三式戦闘機二型における発動機供給問題とは? わかりやすく解説

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三式戦闘機二型における発動機供給問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 23:56 UTC 版)

五式戦闘機」の記事における「三式戦闘機二型における発動機供給問題」の解説

三式戦闘機」、「三式戦闘機#ハ40の故障と整備」、「三式戦闘機#二型(キ61-II改)」、および「ハ40」も参照 五式戦闘機は、前面投影量が少なく空気抵抗少な液冷エンジン搭載した三式戦闘機二型機体に、本来搭載予定されていなかった直径大きな空冷星型エンジン緊急に取り付けて戦力化したものである。 三式戦闘機は元々、ドイツ液冷倒立12気筒エンジンDB601国産化川崎ライセンス生産していたハ40(離昇出力1175馬力)を搭載していた。初期型三式戦一型甲/乙型は12.7mm機関砲4門、または12.7mm機関砲2門と7.7mm機関銃2門の武装備えて590km/hを発揮した登場時期においては相応優秀な機体であり、戦局有利に運ばなかったものの、1943年から1945年にかけ、ニューギニアフィリピン連合国機体相手として善く戦った。 ただし液冷航空エンジン生産は、当時日本機械加工技術では手に余った多気筒直/並列エンジン構造クランクシャフトカムシャフト星形より長くなるが、当時日本では長い部材必要な精度強度持たせる加工が困難であった。また一部合金制限などを受けながら生産したという事情もあり多く不具合生じた。また前線整備兵液冷エンジン取り扱いには不慣れであった原因としてマニュアル不備教育不徹底整備方法拙劣さが挙げられる。これらは三式戦闘機稼働率直結し直接戦闘力はともかく、信頼性戦力定数揃え上でかなりの不満があるものであり、川崎内部でも以前より空冷化案が出て立ち消えていたという。 後期型三式戦一型丁は12.7mm機関砲2門に20mm機関砲2門と武装強化し、また相応防弾性能持たせたが、改造による重量増で速度が560km/hに落ち上昇力低下するなど飛行性能悪化した三式戦闘機これ以上性能改善にはより強力な新型エンジン必要な状況であった。特に過給器など高空性能支持するエンジン技術には不足が多く、高度10,000m付近では飛行維持するもしくは浮かんでいるのがやっとの状態であり、この高度を巡航するB-29迎撃おぼつかなかった。従ってB-29邀撃には待ち伏せして一撃をかけるのが精一杯であった。この高空性能の不足は最後まで改善見ず三式戦闘機においては機銃一部防弾装甲などを外してなんとか戦闘空域まで上昇し体当たり攻撃が行われたほどであった1942年春、ハ40基本的な構造そのままとし、1500馬力液冷倒立V12気筒エンジンハ140の開発が行われた。この新型エンジン吸気圧を上げてエンジン回転数を2,500rpmから2,750rpmとし、離昇出力を1175馬力から1500馬力高め大型化した過給器冷却のために水メタノール噴射装置導入したのであるしかしながらこのエンジン生産は非常に難航した。このエンジン搭載した最初型式であるキ61-IIは、1943年9月から1944年1月までに8機の試作中止され、9機目からはキ61-II改、三式戦闘機二型として生産されたが、1944年8月までに30機の増加試作経ても、未だにエンジンであるハ140生産安定するには至らなかった。明石工場通いトラブル調査行っていた審査部名取智男大尉も、ハ140には見込み無く整備屋としてこれに乗って飛んでくれとはとても言えないと考えていた。 エンジン生産数を見るならば、44年7月20納入予定が8台、8月40納入予定わずかに5台、9月至っては1台であった一説にはこの時海軍アツタ調達して装備することが検討されたとも言われるが、両エンジン仕様の違いなどから実現しなかった。1944年8月には三式戦二型実戦化に見切り付けられた。機体生産削減が行われ、代わりに四式重爆撃機生産指示される削減後にも工場内において低調生産続けられ1944年12月から1945年2月時期には三式戦二型の首無し機体常時200程度川崎工場内に滞るという異常事態起きた航空戦力として全く期待できない状況であった最終的に三式戦闘機二型生産100程度で一旦打ちきられることとなった。しかし、アメリカ軍爆撃により完成機の一部破壊され陸軍納入されたのは60程度であった。なお、1945年6月から8月整備計画には三式戦闘機残されていることから、ハ140生産安定すれば生産再開され可能性がある。

※この「三式戦闘機二型における発動機供給問題」の解説は、「五式戦闘機」の解説の一部です。
「三式戦闘機二型における発動機供給問題」を含む「五式戦闘機」の記事については、「五式戦闘機」の概要を参照ください。

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