推しの時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 15:10 UTC 版)
2010年代後半より人に対するトリセツ本が多数出版されるようになり、女児向け教育本でも「女の子のトリセツ」「女の子のトリセツ トキメキdays」(ミラクルガールズ委員会)、「かわいいのルール」「こころのルール」(はぴふるガール編集部・漫画:双葉陽)などが登場し人気となっていった。少女漫画誌からも『JSのトリセツ』(雨玉さき)などが登場している。 一方、動画サイトでは元々YouTuberが流行となっており、動画投稿者は小学生の憧れの職業となっていた。また子供YouTuberも「キッズライン♡Kids Line」のこうくんねみちゃんや「HIMAWARIちゃんねる」のまーちゃんおーちゃんなどが登場し人気となっていった。少女漫画では2018年にメディアミックスから動画配信をモチーフとした『キラッとプリ☆チャン』が登場し、『ちゃお』や『ぷっちぐみ』でコミカライズされている(ちゃお版は辻永ひつじ、ぷっちぐみ版は菊田みちよ)。 また2016年にはキズナアイを始めとするバーチャルYouTuber (VTuber) が誕生して人気となり、2018年にはサンリオからバーチャルタレント「となりの研究生マシマヒメコ」が、2019年にはちゃおから怪談VTuber「依ノ宮アリサ」が登場している。少女漫画では2020年にVTuber物の『青のアイリス』(やぶうち優)が登場し人気となった。 一方、上の世代では「推し」文化の時代となった。「推し」という言葉は元々「ハロー!プロジェクト」(ハロプロ)の女性アイドルに対して使われていたが、その後、身近を売りにしたAKB48や地下アイドルのブームで他に広まっていき、果てはホストにまで使われるようになった。また、推し活する女性の着ていたファッションが地雷系・量産型として流行した。そんな中で女性向け漫画として『明日、私は誰かのカノジョ』(をのひなお)が登場し人気となり、2022年に深夜ドラマ化された。また、2017年にYouTubeに投げ銭機能「スーパーチャット」が登場することで推しに直接貢ぐことが可能となり、オトナ女子向け漫画ではそれをテーマにした『ガチ恋粘着獣』(星来)が登場している。また、パパ活や裏垢がブームとなり、少女漫画でも『堕欲~パパ活貧困女子~』(桜井美也)や『裏アカ破滅記念日』(桜井美也)が登場している。 またヤンキーブームの再興も起きている。2019年に少年漫画「鬼滅の刃」のアニメ化による少年漫画ブームが起き、2020年に少年漫画「呪術廻戦」がアニメ化されて人気となり、その後、2021年にヤンキー物の「東京卍リベンジャーズ」がアニメ化及び実写映画化されて人気となった。その後、ドラマでもWeb漫画原作の恋愛物「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」や少年漫画原作の青春物「ナンバMG5」などのヤンキー物が登場し、少女漫画からもヤンキーヒーローの『ひかえめに言っても、これは愛』(藤もも)が登場して人気となっている。 恋愛では少子化の進行により架空の強制結婚制度をテーマとしたものが多数登場した。2017年には架空の「超・少子化対策基本法」をテーマとした少年漫画「恋と嘘」が少女マンガのような設定に改変された上で実写映画化され、2018年には架空の「抽選見合い結婚法」をテーマとした長編小説「結婚相手は抽選で」がテレビドラマ化され、少女漫画からも2020年に架空の「ニート保護法」をテーマとしたLINEマンガ連載の少女漫画『マリーミー!』(夕希実久)がテレビドラマ化されている。また、強制夫婦物の学園物も登場している。2018年には青年漫画から「夫婦実習」をテーマとした「夫婦以上、恋人未満。」が登場してアニメ化予定となっており、 2019年には子供向け少女漫画でも「一攫千金婚校」をテーマとした『初×婚』(黒崎みのり)が登場して人気作となった。 一方で、実録を中心にマッチングアプリ物の流行も起きている。2017年にTwitterアカウント「暇な女子大生」が話題となってドラマ化され、2018年には青年漫画から「来世ではちゃんとします」が、2019年にエッセイ漫画から「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」が登場して、どちらも2020年にドラマ化された。Web漫画では2017年に「出会い系サイトで妹と出会う話」がTwitterで10万いいねを超える話題作となり、少女漫画でも2020年に『ラバーズハイ~親友の彼氏とマッチングしてしまった~』(原作:永塚未知流、漫画:安斎かりん)が登場している。 その他、恋愛もののコンテンツでは「炭酸感」のあるものが多数登場した。2021年、Web漫画出身の“超微炭酸系”恋愛少年漫画「ホリミヤ」がアニメ化・ドラマ化さらには実写映画化もされ、同年、オリジナルアニメ映画「サイダーのように言葉が湧き上がる」も上映され、同年、少女漫画からも『ハニーレモンソーダ』(村田真優)が実写映画化されている。 