歴史と解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:35 UTC 版)
TO図は経験的世界を表す地図で、7世紀の学者セビリャのイシドルスが著書『語源』(第14章、de terra et partibus)に描いたものが初出である。 ラテン語: Orbis a rotunditate circuli dictus, quia sicut rota est [...] Undique enim Oceanus circumfluens eius in circulo ambit fines. Divisus est autem trifarie: e quibus una pars Asia, altera Europa, tertia Africa nuncupatur. 日本語: [人が住んでいる]しっかりした陸地の塊は円のまるさに準えてまるいと言われるが、それは車輪に似ているからである[...] このため、陸地の周囲を流れる大洋は円形に区切られており、また陸地は三つにの部分に分かれていて一つがアジア、もう一つがヨーロッパ、残る一つがアフリカと呼ばれている。 イシドルスが『語源』中で地球は「まるい」と教えていることに関して、彼の意味するところは曖昧だが、彼は円盤状の地球に言及したと考える著述家もいる。しかし、イシドルスは他の著作では自身が地球は球形だと考えていることを明らかにしている。実際のところ、少なくともアリストテレス以降の西洋の教養人の間では一般に地球球体説が事実だとみなされていた。 TO図は球状の地球の上半分だけを表している。これは暗黙に地球の北側の温帯の人が住んでいる地域を描くための簡易な投影法としてなされたものと考えられる。南側の温帯には到達不可能で人が住んでいないと考えられたため、世界地図にそれらの地域を描く必要はなかった。赤道灼熱帯を越えて地球の逆側の未知の陸地に到達することは不可能だと信じられていた。こういった南側の想像上の陸地は対蹠地と呼ばれていた。 Tとは大陸をアジア・ヨーロッパ・アフリカの三つに分ける地中海、ナイル川、そしてドン川(かつてはタナイス川と呼ばれた)で、Oとはその周囲を取り巻く大洋である。エルサレムは通常地図の中央に配置される。アジアは概して他の二つの大陸を合わせた大きさである。太陽が東から昇るため、楽園(エデンの園)は一般的にはアジアにあるものとして描かれ、またアジアは地図の上方に位置づけられる。 この質的で抽象的な中世の地図作製法はシンプルな表現に付け加えて非常に詳細な地図を作ることもできる。初期の地図にはほとんど都市が描かれず最も重要な川のみが記載された。聖地の四つの聖なる川は必ず記載された。旅行者にとってより便利な道具は、二つの地点の間の町の名前を順番に並べた旅行案内書や沿岸の目印や港を順番に並べたペリプルスであった。より後の時代の地図は同じ構想に沿っていても西欧と同じほど東方の都市や川、その他のものを記載しているが、これは十字軍の際に知られたものであった。新しい地理的な事物だけでなく装飾的なイラストも加えられた。最も重要な都市はその都市名と共に他と区別できる要塞や塔で表され、空いたスペースには神秘的な生物が描きこまれた。
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歴史と解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/23 14:06 UTC 版)
ロータリーキルンを使って亜鉛を揮発させることによって回収する概念は、1888年に遡ることができる。このような方法は、Edward Dedolphによって1910年に特許が取得されている。Dedolphの特許は、フランクフルトのMetallgesellschaft社によってChemische Fabrik Griesheim-Elektron社の協力の下、実用化が検討されたが、実用的な規模のプロセスを実現することはできなかった。1923年にKrupp Grusonwerk社が、同様のプロセスが独立して開発され、ウェルツ法と名付けられた(ウェルツ(waelz)とは、ドイツ語のWaelzenという炉内の物質の動きを表す語からとられた)。後に、ドイツの2社によりWaelz-Gemeinschaft (Waelz associationの意味のドイツ語)として開発と普及が図られた。 ウェルツ法は、亜鉛を含む原料を取り扱う。ここで亜鉛は、酸化亜鉛やケイ酸亜鉛、ジンクフェライト、硫化亜鉛に炭素を含んだ還元剤や燃料を混合して供給され、1000〜1500℃のロータリーキルン内で処理される。炉へ供給される原料は典型的には、亜鉛含有「廃棄物」、フラックス、還元剤(コークス)をペレット化したものである。炉内では、原料中の亜鉛化合物は還元されて金属亜鉛(沸点907℃)となり揮発する。揮発した金属亜鉛は、気相中で酸化され、酸化亜鉛になる。酸化亜鉛は、炉の排ガスと一緒に炉外へ排出され、濾過集塵装置や電気集塵器、重力式集塵装置などで回収される。 ロータリーキルンは、典型的には長さ50メートル、内径3.6メートルであり、回転速度は1 rpmである。回収された粗酸化亜鉛は、亜鉛製錬所へ送られる。亜鉛含有量の減少した副産物はクリンカーと呼ばれる。ウェルツ法には、エネルギー消費量が多く、鉄を回収できずクリンカーに鉄分が多く含まれるという問題点がある。また、亜鉛以外の金属(鉛やカドミウム、銀など)が粗酸化亜鉛に混入する。ハロゲン化物も粗酸化亜鉛に混入する。 鉄鋼への溶融亜鉛めっきが増加するにつれて、鉄スクラップ中の亜鉛の含有率も増加してきた。これによる電気アーク炉の排ガス中のダストに含まれる亜鉛も増加している。2000年の時点では、ウェルツ法は電気アーク炉ダストからの亜鉛回収における、利用可能な最良の技術であると考えられており、全世界で工業的に利用されている。 2014年の時点では、ウェルツ法は電気アーク炉ダストの90%を処理するのに利用されている。 電気アーク炉ダストの処理方法として他には、パレット化された亜鉛含有ダストを処理する回転炉床式還元炉(日本製鉄 東日本製鉄所君津地区で利用)やウェルツ法の効率を改善したSDHL (Saage, Dittrich, Hasche, Langbein)法、高炉を改造して高炉ダストから銑鉄と酸化亜鉛ダストを得るDK法、多段炉で亜鉛を揮発させるPRIMUS法が開発・利用されている。
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