十三人の合議制の実態と頼家の実績とは? わかりやすく解説

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十三人の合議制の実態と頼家の実績

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 05:39 UTC 版)

源頼家」の記事における「十三人の合議制の実態と頼家の実績」の解説

十三人の合議制は、頼家訴訟を「直に聴断」するのを停止し北条時政宿老13人の合議より取り計らい、彼ら以外の訴訟取次認めない定めたもので、通常は、就任早々頼朝先例覆す失政重ねて御家人信頼失った頼家から親裁奪い執権政治への第一歩になった理解されてきた。だが、現実には頼家による親裁事例存在する上、この体制自体実態不明な部分も多い。そもそも、その伏線とされる『吾妻鏡』建久14年4月12日条にて「幕下将軍御時定め置かるる事、改めらるるの始め」と評され後藤基清讃岐守護職罷免は、朝廷での処分対応した措置であり、続く同年3月23日伊勢神宮領6箇所地頭職停止にしても祈祷目的本所領家配慮した地頭職停止寄進頼朝時代から少なくはなく、失政とするには説得力乏しい。 近年の研究では、この体制将軍独断を防ぐ機能認めつつも、宿老合議経て頼家最終判断下す方式をとったもので、親裁自体否定してはいないとされる。すなわち、内実訴訟取次13人に限るという制度的な作ったもので、直前問注所開設機能拡大頼家期から進んだ訴訟機構としての政所整備、そして先述宿老役割考えても、若い頼家権力補完する体制整えられたものとすべきである頼家親裁の例として、正治2年1200年)の陸奥国新熊野社領の堺相論知られる『吾妻鏡』同年5月28日によれば、この訴訟に於いて頼家係争地絵図中央に線を引き、「所の広狭其の身の運否任すべし。使節の暇を費し、地下実検せしむるにあたはず。向後堺相論の事に於いては此の如く御成敗あるべし。若し未塵の由を存ずるの族に於いては其の相論を致すべからず」と述べたという。「暗君」を象徴する事例である。 だが、頼家本当に暗君であったかは疑問残り『吾妻鏡』によれば同年8月には側近の僧・源性陸奥国伊達郡堺相論実検下向しており、実際に上記方針貫かれわけではないまた、文書史料での頼家は、領家主張に理を認め尋問経ず地頭職停止する一方領主側の地頭停止要求対し地頭陳状踏まえ地頭補任頼朝決定であること、地頭不当な行為がないことを根拠に、その主張非拠として却下するなど、それなりの判断行なっている。 『吾妻鏡』建久10年8月10日によれば頼家陸奥出羽国地頭所務は、頼朝決定如く藤原氏時代旧規を守るよう命じ堺相論などの紛争を「非論」として抑制している。つまり、上記陸奥国における堺相論頼朝時代定め否定する等しい「非論」に他ならなかった、ということになる。とすると、頼家主眼はむしろ、代替わりに伴い増加した紛争訴訟抑えることや、頼朝時代決定遵守させることにあったのだと考えられるまた、正治2年1200年)に、国衙への介入等で後鳥羽院逆鱗触れた佐々木経高を、他の守護職等も合わせて停止しているように、正治元年1199年)末から建仁2年1202年)にかけて、頼家守護職務制限確定積極的に取り組んでいる。これと並んで頼家が熱心だったのが、『吾妻鏡』正治元年9月17日条や同2年正月15日条に見えるように、京都大番役勤仕を巡る問題であり、頼家大番役催促何度も守護厳命している。 以上のことを考慮すると、正治元年東国地頭荒野開発命じ武蔵国田文整えさせたことや(『吾妻鏡』正治元年11月30日条)、翌年政所命じて諸国田文提出させ、頼朝挙兵以後新恩所領500町を超えた分を召し上げ所領持たない者分け与えようとした件(『吾妻鏡』正治2年12月28日条)も注意が必要である。特に後者は、宿老反対実施見送られるが、中小御家人経済基盤確保という側面有しており、負担課す上で必要な措置とも言える賦課対象把握確保に繋がるこれらの取り組みは、御家人編成大番役整備併行する政策であった考えられる守護職務限定御家人制の再編京都大番役御家人役化は、頼朝晩年建久年間朝廷との交渉の中で行われていたことであり、頼家による諸政策は、頼朝末期路線継承した上で、それを確定して制度的に定着させる道筋作った

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