映画化・脚本・出演
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 06:02 UTC 版)
「ウィリアム・ギブスン」の記事における「映画化・脚本・出演」の解説
ギブスンが脚本家としての仕事を依頼されたのは、映画プロデューサーがタイのリゾート地のビーチで水浸しの『Neuromancer』のコピーを発見したのがきっかけだった。映画の脚本を書こうとした彼の初期の努力は、完成品には至らず、「クローム襲撃」(キャスリン・ビグローが監督する予定だった)と "Neuro-Hotel" は、映画化を試みたものの実現しなかった。1980年代後半には『エイリアン3』の初期バージョン(後に彼は「タルコフスキー的」と特徴づけた)を書いたが、そのうちのほとんどの要素は最終版では残っていない。2018年から2019年にダークホースコミックスがギブスンのエイリアン3の脚本の5つの部分からなる脚色版をリリースし、ジョニー・クリスマスがイラストと脚色を担当した。2019年にAudibleがギブスンの脚本のオーディオドラマをリリースし、ダーク・マグス(英語版)が脚色し、マイケル・ビーンとランス・ヘンリクセンがそれぞれの役を再演している。 ギブスンの初期の映画産業との関わりは、ハリウッドの超大作システムの枠組みをはるかに超えていた。ある時点で、アメリカのプロデューサーがソビエトのロックミュージシャンのヴィクトル・ツォイを主演に据えたソビエト=アメリカ合作に興味を示したことをきっかけに、彼はカザフの映画監督ラシード・ムグマノフ(英語版)と共同で脚本を書いた。小説の執筆に追われていたにも関わらず、ギブスンは「ある種の横道にそれた未来のレニングラードを舞台にした、儀式的な暴力団の構想」という「素晴らしく奇妙なプロジェクト」を断念したくなく、自分の代理としてジャック・ウォマックをロシアに派遣した。ウォーマックのロシアでの経験は、映画を製作だけではなく(この見通しは、ツォイの交通事故死で中止となった)、最終的には彼の小説 Let's Put the Future Behind Us で最高潮に達し、ギブスンの『パターン・レコグニション』のロシア語の内容の多くに影響を与えた。同じような運命は、1993年に九龍城砦が取り壊されるまでで九龍での撮影を計画していた ギブスンと日本の映画監督の石井聰亙とのコラボレーションにも降りかかった。 ギブスンのフィクションの翻案は限られた成功へと頻繁に選択され、提案されてきた。「電脳」三部作の世界を舞台にした2編の短編が映画向けに大まかに翻案されている:「記憶屋ジョニー」はギブスンが脚本を書き、キアヌ・リーブス、ドルフ・ラングレン、北野武が出演で1995年に映画化され、「ニュー・ローズ・ホテル」はクリストファー・ウォーケン、ウィレム・デフォー、アーシア・アルジェントが出演して1998年に映画化された。前者は本として史上初めて映画とCD-ROMのインタラクティブ・ビデオ・ゲームとして発売れた。2013年の時点で、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督は数年の企画地獄を経てもなお、『ニューロマンサー』をスクリーンに登場させることを望んでいた。『カウント・ゼロ』は一時、マイケル・マン監督を起用して The Zen Differential として開発が進んでおり、「電脳」三部作の3作目となる『モナリザ・オーヴァドライヴ』もオプション化され、購入が決定している。『あいどる』のアニメ化は2006年に開発中と発表され、『パターン・レコグニション』はピーター・ウィアー監督で開発が進められていたが、ギブスンによると、ウィアーはすでにプロジェクトに関わっていないという。2015年のロッテルダム国際映画祭ではギブスンの短編小説「ドッグファイト」をBAFTA賞受賞作家で監督のサイモン・パンメルが映画化した作品が発表された。ギブスンとマイクル・スワンウィックが共同執筆し、1985年にオムニ誌に発表されたこの短編は、ホット・プロパティ・フィルムのイギリス人プロデューサー、ジャニン・マーモットによって開発が進められている。 テレビはギブスンがコラボレートしたもう一つの領域であり、友人のトム・マドックス(英語版)と共に『X-ファイル』のエピソード「キル スウィッチ」(EN: "Kill Switch" )と「ファースト・パーソン・シューター」(EN: "First Person Shooter")の脚本を執筆し、アメリカでは1998年と2000年に20世紀フォックステレビジョンで放映された。1998年にギブスンはスピンオフ出版物 Art of the X-Files を紹介するのに貢献した。ギブスンはテレビのミニシリーズ Wild Palms に、クリエエイターのブルース・ワグナー(英語版)の要望でカメオ出演した。映画監督のオリバー・ストーンはシリーズ製作のためにギブスンの小説からいろいろと借用しており、シリーズ打ち切りのあとでギブスンは「ホログラムの行き先」という記事を Wild Palms Reader に寄稿した。ギブスンは2002年に別の演技の仕事を受け、ダグラス・クープランドとともに短編映画 Mon Amour Mon Parapluie で哲学者を演じた。フィクション作品への出演とは別に、ギブスンはマーク・ニールによる伝記ドキュメンタリー映画 No Maps for These Territories の焦点だった。この映画はギブスンが北米横断ドライブをしながら自身の人生、文学のキャリア、文化的解釈のさまざまな側面について語る姿を追っている。映画にはジャック・ウォマックとブルース・スターリングへのインタビューと、ボノとジ・エッジによる『ニューロマンサー』の朗読も取り上げられている。 カナダを拠点とするアニメーションスタジオの Last Studo Standing Inc. は2016年に短編「辺境」の映像化権を取得し、劇場用の短編映画と、テレビシリーズの両方を製作すると発表した。アダルト向けおよびSFベースのアニメーションを専門とするスタジオは、2018年のリリースを予定していた。 2018年の4月の時点で、Amazon.com はギブスンの長編小説 The Peripheral をもとにしたシリーズを企画していた。
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