バフンウニとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > 魚類 > > バフンウニの意味・解説 

ばふん‐うに【馬×糞海胆】

読み方:ばふんうに

オオバフンウニ科のウニ沿岸岩礁にすみ、殻径約5センチ暗緑色でやや扁平な球状をし、とげは短い。東北地方以南多産し、練り雲丹(うに)などの材料にする。東北地方以北には別種エゾバフンウニ分布

馬糞海胆の画像
バフンウニの身
馬糞海胆の画像

バフンウニ

学名Hemicentrotus pulcherrimus 英名:Japanese green sea urchin
地方名カゼ 
棘皮動物門ウニ綱−ホンウニ目−オオバフンウニ科
色 形 長崎・日本・世界 住みか 料理

※出典:長崎県水産部ホームページ

特徴
日本特有の小型ウニである。トゲ短く密生し、殻は全体的にくすんだ褐色帯び馬糞似ていることからこの名がついた。大きな石の下潜り込んでいるが、表面海藻貝殻小石などをつけている。1〜3月産卵期である。バフンウニの加工品ムラサキウニのものよりおいしい。最近は日本近海での水揚げ量が減小し、台湾中国からの輸入にしめる割合高くなっている。

分布:北海道を除く全国の磯や近海 大きさ:4cm
漁法:  食べ方:生食塩ウニ、粒ウニ

馬糞海胆

読み方:バフンウニ(bafun’uni

オオバフンウニ科の海産動物

学名 Hemicentrotus pulcherrimus


バフンウニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 23:19 UTC 版)

バフンウニ
市場に並んだ
バフンウニHemicentrotus pulcherrimus
分類
: 動物界 Animalia
: 棘皮動物門 Echinodermata
: ウニ綱 Echinoidea
亜綱 : 真ウニ亜綱 Euechinoidea
上目 : ホンウニ上目 Echinacea
: ホンウニ目 Echinoida
亜目 : ホンウニ亜目 Echinina
: オオバフンウニ科 Strongylocentroidae
: バフンウニ属 Hemicentrotus
: バフンウニ H. pulcherrimus
学名
Hemicentrotus pulcherrimus
(A. Agassiz1863)
シノニム
和名
バフンウニ
バフンウニの骨格

バフンウニ(馬糞海胆、馬糞海栗、学名: Hemicentrotus pulcherrimus)は、オオバフンウニ科に属するウニの一種で、バフンウニ属 Hemicentrotus に属す唯一の日本台湾朝鮮半島中国沿岸の潮間帯から水深20 m程度の浅海に生息する。日本では古来食材として知られる。

特徴

ウニ口器MRI画像[1]。(P)が本種

殻径4 cm、殻高2 cm程度になる中型のウニ。殻の両面は扁平で、囲口部は平らで、全体に潰れたまんじゅうのような形をしている。5 mm程度の短い大棘が密生し、管足の配列は3縦列、歩帯孔対数は4である。体色は全体に暗緑色を帯びる。雌雄異体だが、外見から判別することはできない。

分布

北海道日本海[2]から九州中国中南部沿岸・朝鮮半島南部に分布し、潮間帯から水深20 mの岩礁などに普通に見られる。

生態

産卵期は1月から4月。産卵期になると、地域の成熟個体から一斉に放卵・放精が行われる。生殖巣の成熟は光条件の影響を受けず、これを支配する重要な環境因子は水温の高低であるという報告がなされており、また、生殖巣の成熟開始には高水温に一定期間さらされる必要がある[3]というが、水温のみが成熟を支配する因子ではないとする見解もある[4]。卵は径0.1 mm程度で、受精後60時間程度でプリズム型幼生、85時間から120時間でプルテウス幼生となりケイソウ等のプランクトンを捕食する浮遊生活に入る。成長に伴い幼生の腕の数が4本、6本、8本と増え、45日程度で成体型の棘と管足が生えた「稚ウニ」に変態して海底に移動し、歩行生活を始める。1年から2年で成熟する。成体は海藻のほか、動物の死骸等も食べる雑食性である。

毒性

無毒だが、苦味物質のプルケリミン(4S-[2'-カルボキシ-2'S-ヒドロキシエチルチオ]-2R-ピペリジンカルボキシル酸)[5]を含む 。プルケリミンはメス[6]生殖腺の成長に伴い増加し、放精・放卵後に減少する[7]

利用

食用とされるほか、実験動物、アクアリウムにてペットとして飼育されることがある。

食用

精巣・卵巣ともに、生殖腺が食用となる。1個体あたりの可食部は2 g程度。前述の、苦味物質プルケリミンは産卵・放精後に減少し、成熟に伴い増加する[6]ため、産卵期直前から産卵期内は個体によって(特に雌個体の卵巣)苦みが強く、食用に適さない。産卵期が終了すると、生殖腺は萎縮した状態となる(放出期)。その後生殖腺は栄養細胞で満たされ、肥大する。この時期が最も食用に適した時期とされる。食用として、新鮮なものを生ウニとして利用するほか、塩蔵品の塩ウニ、塩または酒を混ぜたものを練りつぶした練ウニが流通する。福井県では伝統的に、本種の生殖腺に塩を用いた保存食を作る。これは越前のウニと呼ばれ、肥後カラスミ三河くちこと並び「天下の三珍」として知られる。一方で津軽海峡西部沿岸においては、生ではえぐ味が強くて食用には不適であるとして、古くから「イヌガゼ」の俗称で呼ばれ、まったく漁獲利用されていないという[8]

