められる。そのため、橋梁などの土木構造物によくみられる一本柱のような構造は、柱の根元が損傷を受けた場合に即座に不安定構造になるため建築では用いられない。

中地震(80から100gal) : 多少亀裂が生じても、使用上支障をきたさないように設計する(1次設計)。
大地震(300から400gal) : 人命の安全を確保するため、崩壊、転倒を起こさないように設計する(2次設計)。

ただし、原子力発電所など極めて重要な建物に関しては一般的な構造物より高レベルの設計目標が課されている。

耐震設計

道路橋示方書Ⅴ耐震設計編による耐震設計は、の場合その重要度に応じて必要とされる耐震性能を確保することを目標として行うこととなっているが、橋の重要度は道路種別や橋の機能・構造に応じて、重要度が標準的な橋と特に重要度が高い橋の2つに区分する。

重要度が標準的な橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対して致命的な被害を防止することを目標としている。

特に重要度が高い橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対しては限定された損傷にとどめることを目標とする。ここで、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震動というのは、プレート境界型の大規模な地震を想定したタイプⅠの地震動および内陸直下型地震を想定したタイプⅡの地震動の2種類を考慮したものである。

具体的な耐震設計は、原則として「震度法」及び「地震時保有水平耐力法」という設計法によって行われる。

震度法によるものは、の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対して、であり、許容応力度、許容支持力、許容変位、安全率、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。地震時保有水平耐力法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対してであり、地震時保有水平耐力および許容塑性率、残留変位、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。

地震時の挙動が複雑な橋は、動的解析を行う。その結果を設計に反映させている。耐震設計にあたっては、地形・地質・地盤条件、立地条件などを考慮し、耐震性の高い構造形式を選定すると同時に、個々の上下部構造の設計に対してのみならず、支承部や落橋防止システムも含めて、橋全体系が耐震性を有するように配慮しなければならない。

脚注

注釈

  1. ^ 主要な構造体そのものの強度や靭性を向上させるなどがある。
  2. ^ なお、マグニチュードは震害に直接関係がない。大地(1984) p.20

参考文献

  • 大崎順彦『地震と建築』岩波書店岩波新書〉、1983年。 
  • 大地羊三『耐震計算法入門 付・マイコンによる計算プログラム』鹿島出版会、1984年。 
  • 武藤清『耐震計算法』丸善〈耐震設計シリーズ〉、1963年。 
  • 武藤 清『構造物の動的設計』丸善〈耐震設計シリーズ/応用編〉、1977年。 

関連項目

外部リンク


耐震構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 12:31 UTC 版)

超高層建築物」の記事における「耐震構造」の解説

地震風圧対策(耐震構造)は、従来建築物では「剛構造」という地震風圧耐える構造(人が走行中の列車内で脚を踏ん張って揺れ耐えることに例えられる)が求められてきたが、超高層ビルでは、地震揺れ風圧ある程度建物任せる「柔構造」の建築である。 さらに、昨今建設される超高層ビルでは、基礎部分油圧装置油圧ダンパー)を取り付ける中に降伏点鋼を挟む(制震)、建物の上部にダンパー呼ばれる錘(おもり)を取りつけたりして揺れ軽減する、などの方法いずれも制震構造)を採用している。 また、基礎上部建築物切り離し構造物の間に積層ゴムベアリング媒介して横揺れそのもの逃す方法免震構造)も開発されている。免震構造は古い構造基準建設され老朽化しているビルにも有効であり、免震レトロフィット改良後付工法もあるほどである。ただし、この工法基本的に切断しジャッキアップしたうえで積層ゴムベアリング取り付けるものなので、1階部分空洞駐車場駐輪場など)であり、か十分な敷地確保できる場所で重量負担一定のレベル超えないことが条件とされている。

※この「耐震構造」の解説は、「超高層建築物」の解説の一部です。
「耐震構造」を含む「超高層建築物」の記事については、「超高層建築物」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「耐震構造」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「耐震構造」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



耐震構造と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「耐震構造」の関連用語




4
佐野利器 デジタル大辞泉
70% |||||

5
内藤多仲 デジタル大辞泉
70% |||||



8
免震構造 デジタル大辞泉
52% |||||

9
制振構造 デジタル大辞泉
52% |||||

10
剛構造 デジタル大辞泉
52% |||||

耐震構造のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



耐震構造のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ダイキン工業ダイキン工業
Copyright (C) 2025 DAIKIN INDUSTRIES, ltd. All Rights Reserved.
三幸エステート三幸エステート
Copyright 2025 Sanko-estate,All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの耐震 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの超高層建築物 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS