政子之譚
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「Ghost of Tsushima」の記事における「政子之譚」の解説
曽元(そうげん|英:Sogen ) 声 - (英)アート・バトラー (Artt Butler) / (日)花輪英司 安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)に斥候として加担した僧。安達政子にとっての仇(かたき)の一人。 黄金寺の僧でありながら流民たちを邪険に扱い、賊と通じてすらいる。元朝に噂が流れ始めた昨年の秋の初めに上県から突然やってきており、花の計画した陰謀のために差し向けられたと思われる。安達政子が生き残ったことを知った曽元は焦りから尻尾を出し、仁と政子に跡を付けられて根城を知られ、二人に実行犯たちを全員討たれて追い詰められる。それでもなお黒幕の名は明かさず、自分たちの行いを正当化する言を吐き、激昂した政子に滅多斬りにされて死亡した。 貞夫(さだお|英:Sadao) 安達家の知行地である久田村(くたのむらの村長(むらおさ)。 安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)に加担した犯人の一人(実行犯)。安達政子の夫・晴信から村長に任じられており、安達家襲撃は恩を仇で返す所業であった。以前から悪事を働いており、米を盗んでは飢えた民に売り捌き、久田村が凶作となって騒乱が起きた時には、賊を雇って抗う村人を殺させたことすらあったという卑劣漢。貞夫が米の窃盗と密売を働いていると知った政子に咎められ、逆恨みするようになった。 弟の八郎と妻のひなに対しては、一応の情はあった模様。仲間からも怖れられており、彼らの会話の中に過去の出来事として登場する「久田の皆殺し」は、下手を打ったか裏切ったかした者たちへの制裁であったらしい。 八郎が持っていた地図から、隠れ家にしていた有明の篝火台(ありあけのかがりびだい)を突き止められ、政子と境井仁に仲間の賊を壊滅させられた末、政子の手で殺された。 ひな(英:Hina ) 貞夫の妻。 安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)の容疑者として安達政子と境井仁の囚われ人となるも、夫の無実を信じているひなは、政子の厳しい尋問にも貞夫の居場所を吐かなかった。政子たちが隙を見せたのに乗じて義弟の八郎が救出に駆け付けるが、夫が潔白なら逃げる必要は無いとのことで動こうとせず、連れ戻したい八郎と揉めた挙句に悲鳴を挙げてしまい、政子たちに気付かれることを怖れた八郎が物の弾みで殺してしまった。実のところ、脱出の機会を与えたのは政子で、ひなを釣り餌にして犯人をおびき寄せて捕らえるつもりであったが、要らぬ犠牲者を出しただけであった。仁に咎め立てされた政子は、せめてものこととしてひなの墓を建てて葬っている。 八郎(はちろう|英:Hachi) 貞夫の弟。流民の野営に食料を届けるふりをして、貞夫や仲間の賊に食料や文を流している子悪党。 安達政子と境井仁の囚われ人となってしまった義姉ひなを取り戻そうと安達家の屋形に忍び込むが、夫の無実を信じて動こうとしないひなと揉めた挙句、ひなを殺害してしまう。目的を果たせないまま屋形から逃げ出した八郎は、出くわした元兵に斬られ、致命傷を負った。政子は今際の際の八郎を問い詰めるが、最期まで兄の居場所を吐くことなく八郎は逝った。しかし、八郎の懐には貞夫の潜伏先を記した地図が遺されていた。 大村(おおむら|英:Omura) かつて安達家に出入りしていた百姓・大村の息子。 安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)に加担した犯人の一人(間接正犯)。20年ほど前、父が盗みを働いた挙句に開き直る態度を見せたことで安達家を追い出されている。父が死んだ後も彼はそのことで安達家を逆恨みしている。彼自身も盗人であり、脛に傷持つ者がたむろする卯麦谷においてすら爪弾きにされている。弟である吉平の反対にも耳を貸さず、襲撃の実行犯たちに武具を流し、さらには襲撃の事実を知っていることをネタに花を脅迫してすらいた。結果、報酬を受け取りに行った先で、安達政子が手を下す前に吉平ともども花の手下に殺された。 梶原(かじわら|英:Kajiwara) 安達家襲撃に加担した政子の仇の一人。 