太平天国と日本とは? わかりやすく解説

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太平天国と日本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 05:09 UTC 版)

太平天国の乱」の記事における「太平天国と日本」の解説

太平天国のことは、清国商船及び朝鮮から対馬藩通じて幕末の日本伝えられた。当初太平天国キリスト教土着化して発生した反乱とは見られておらず、明朝後裔起こした再興運動だと日本人思っていたとみられている。つまり満州族支配反抗する漢民族という図式民族紛争捉えていたことになる。これは「滅満興漢」というスローガン強調されたこと、 辮髪落としていたことが原因である。清朝では「頭を留めるものは髪を留めず、髪を留めるものは頭を留めず」といわれるように、辮髪有無がその支配受容したか否か基準となっていたためである。また農民など低階層が乱の主体であったという認識希薄であった。この事は1854年前後太平天国の乱モデルにしたとみられる中国大陸舞台とした明朝復興物語講談小説の形式複数出版されている事からも分かる。 しかし、『満清紀事』・『粤匪大略』といった書物日本もたらされると、それまで好意的だった知識人層の太平天国対す評価一変した洪秀全明朝後裔ではないこと、キリスト教信仰していることが伝わったためである。特に前者朱子学的な大義名分論正統論の点で嫌悪感与え後者島原の乱想起させ、幕末世論影響与えた太平天国への嫌悪感は、実際に乱を見聞した人々にも継承されていた。 1859年にはイギリス領事(後の公使オールコックから江戸幕府に対して軍用馬の3千頭イギリス軍売却してくれる様に要請があった。幕府国内軍事的需要理由当初躊躇したものの、英仏両軍に1千頭ずつ売却するに応じて翌年夏までに実施された(この前後の日本輸出品中には主力品である生糸の他にイギリス・フランス軍のために用いられたと思われる雑穀や油などの生活必需品輸出記録目立っている)。更に太平天国末期にあたる1862年6月2日(文久2年5月5日)、幕府御用船千歳丸というイギリスから買い取った船が上海到着した交易表面上の理由であったが、清朝情報収集本当任務だった。江戸幕府は、清朝動乱欧米列強アジアでのあり方に深い関心寄せていた。乗船していたのは、各藩俊秀中心薩摩藩五代友厚長州藩高杉晋作らがいた。乗船していた藩士日記には太平天国について「惟邪教を以て愚民惑溺し」、「乱暴狼藉をなすのみ」という表現がならぶ。 また、日本国内において海防充実国内改革による民心安定化求め論議急速に高まる一因となった早くも吉田松陰が「(奈良時代の)天平勝宝年間に唐の安史の乱に際して当時朝廷大宰府に非常態勢を布いて以来」の危機である事を著書の『清国咸豊乱記』で指摘している。こうした主張薩摩藩の湯龍棟や古河藩鷹見泉石らも同様の意見相次いで唱えた。 ただ辛亥革命前後から、太平天国への評価は再び持ち直した。これは中国本土でも同様であった革命立役者孫文太平天国深く傾倒していたことや、キリスト教信仰明治維新以後解禁されたことから抵抗感薄れたためであろう洪秀全たちは長崎から亡命した大塩平八郎が名を変えたもので、その後太平天国の乱起こしたのだ、という珍説まで一時流布した。 太平天国と日本との逸話は、世界恐慌時代にもあった。洪秀全郷里広州花県に、1930年代(年不確定)に日本軍から洪秀全の子孫だという兵士二人訪れたという話がかの地伝えられている。これは日本軍の宣撫工作であった思われるまた、中国王暁秋日本広沢吉平らは、欧米列強が清と同様に開国たばかり日本でも太平天国の乱同様の民衆反乱誘発する事への危惧から、明治維新前後の日本国内戦乱に対して直接的な軍事介入を行うことなく結果的に列強日本植民地化する機会逸したとする説を唱えている。

※この「太平天国と日本」の解説は、「太平天国の乱」の解説の一部です。
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