しかしその一方で、テレビドラマでは「恋愛離れ」が進んでいるとされる。少女漫画では長らく恋愛が中心となっていたが、2020年に『りぼん』の編集長はインタビューで「漫画家志望の若者が『自分が描きたいのは恋愛じゃないから、少年漫画に投稿しよう』と考えること。その先入観は払拭したいです。」と述べている。 音楽ものでは歌劇ものが人気となった。2012年、青年漫画誌「ジャンプ改」に『かげきしょうじょ!』(斉木久美子)が登場し、同誌休刊後の2015年に少女漫画誌『MELODY』へと移籍したほか、2016年には人気少女漫画『学園アリス』の続編として『歌劇の国のアリス』(樋口橘)も登場していた。2018年、ブシロードよりメディアミックス「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」が登場して人気となり、2021年には『かげきしょうじょ!!』もアニメ化された。 ホラーでは児童文庫から「5分後に意外な結末」(学研、2013年-)や「5分シリーズ」(エブリスタ、2017年-)や「3分後にゾッとする話」(理論社、2018年-)のような多数のどんでん返し小説群が登場しており、少女漫画では2022年に『5分後に意外な結末』が『なかよし』の付録や『Palcy』でコミカライズされたほか、同年より『りぼん』でも『3分後に○○する話』(武内こずえ)が連載されるようになっている。 マンガアプリでは元々男性向けと女性向けを同居させたものが主流となっていたが、2018年より『Palcy』(講談社・2018年-)、『マンガMee』(集英社・2018年-)などの女性向けに特化したマンガアプリも配信されるようになった。2018年に「マンガボックス」連載の不倫される側をテーマとしたヤングレディース漫画『ホリデイラブ 〜夫婦間恋愛〜』(こやまゆかり)がテレビドラマ化されて「サレ妻」が流行語となり、『マンガMee』でも不倫の代償を描いた『サレタガワのブルー』(セモトちか)が人気となってテレビドラマ化された。 また、サバサバを自称しながらネチネチしている自称サバサバ女(自サバ女)が注目されるようになった。早くは2011年より週刊誌「SPA!」で連載された「アラサーちゃん」に登場しており、2014年にドラマ化されている。またその後も『ブラックガールズトーク』(マキノマキ)、『ワタシってサバサバしてるから』(原作:とらふぐ、漫画:江口心)、『彼氏の周りに湧くウザい女たち』(染井ロキ)などが登場した。 平成以降に始まった作品の本誌でのリバイバルも行われるようになった。早くは2015年に『りぼん』本誌で10年ぶりに「めだかの学校」の続編作『めだかの学校 2限目!』が登場し、2016年には『なかよし』本誌で「カードキャプターさくら」の続編作『カードキャプターさくらクリアカード編』が登場している。その後も『なかよし』では「東京ミュウミュウ」の男版『東京ミュウミュウ オーレ!』や「ぴちぴちピッチ」の次世代作『ぴちぴちピッチaqua』が本誌で連載されるようになった。 また、2019年より始まるGIGAスクール構想及びコロナ禍下でのオンライン授業によって2021年には小学生にもタブレットやパソコンが普及し、同2021年には子供向けのWeb漫画サイトが登場した。2021年2月には児童書ポータルサイト「ヨメルバ」で児童文庫レーベル「角川つばさ文庫」の小説「四つ子ぐらし」などのコミカライズがWeb連載されるようになり、少女漫画でも同年8月に『ちゃお』派生のWeb漫画サイト『ちゃおコミ』が登場している。 Web漫画サイトの登場によって昔の作品が再掲載されるようになり、昔の作品の続編がWeb連載されることも増えていった。例えば『りぼん』では「GALS!」の続編作『GALS!!』がマンガMeeで連載されており、『ちゃお』では「ぷくぷく天然かいらんばん」の続編作『ぷくぷく天然かいらんばん おかわり』が前述のWeb漫画サイト『ちゃおコミ』で連載されている。 Web小説のコミカライズも多数行われるようになってきている。これには異世界転生や異世界転移の設定が多く、悪役令嬢もの、聖女もの、スローライフもの、もふもふものなどが存在し、そのコミカライズは主に『コミックZERO-SUM』、『ゼロサムオンライン』、『B's-LOG COMIC』、『裏サンデー女子部』、『PASH UP!』、『コミックブリーゼ』などの女性向けの雑誌や、『FLOS COMIC』、『レジーナブックス』などの専門Web誌で行われている。また、似たような設定のオリジナル少女漫画も登場しており、ちゃおからは『恋して♥悪役プリンセス!』(辻永ひつじ)が、LaLaからは『転生悪女の黒歴史』(冬夏アキハル)が登場している。2022年にはLaLa派生の電子コミック誌『異世界転生LaLa』も登場した。
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