漁獲は、資源保護のため各地で漁期が決められており、海女海士による素潜り漁のほか、舟の上から箱眼鏡などを用いて水中を観察し、たも網や鈎で捕集する「舟採り」などによって行われている。アオサテングサが豊富に繁茂する漁場の個体は、生殖腺の色は明るく、味も良いとされる[9]

実験動物

卵細胞中に色素顆粒を含むため核分裂の観察に適し、発生学の実験および教育に用いられる。また、生息数が多く捕獲が容易であること、人工授精が容易であること、個体による産卵期の違いが小さいこともモデル生物としての利点として挙げられる。特に本種は日本の都市圏沿岸でも容易に採取できることから、教育実験に適している。

人に関わる歴史

古来より「ガゼ(甲贏)」と呼ばれ、「ウニ(棘甲贏)」(ムラサキウニ)とともに古来より食用とされてきた。特に本種は、若狭国貢納品として延喜式にも記録が残る[10]。さらに古く、各地の貝塚からも本種の死殻が発見されている[11]

近縁種

本種は一属一種であるため、同属の近縁種はいないが、形態的に類似し、分布地域が重なっている他のウニ類との正確な識別は、ときに困難な場合がある。

画像 和名(学名) 分布 特徴
エゾバフンウニ
(Strongylocentrotus intermedius (A. Agassiz1863))
北海道から太平洋岸は関東以北、日本海側では中国地方、ほか中国東北部からロシア沿海州に産する。バフンウニより比較的北に分布する。 バフンウニより一回り大きく、歩帯板の孔対数が5であることで区別ができる。
ツガルウニ (フランス語版)
(Glyptocidaris crenularis A. Agassiz1863)
日本では関東以北に分布するほか、中国北部、黄海に分布。 バフンウニより一回り大きく、殻の色が淡褐色であること、棘がより長いこと(3cm程度)などで識別が可能である。
シラヒゲウニ
(Tripneustes gratilla (Linnaeus1758))
紀伊半島伊南の暖海、沖縄に生息。 バフンウニやエゾバフンウニよりさらに大型で、大棘の色は白または黒。大棘に貝殻や藻の切れ端をくっつけてカモフラージュすることが多い。

脚注

  1. ^ Evolution of a Novel Muscle Design in Sea Urchins (Echinodermata: Echinoidea) , doi:10.1371/journal.pone.0037520
  2. ^ 利尻研究(33):83-86,分布北限域の利尻島に生息したバフンウニ”. さくらのレンタルサーバ (2014年3月). 2025年7月9日閲覧。
  3. ^ 吉田正夫、1988.昭和62年度海洋資源生物再生産の初期過程研究成果報告書.p. 130-139.
  4. ^ 伊藤史郎, 柴山雅洋, 小早川淳 ほか、「水温制御によるバフンウニHemicentrotus pulcherrimusの成熟,産卵促進」 『日本水産学会誌』 1989年 55巻 5号 p.757-763, doi:10.2331/suisan.55.757
  5. ^ 村田裕子、「バフンウニの苦味成分に関する研究(平成13年度日本水産学会賞奨励賞受賞)」『日本水産学会誌』 2002年 68巻 4号 p.513-515, doi:10.2331/suisan.68.513
  6. ^ a b 村田裕子, 山本達也, 金庭正樹 ほか、「バフンウニ生殖腺の苦味の発現頻度」『日本水産学会誌』 1998年 64巻 3号 p.477-478, doi:10.2331/suisan.64.477, 日本水産学会
  7. ^ Murata, Y., Yokoyama, M., Unuma, T., Usata, N., Kuwahara, R., and M. Kaneniwa, 2002. Seasonal changes of bitterness and pulcherrimine content in gonads of green sea urchin Hemicentrotus pulcherrimus at Iwaki in Fukushima Prefecture. Fisheries Science 68: 184-189.
  8. ^ 吾妻行雄、「北海道南部沿岸に生息するバフンウニ, Hemicentrotus pulclcherrimus生殖巣の季節的変化」 『水産増殖』 1992年 40巻 4号 p.475-478,doi:10.11233/aquaculturesci1953.40.475
  9. ^ 中村達夫, 芳永春男、「山口県外海産のウニについて」 『水産増殖』 1962年 9巻 4号 p.189-200, doi:10.11233/aquaculturesci1953.9.189
  10. ^ 福島好和、「古代諸国貢納水産物の分布について」 『人文地理』 1971年 23巻 5号 p.495-525, doi:10.4200/jjhg1948.23.495
  11. ^ 朝日遺跡II 自然科学編 愛知県埋蔵文化財センター調査報告書 第31集 1992年

参考文献


「バフンウニ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



バフンウニと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「バフンウニ」の関連用語

バフンウニのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



バフンウニのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
長崎県水産部長崎県水産部
Copyright © Nagasaki Pref. Japan.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのバフンウニ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS