浪曲の代表的な演題(外題)
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武芸物、出世物、任侠物(三尺物ともいう)、悲恋物、ケレン物(お笑い)など多種多様である。特に赤穂義士伝(忠臣蔵)ものは派生する人気の演題(外伝)が非常に多く、義士伝で一ジャンルを成している。大別すると、武士道を鼓舞するような内容の金襖物(きんぶすまもの)と、(広義の)世話物(せわもの)に分かれる。 講談(成立期から講釈ダネをフシ付けすることで大きく発展した)、落語、文芸作品、歌舞伎や浄瑠璃、ニュースなど題材は多様である。 文句、言葉も自分で作るのが本来の姿で、作詞の役割、作曲の役割、実演を兼ねる(フシ付け)。国友忠(河北省一が筆名)など。野口甫堂(東家楽浦の筆名)、鈴木啓之(三門博)、池上勇(広沢菊春)、小島美士五郎(広沢瓢右衛門)、阪口三夢(天龍三郎)の作・脚色のように他の浪曲師がネタを引き継ぐ場合もある。雲右衛門の頃からレコード会社により、原作として長谷川伸や行友李風、尾崎士郎、子母沢寛など。正岡容や、畑喜代司、本多哲、小菅一夫、萩原四朗、水野春三(水野草庵子)、秩父重剛、中川明徳、室町京之介、房前智光、木村学司、内山惣十郎、芝清之、大西信行、現在の芦川淳平、稲田和浩のように、浪曲台本を手がける作家もいる。 文芸浪曲は酒井雲や初代林伯猿が端緒で、菊池寛「恩讐の彼方に」や泉鏡花「滝の白糸」など文芸作品が浪曲化された。それまで欠けていると指摘され続けた藝術的な薫りを浪曲の世界に加えた。後の女流浪曲にその芸風は引き継がれている。 また、演目の東西交流は早くから進んでおり、関西の浪曲師が関東が舞台の演題をするケースが多いがその逆の演題もある。 ※以下は浪曲で代表的とされる演目である。右の名はその作品で代表的な演者(または現在聞きやすい演者)。 このジャンル分けは便宜的なものである。出征して戦死し、靖国神社に祀られた息子への心情をうたった「親子物」で「戦争物」である「九段の母」など。 任侠物(三尺物) 清水次郎長伝シリーズ (森の石松三十石船がとりわけ人気を持った)- 二代目広沢虎造 会津の小鉄シリーズ - 京山幸枝若 天保水滸伝シリーズ - 歴代玉川勝太郎が得意とし、お家芸とされる。 国定忠治シリーズ(赤城の子守唄) - 春日井梅鴬 青竜刀権次 - 初代相模太郎、玉川福太郎 河内十人斬り - 京山幸枝若 唄入り観音経 - 三門博 野狐三次シリーズ - 東家浦太郎の人気物 股旅物 中乗り新三 - 松平国十郎 瞼の母(番場の忠太郎) - 初代天光軒満月 関の弥太ッぺ - 二代目京山幸枝若 白浪物 天保六花撰シリーズ(河内山宗俊) - 木村重友、木村友衛、木村若衛が得意とし、木村のお家芸とされた。 世話物(悲恋・スキャンダル) 佐渡情話 - 寿々木米若 高橋お伝 - 小金井太郎 唐人お吉(お吉物語) - 天津羽衣 出世物 太閤記 - 五月一朗 紀伊国屋文左衛門 - 梅中軒鶯童 越後伝吉 - 初代東家浦太郎 水戸黄門漫遊記 - 日吉川秋水 桃中軒雲右衛門(晴れ晴れ雲) - 松平国十郎 英国密航 - 広沢瓢右衛門、国本武春 武芸物 黒田武士 - 浪花家辰造 寛永三馬術 お家騒動物(金襖物) 佐倉義民伝シリーズ - 四代目天中軒雲月 赤穂義士伝 刃傷松の廊下 - 真山一郎 神崎東下り 大高源吾 - 吉田奈良丸 南部坂雪の別れ - 桃中軒雲右衛門、東家楽燕 俵星玄蕃 - 三波春夫 安兵衛婿入り 天野屋利兵衛 - 春日井梅鴬、雲月嬢改め2代目天中軒雲月 徂徠豆腐 - 広沢菊春 戦争物 召集令 - 京山若丸、初代天光軒満月、東家楽燕 乃木将軍伝シリーズ - 東家楽燕、初代天光軒満月 杉野兵曹長の妻 - 二代目天中軒雲月 肉弾三勇士 大阪大空襲 - 冨士月の栄 玉砕硫黄島 - 初代京山幸枝若 ひめゆりの塔 - 二葉百合子 親子物 九段の母 - 2代目天中軒雲月 日本の母 - 真山一郎 岸壁の母 - 二葉百合子 深川裸祭り - 港家小柳 祐天吉松 相撲物 寛政力士伝シリーズ - 京山幸枝若 歌舞伎物 勧進帳 - 三代目吉田奈良丸 慶安太平記 - 木村重松 幡随院長兵衛 浄瑠璃物 壺坂霊験記 - 浪花亭綾太郎 豊竹呂昇 - 松平洋子 滑稽物(ケレン、お笑い) 灰神楽三太郎 - 相模太郎 左甚五郎シリーズ - 京山幸枝若 藪井玄以 - 日吉川秋水 浪花節じいさん - 玉川福太郎 陸奥間違い - 天龍三郎 落語物 紺屋高尾 - 初代篠田実 安中草三郎シリーズ - 三代目鼈甲斎虎丸 芝浜の皮財布 - 木村松太郎 怪談・怪奇物 番町皿屋敷 - 春野百合子 その他 姿三四郎シリーズ - 広沢菊春 銭形平次 - 国友忠 人生劇場 - 村田英雄
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