加工・流通
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 05:33 UTC 版)
ウィキメディア・コモンズには、ウニ料理に関連するカテゴリがあります。 古来より日本においてウニは、保存用に塩を用いて加工したものが、日本の三大珍味に数えられている。これは生食のウニではなく、あくまで「塩雲丹」と呼ばれる加工されたウニである。とくに知られていたのは「越前の雲丹」であり、「越前国(現在の福井県東部)で生産加工された塩雲丹」のことである。 現在の日本では、刺身や寿司ネタ、海鮮丼など生食することが多く、鮮度が重要視される。なお、ウニの臓器は、口に入れたときに雑味や臭みを感じさせるため、中に入っているであろう海藻と共に取り除かれる。 ウニの殻は、専用のウニ割り器を使うと比較的容易に開くことができるが、包丁でも割ること自体は簡単にできる。市販されるものは、殻を割ってあり、死んでから時間が経っているため、生臭さがあったり、保存や型くずれ防止のためにミョウバンやアルコールが添加され、食味・風味が劣ったりすることが多い。一方で殻ウニは割ってみるまで品質の善し悪しがわからないため、寿司屋を始めとする飲食店では品質の一定しているミョウバン処理された箱ウニを使う場合がほとんどである。他にも、近年は食味の劣化を防ぐために塩水でパックされたウニも出まわっている。旬は春から秋であるが、特に初夏のものは最も品質が良いとされ、それ以外の時期は冷凍品が出回る。 一般に生ウニとして板に載せ販売されているものは、精巣・卵巣が混ざったものである。卵巣は切るとゾル様に流れる特徴がある。精巣は白く半透明の精子が絡み付いていることがある。精巣の方が味が濃く美味とされており、精巣のみを集めたものは高価で、高級寿司店などに卸されている。 ウニの食味は、餌として食べる海藻などにより異なり、北海道の利尻島周辺海域のように高級昆布産地はウニの名産地でもある。個体による食味・品質差やそれを反映した価格差も大きい。一箱で500円の場合もあれば、10万円以上の値が付くこともある。築地市場時代を含む豊洲市場で卸売買では、少しずつ価格を上げていく競り合いでなく、一発勝負で高値をつけた業者が落札する商習慣であるため、目利きが求められる。 生物学者によれば、生殖巣(雲丹)のツブツブとした構造は卵ではなく生殖小のうとよばれ、精細胞か卵細胞と栄養細胞を保持している。毎年生殖小のうでは栄養細胞が先に成長し繁殖期に生殖細胞(精細胞・卵細胞)が作られ放出して縮小しまた栄養細胞の成長に戻るサイクルを、数年繰り返している。このうち食味に関しては栄養細胞が重要で、成長し(実入りが良く)生殖細胞がまだ現れていない時期、雌雄の違いがまだない時期が最も美味である。これが食品として雌雄の区別をしない理由である。またこの時期は取り出しても形を保っているが、この後に生殖細胞がつくられるにつれて生殖巣が溶け出すようになる。またアカウニ、バフンウニの雌の卵巣は苦味成分である含硫アミノ酸が出て味が落ちてくる。一方で雄は味が変わらないのだが、外見では選別できないためメスに合わせて漁期が決まることになる。 日本全国の沿岸や、中華人民共和国の渤海湾などで漁の対象となっており、浅い海の砂地や岩場に生息しているものが身が充実し美味とされる。水深数百メートルの深海からもタコなどの漁に際して一緒に捕れることも時折見られるが、深海はウニにとっては栄養豊富な餌が少ない環境であるため、食用となる部分も少なく、商品価値が低い。また、主な産地としては北海道の積丹、利尻島、礼文島が特に有名である。 生ウニとして食べるほかには、殻に載せて炭火などで焼いた(あるいはガスバーナーで表面に焦げ目を付けた)焼きウニ、パスタソースなどに利用される。青森県八戸市周辺の郷土料理いちご煮は、ウニとアワビの潮汁である。広島市周辺にはバターで炒めたホウレンソウまたはクレソンに生ウニを載せ、熱でとろける食感を味わう「ウニホーレン」(ウニクレソン)という料理があるとテレビで紹介されたが、実際に広島で提供している店は少数である。また、北海道や東北地方では、生ウニを1-2合くらいの瓶に詰めたものがスーパーマーケットなどで売られており、牛乳瓶に詰められたものも多い。 韓国や、中国でも渤海湾周辺を中心に食用とされる。特に海女漁が盛んな韓国の済州島では、ウニとワカメのスープ「ソンゲミヨククッ(성게미역국)」が郷土料理となっており、中国遼寧省の大連市や広東省の汕頭市、汕尾市では生食のほか、鶏卵を加えた蒸し物などの料理も高級料理として出される。台湾でも炒め物にされることがある。ニュージーランドでは Evechinus chloroticus(New Zealand sea urchin)がキナ(kina)と呼ばれ、生食やパイなどの形で食用にされている。欧米ではローマ帝国以来の伝統の食材であり、それを受け継ぐフランスの食通にもウニは珍重され、オムレツなどに入れられて食卓に並ぶ。ギリシャほか地中海沿岸国の一部地域や南米チリでも食用とされている。 ウニの刺身 キタムラサキウニの網焼き ウニのにぎり寿司 ウニの軍艦巻き ムラサキウニのウニイクラ丼 北海道積丹のウニ丼
※この「加工・流通」の解説は、「ウニ」の解説の一部です。
「加工・流通」を含む「ウニ」の記事については、「ウニ」の概要を参照ください。
- 加工・流通のページへのリンク