太平洋戦争開戦前とは? わかりやすく解説

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太平洋戦争開戦前

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 15:03 UTC 版)

兵学」の記事における「太平洋戦争開戦前」の解説

第一次世界大戦観察して日本軍では改革必要性強く自覚することとなるが、大戦後軍縮シベリア出兵関東大震災などで本格的な改革進んでいなかった。大戦戦訓として日本ではドイツ軍フランス軍に対しては慎重であったロシア軍に対して包囲殲滅戦積極的に行ったことに注目し、敵に応じて戦法変えるべきであり、また速戦即決のために敵軍一気殲滅することが必要だという用兵思想生まれた。 さらに平時から敵の戦法研究してこれに効果的に対抗するためにお機略要する考え現れた。その結果師団以下の部隊対象戦法及び部隊訓練基本示した昭和4年の『戦闘綱要』の制定と、方面軍・軍等に対す戦術戦略思想をまとめた昭和3年の『統帥綱領』の改定といった用兵思想整備実施された。 この改訂統帥綱領有形要素ではなく無形要素重視して記述されており、退却については特異な作戦一環として若干触れるに留めていた。 加えて明治以来根本的な改良行ってこなかった歩兵操典を小改訂し昭和3年歩兵操典では「必勝信念」について加筆されることとなった。 この必勝信念は後に物量的な劣勢思考の上無視するための日本陸軍における標語のようなものになり、参謀本部においてもしばしばこの言葉使用された。また昭和11年には突撃要領制圧射撃の下での連携された突撃から自主的積極的な果敢ナル突撃」と改められた。 これら戦闘綱要統帥綱領歩兵操典などはいずれ根本においてはロシアソ連)軍を念頭においており、日本陸軍独特の各種条件もとづいて戦略戦術思想統一し訓練基準を示すものとして交付されたが、加えて昭和3~4年において赤軍歩兵操典入手したことをきっかけとして赤軍研究進んだ結果昭和7年に対ソ戦闘教令発布された。これも無形要素重視されていた。 そして、満州事変支那事変経験兵器開発進展踏まえて各種典範令の改善が必要となったことから、昭和13年には諸兵科連合戦闘原則示した戦闘綱要陣中要務原則示した陣中要務令統合した作戦要務令』が制定された。これは精神力独断等の向上、困難な地形天候時刻であっても断固として克服利用して敵の意表を突くといった無形要素ちりばめられ攻撃精神富め勝敗兵力多寡によらないとする一方補給は必ずしも望まず欠乏に耐えて戦局打開するという記述がされている。 その後昭和14年には砲兵操典昭和15年には戦車操典工兵操典航空作戦綱要など次々と制定していったが、その根底作戦要務令おおよそ同じであった。 こうして大東亜戦争日中戦争太平洋戦争ソ連対日参戦)に突入した時点日本陸軍用兵思想は非常に独特なものへと発展していった。それは第一に政戦略度外視して作戦上の要求重視した作戦至上主義第二日本国力限界前提とした速戦即決目指し先制攻撃殲滅戦軍事思想第三日本が常に兵力上で劣勢であることを宿命とする思考法第四第三思考法踏まえた実際的ではなく願望的な用兵思想第五打算的な思考を嫌う武士道倫理基づいた物資欠乏軍人宿命とする思考である。 しかし、これら日本陸軍用兵思想前提としていたのが満州をはじめとした東アジア大陸での戦闘であり、陸軍仮想敵国考えていたロシア帝国ソビエト連邦との戦い備えたものであったのに対し日本海軍日露戦争後アメリカ仮想敵国しており、太平洋で戦闘考えていたことから、陸海軍用兵思想自ずと異なっていくことになる。 なお、これらの用兵思想普及陸軍大学校中心に行われていたが、その教材として戦争要論戦争史概観統帥参考といった兵学書作られ昭和兵学発展貢献している。

※この「太平洋戦争開戦前」の解説は、「兵学」の解説の一部です。
「太平洋戦争開戦前」を含む「兵学」の記事については、「兵学」の概要を参照ください。

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