劇場用映画の音響フォーマットとは? わかりやすく解説

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劇場用映画の音響フォーマット

ルミエール兄弟(仏)、エジソン(米)によって発明され映画は、当初音声の無い「無声サイレント映画」として始まったが、1930年代光学式サウンドトラック開発され映画は「音声」を得ることとなった。(トーキー映画)しかし録音特性は40Hz〜9kHzまでの狭帯域で、しかも劇場再生設備悪さから実際には70Hz〜4kHzまでを再現するのがせいぜいで、雑音歪み多く性能的には大変劣っていた。

その後ドルビー研究所ノイズリダクション技術駆使して雑音除去取り組んだが、全体解決させるには至らずしばらくの間映画のサウンドトラック劣悪なものであった

一方でステレオ音響化」が試みられ1940年代にはウォルト・ディズニー映画ファンタジア」が FANTASOUNDと名付けたマルチトラック・サウンドを発表した現在のような「ハイファイステレオ音響」に近い方式現れたのは1950年代であるが、ロックオペラ映画トミー」で、実験的に「ドルビーステレオ・サラウンド(アナログ方式)」が取り入れられ公開されたのは1975年であった

「ドルビーステレオ・サラウンド」が本格的に使用されるようになったのは、1977年公開された「スターウォ−ズ」からで、その後未知との遭遇」「サタデイナイト・フィーバー」「スーパーマン」「グリース」「エイリアン」「ハリケーン」「地獄の黙示録」等が続々続き不動のものとなっていった。以降改良方式新たなシステム実現され今日至っている。

【参】付図10

ドルビーステレオAタイプ) Dollby Stereo A-type

米国ドルビ−社が1975年開発した35mm劇場用映画のための「光学方式」によるサウンドシステムで、正面スクリーン裏に L(左)、 C (中央)、 R (右)、の3チャンネル客席左右及び背部壁面上部複数スピーカー配置するサラウンドチャンネルを1チャンネル設け、計4チャンネル構成となっている。

上映プリントには画像の横に3.9mm幅のサウンドトラックモノラル音声時代から用意されているが、2分割して2チャンネルとして使用しマスター音声4チャンネルマトリクス方式呼ばれる方法によって2チャンネル変換し収録している。

劇場での再生ではマトリクス方式により4チャンネル・ステレオサラウンド音声にて上映するシステムである。

ドルビーステレオAタイプ)は、その後、同じアナログ記録の「SRタイプ」として改良され音質向上している。

ビデオパッケージ商品テレビ放映に際しては、元の2チャンネルステレオ音声として利用できる家庭では民生用デコーダー使用することにより、劇場並み4チャンネル音声復元することが可能。

【参】ドルビーステレオSR

ドルビーステレオ SRDollby Stereo Spectral Recording

米国ドルビー社が開発した35mm劇場用映画のための「光学方式」によるサウンドシステムドルビーステレオAタイプ)を改良したもので、同じアナログ記録方式であるが、ダイナミックレンジ拡大歪率低下図られ音質著しく向上している。1987年日本公開された「スタートレック4」での採用最初で、「ロボコップ」「ランボー3」「レインマン」等が続き現在の標準となっている。邦画作品では劇場設備の関係からかしばらくの間Aタイプ」のままであったが、1997年頃には多く作品が「SR」の採用始めた

【参】ドルビーステレオAタイプ),ダイナミックレンジ

ドルビーデジタル Dollby Digital

米国ドルビー社が開発した35mm劇場映画のための「光学方式」によるデジタルサウンドシステムで、1992年米国映画バットマン・リターンズ」で初公開された。

スクリーン裏に L(左)、 C(中央)、 R(右)の3チャンネル客席取り囲むサラウンドチャンネルを LS左側サラウンド)、RS右側サラウンド)に分けて2チャンネル、更に効果用の超低音専用チャンネル1チャンネル有し、計6チャンネル構成となっている。但し超低音チャンネルオーディオ周波数全帯域の10%程度にあたる低音域のみを扱うため、業界では0.1チャンネルとして扱い全体5.1 チャンネルとして通称している。上映プリントでは、既存のアナログサウンドトラックを残したままパーフォレーションの間にデジタル記録している。

ドルビーデジタルEX  Dolby Digital Surround EX

ドルビーデジタル方式サラウンドにバックサラウンド(センターサラウンド)チャンネル追加したもの。ドルビーデジタルの6チャンネル構成通称5.1チャンネル)に背面BS(バックサラウンド)チャンネル加え全体7チャンネル構成とし、6.1チャンネル称している。

ちなみに3つのサラウンドチャンネルは、マトリックス方式により2つチャンネルエンコードして記録再生時にデコードして3つのチャンネル復元している。

ジョージルーカス監督「スター・ウォ−ズ/エピソード1」にて始めて採用された。前方から後方へ、後方から前方への音の定位明解になる。

【参】ドルビーデジタル

DTS Digital Theater Systems

米国デジタル・シアター・システムズ社が開発した劇場映画用記録再生システムで、チャンネル数スピーカーの配置ドルビーデジタル同様の5.1チャンネルである。

音声記録CD-ROMおこない映写プリントにはタイムコード記録しておき同期再生させるシステムで、音声信号を1/4に圧縮することにより2枚ディスク最長3時間20分5.1チャンネルデジタルオーディオ記録できる。

映写プリントCD-ROM同期運転させる不便さがある反面音楽用CDに近い高音質得られる

DTS-ES

DTSシステムのサラウンドチャンネルを更に細分化したシステム

客席取り囲む左側壁面LS左側サラウンド)、左側背面LBS(左後方サラウンド)、右側壁面RS右側サラウンド)、右側背面RBS(右後方サラウンド)の4つのサラウンドチャンネルを設定して全体を8チャンネル構成7.1 チャンネル)とし、サラウンド音声定位感明解なものにしている。

ちなみに4つのサラウンドチャンネルは、マトリックス方式により2つチャンネルエンコードして記録再生時にデコードして4つチャンネル復元している。

ただし、多く映画では、ドルビーデジタルEXとの互換性から背面後方サラウンドは、モノラル仕様となっている。

DTSアナログ

ドルビー・ステレオAタイプ)及びSRタイプ互換性のあるマトリクス方式による4チャンネルシステムで、映写プリント既存サウンドトラックアナログ信号による2チャンネル記録行っている。音声収録時にDTS社のエンコーダー使用する以外ドルビー・ステレオ方式違いはなく、同じものと考えて良い

SDDS Sony Dynamic Digital Sound

1993年ソニー開発したデジタルサウンドシステムで、上映プリントパーフォレーション外側箇所使って光学的にデジタル記録をしている。

スクリーン裏にL(レフト)、LC(レフトセンター)、C(センター)、RC(ライトセンター)、R(ライト)の5チャンネル客席取り囲むサラウンドチャンネルをSL左壁・左背面)、SR(右壁・右背面)に分けて2チャンネル、更に効果用の超低音専用チャンネル1チャンネル有し、計8チャンネル構成となっている。

但し、超低音チャンネル他のシステム同様に0.1チャンネルとして扱い全体7.1チャンネル通称している。

70mm映画以外では前面5チャンネル配置する必要が少ないことから、映画製作者は予め5.1チャンネル構成選択するともできる

逆に5.1チャンネル音響設備しかない劇場場合には、劇場設置されるデコーダーにて7.1チャンネルから5.1チャンネル変換され興行上の問題起こらないように考慮されている。

記録信号MD等で用いられているATRAC呼ばれるデジタルデータ圧縮方式(約1/5圧縮)を採用している。



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