『語源』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 18:30 UTC 版)
アラビア人が古代ギリシア哲学の叡智に触れるはるか以前に、イシドールスはアリストテレスを同国人に紹介している。イシドールスはカトリックの同胞のために、一般的な知識を体系的に編纂した最初のキリスト教著述家であり、主著『語源』はまさに百科辞典的な、総合的な内容を持っている。この全20巻448章にわたる中世最初の百科事典で、イシドールスは古代から彼の時代に至るまでの、聖俗両面にわたる、あらゆる学問体系を集約した。この著作のおかげで多くの古典時代の著作の記述が断片的に散逸を免れた一方、この著作が原著作よりも重んじられることが多かったために、原著作で散逸してしまったものが多いことも事実である。 『語源』に対する高い評価は、百科事典的な著述活動に刺激を与え、中世以降の時代に大きな実を結ぶことになった。この著作は、中世の収集図書の中で最も人気がある概説書で、ルネサンスの時代まで継続した人気を保ち、1470年から1530年の間に10版を重ねるほど印刷され続けた。12世紀にイスラームを経由して再輸入されるまで、西ヨーロッパ人にとって、イシドールスはアリストテレスやその他の古代ギリシャの著述の貴重な情報を提供したが、ギリシャの古典全体から見れば、それは限られた一部に過ぎなかった。『語源』は中世の説話集に、好んで引用された。
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