使用されるソフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 00:02 UTC 版)
「Classic Tetris World Championship」の記事における「使用されるソフト」の解説
本大会で用いられる、任天堂から1989年に発売された北米版NES「テトリス」(以下、鉤括弧表記の「テトリス」は同作のことを指す)は日本未発売のゲームソフトであり、また映像信号の方式がNTSCではなくPALを採用するヨーロッパ諸国で販売されていたバージョンは各種移動パラメータの調整が異なる(CTECの項も参照)ため、本項にて大会で使われる「テトリス」の特徴を説明する。 「テトリス」は一人用のゲームであり、開始時のレベル(スピード)を設定して、ブロックが最上段に積み上がってゲームオーバーとなるまでエンドレスにプレイするA-TYPEと、開始時のレベルと盤面の高さ(ブロックがランダムに初期配置される)を設定し、25ラインを消せばゲームクリアとなるB-TYPEという2つのモードがあるが、近年の大会ではもっぱらA-TYPEのみが競技で用いられる。 A-TYPEでは、原則として10ラインを消去するごとにレベルが1上がり、消去点に掛かる倍率が増え、テトリミノ(操作するブロック)の落下速度が上昇する(一部速度の変化しないレベルもある)。ライン消去時の得点は基本点×(レベル+1)で与えられ、基本点はシングルが40点、ダブルが100点(1列あたり50点)、トリプルが300点(同100点)、テトリスが1,200点(同300点)である。4列同時消去であるテトリスの得点効率は他より3倍以上高い上に、T-SPINや全消しボーナスも存在せず、下ボタンを押して得られる落下点も少ないため、可能な限りテトリスで消すことが高得点を狙うのに重要である。 「テトリス」は、初期のテトリス作品のため後世の作品に見られる、プレイヤーにとって有利になるような実装がされていない。 ネクストは次の1手しか表示されず、現在操作中のテトリミノと入れ替えることができるホールド機能も存在しない。 操作中のテトリミノが着地した後の「遊び」の時間がないため、着地後はほぼ即時に(正確には1マスの落下に必要な時間が経過した後に)固定されてしまう。 ブロックの抽籤は偏り補正がない疑似乱数により行われるため、場合によって特定のテトリミノが数十手にわたって降ってこないことがある。(本大会では、テトリス(4列同時消去)が唯一可能なI-テトリミノが長期にわたって出現しないことを俗に「ドラウト」(drought、干ばつの意)と呼び、テトリスだけを狙い続けるのはリスクが高い行為であることを示唆している。) 本作は、横方向に十字キーを押しっぱなしにしたときの移動速度が遅く、最初の1マス目こそ入力直後に移動するが、2マス目の移動時に約0.27秒のディレイが発生して、そのディレイを超えると「タメ」状態が有効になり約0.1秒おきに横移動が発生する(この横タメによる操作はDelayed Auto-Shiftあるいは頭字語でDASと呼ばれる)。しかしながら、レベルの増加による落下速度の上昇に伴い、この操作方法ではテトリミノの可動範囲が大きく制限される。特にレベル19から28まで(天井から床までの落下に要する時間が約2/3秒)では盤面の半分の高さまで来るとテトリミノを左右の端に移動することができなくなり、そしてレベル29以降(同、約1/3秒)になると左右移動はできても2~3マス程度であり、ゲームを続けることは事実上不可能である。このレベル29の落下速度は、バグなどによってこれ以上プレイの続行が出来ない状況を指すレトロゲームの慣例にならい「キルスクリーン」と呼ばれていた。 しかしながら、横タメによる操作ではなく十字キーの左右を高速に連打してテトリミノの可動範囲を増やすことで、結果的に上記の「キルスクリーン」が実は本当のキルスクリーンではなく、プレイが継続可能であることが示された。 十字キーの左右ボタンを1秒間に10回の速度で連打できるならば、横タメ移動のディレイが無い状態に相当するため、テトリミノの可動域に余裕が発生する。この操作方法は「ハイパータッピング」(hypertapping)と呼ばれる。ボタンを押す回数の正確さが常に要求されるが、連打速度さえ安定すれば横タメによる操作よりも明らかに優位に立てるので、初めてハイパータッピングを採用したプレイヤーが2018年に優勝してから、それまで数名しかいなかった使用者が急増し、後の大会ではハイパータッピング使用者が上位を独占するまでになり、その上位選手層も幼少期から「テトリス」をプレイしていた30代~40代中心の世代から一転、多くが10代~20代の選手へと極端に低年齢化した。また、コントローラーの背面を複数の指でピアノの鍵盤をなでるように叩いて、十字キーに添えたもう片手の指で入力を行う「ローリング」(rolling)という操作法が2020年11月ごろに発明されてから注目を集め、トッププレイヤーが訓練を重ねた結果これまでの得点や到達レベルの世界記録が2倍以上更新される事態となり、先のハイパータッピングを駆逐しうる勢いでトーナメントシーンを席巻した。 さて、大会で使われる「テトリス」は日本では発売されなかったため、日本国内でプレイするにはゲームソフト自体に加えて北米のNTSC仕様であるNES本体自体も入手するか、ファミリーコンピューターでNESのソフトを使用出来る非純正のアダプターを利用するしかなかった。しかし、「Tetris Effect」のアップデートである「Tetris Effect: Connected」が2020年7月23日に発表され、このゲームのルールを再現し、かつマルチプレイヤー対戦時にはブロックの降ってくる順番が両者同じになる「クラシックスコアアタック」モードが導入されることがアナウンスされた。これにより、発売から30年後にCTWCのルールに近いテトリスが初めて日本国内でリリースされることになった。2018年大会からCTWCに出場した立島智央は、クラシックスコアアタックを含むマルチプレイヤーモードのリードデザイナーであり、同年のCTWCへの出場、そして現地での水口哲也との出会いが「Connected」のマルチプレイヤーモードを作るきっかけとなった。
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