実検
実検
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 00:16 UTC 版)
実検の時には、床机をはずし、立って弓杖をつき、右手を太刀の柄にかけすこし太刀を抜きかけ、敵に向かうこころで右の方へ顔を外向け、左の目尻でただ一目見て、抜きかけの太刀をおさめ、弓を右手にとって弓杖につき、左手で扇を開き、昼ならば日の方を、夜ならば月を外にして左扇をつかう。首は一目で、二目とは見ない。真正面からは見ず、尻目にかける。太刀を従者にもたせるならば、左側に太刀の柄に手をかけすこし抜きかけて立たせる。 その他の者どももいずれも縁塗または折烏帽子に鎧直垂の上に鎧を着し、太刀を佩く。首実検を乞う者もまた同じである。足半や沓を穿くなどは不可であり、征矢を負う。作法が総じて戦場にあるが如きは、大将の首級などは敵方から奪還に来襲することも大いにあり得るからである。 実検の作法は、まず右手で髻をにぎり、引き上げめにして、右手に台を持ち下から受けて持って出て、すわるとき両膝をふせて安座する。ついで台を下に置き、首の耳に左手拇指を入れ、残る指で頤をおさえ、右手は頬から頤へあてて持ち上げ、首の横顔を見せて左へ回って立ち退く。帰るときは首を台にのせて持ち退く。実検のときは、大将とお目に掛ける者の間、大将の左方に奏者が居て、首をあげた者の名を披露する。つづいて首の名字をいう。首の台の無い場合は鼻紙またはふつうの扇裏を台として首を受けるように出す。 実検がすめば、首を中門の外の台または首桶の蓋の上に置き、首を敵方に向け、弓杖5つほど退いて立ち並んで、ときの声をあげる。つづいて縁の無い折敷に土器(かわらけ)を2つかさねて、向こうにコンブ1きれを置いて、コンブを首の口によせ傍に置き、上の杯に2度酒をつがせ、飲ませる体にして傍にふせて置き、またコンブを口に寄せ、下の杯に酒を2度いれて飲ませる体にする。このとき銚子の持ち方は常にかわり、左手を先にしかつらの星のところを持って、右手は長柄の折目を持って、左手甲のかたへ捻って逆に酒をつぐ。ここから、コンブ1きれ、杯2つ置くこと、2献のむこと、左酌で逆に酒をいれること、杯をうつぶせて置くことなどを忌みきらう。これが終って首を北の方へ捨てる。北は「にげる」と訓むからだという。
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