かつては安達家の屋形の下男であり、有能ではあったが短気で、自分の妻と娘に暴力を振るっていた。妻子も一度は安達家に匿われたが、結局は梶原のもとに戻ってしまった。 屋形を追い出された後は漁師となり、表向きは善良に振る舞っていたが本性は変わらず、政子を逆恨みしていたところを花につけ込まれて陰謀に加わり、安達家の屋形に刺客を送る手引きをした。 仁と政子が追い詰めた時には小屋を元兵に襲われ、その際に自らの手で妻子を殺めて逃げ出しており、家族に対する暴虐は仁すら怒らせた。最期は恨み言を並べ立てた末に、政子に斬り捨てられた。 舞(まい|英:Mai ) 声 - (英)マイリー・ヤマモト (Miley Yamamoto) 安達家の元侍女。盗みを働いたことを晴信に咎められ、解雇された過去を持つ。政子とは深い絆で結ばれており、晴信は死罪を望んでいたところを政子が説得して暇を出すに留めていた。 政子に恨みも持ちながら未だ絆を忘れてはおらず、そこを花に文を通じてそそのかされ、襲撃後の安達家から家宝の笛を盗んだ。 最後には政子と和解し、家宝の笛を返して去った。 花(はな|英:Hana ) 声 - (日)緑川博子 安達政子の姉で、上県に本貫地をもつ池田家に嫁いでいる(池田 花)。池田家は菊池家の郎党。 安達家の屋形の襲撃(仮称:安達屋形の変)の黒幕である。襲撃のあった日に実家である安達屋形を訪れており、運悪く巻き込まれる形で賊に殺されたと思われていた。しかし実は生きており、身元不明の百姓女の遺体に自分の服を着せたうえで顔を潰すという方法で己の死を偽装していた。 花が犯行に及んだのは、ひとえに妹・政子への強い怨みが原因であり、元朝襲来を機に復讐を実行に移したというのが真相であった。しかしそれは、政子にとってはあまりにも不条理で理不尽なものであった。 事は花も政子も乙女であった頃にまで遡る。彼女たちの一家が賊に襲われた際、救援に駆け付けてくれた侍衆の中に安達晴信がいた。花はこの若武者に一目惚れしたが、その後、晴信が妻に迎えたのは妹・政子のほうであった。当時の政子はすでに凄腕の女武芸者であり、救援を待つまでもなく刀を振るって賊を片付けてしまっていた。その勇姿に晴信が見染めたのであった。政子は花の失恋を知っていたため、傷心の姉にも幸せになってもらおうと心を砕き、評判のよい池田家当主に嫁げるよう後押しした。しかし花は、これらの成り行きと政子の善意をすべて悪意で受け止め、政子に対する怨みを一方的に募らせていたというのである。政子は想い人を自分から奪い、あまつさえ実家から遠ざけて寒さ厳しい北の地へ追いやった。嫁ぎ先の夫も酒に溺れる粗暴な男で、日々ふるわれる暴力に耐え続ける辛い人生であったという。それらの不幸をすべて政子のせいと決め付け、思いをすり替えることでなんとか生き長らえてきた、心の弱く醜い女であった。 政子のほうからすれば、意図せず姉の想い人を奪う形になったことを気にしており、優しいと評判であった池田家当主との婚姻に助力したり世話を焼いていたのである。しかし嫁ぎ先の男の正体は先述のとおりの悪人であった。良かれと思ってやったことで、全く気付かないまま姉を地獄へ送り込んでしまっていたわけであるが、世間の誰にも気付かれることなく良人の仮面をかぶっている悪人を見抜けなかったからおまえが元凶だと責められるのは、政子としては辛い。そしてなんと言っても、それが安達家の人々を皆殺しにする動機であるなど、とうてい受け容れられる道理が無かった。 なお、池田家当主が花について記した文によれば、「冬に暖房代わりに抱くくらいしか使えない」「それも酒を飲まねば抱くことなどできない」「跡継ぎも産まない役立たず」と酷評されており、夫婦仲は最悪であったと見られる。 怨みつらみに明け暮れた花の人生は、菊池家の屋形にいたところを政子と境井仁に踏み込まれたことで最期を迎える。花を追い詰めた政子は、叩き斬ってきたそれまでの仇どもとは違い、自決するよう短刀を手渡して促した。花は、妹への呪いの言葉を吐いた後、自刃して果てた。 政子が生き残ったせいで安達家屋形を奪い損ねた花は、主家である菊池家の戦える者が小茂田浜の戦いで全員が討ち死にしてしまったことをよいことに、それならばと菊池屋形を乗っ取ってしまい、偽装目的で流民を仮住まいにしていた。
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