ヴォルテールの反教権主義とは? わかりやすく解説

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ヴォルテールの反教権主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:54 UTC 版)

ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事における「ヴォルテールの反教権主義」の解説

ヴォルテール3年間のイギリス亡命生活経て哲学書簡フランス語版)』(1734年)を著しそのなかでロンドン証券取引所において国教会信者非国教徒カトリック教徒も、ユダヤ人ムスリムにいたるまで対等立場取引している光景描いたほか、議会主権イギリスではさまざまな党派平穏に活動して理神論者存在許されているとして自国比較してイギリス国制市民的自由、信教の自由称えジョン・ロック果たした思想的役割高く評価した経済活動の自由信仰の自由とともに歩むものであり、これによって初めて平和と繁栄実現されるヴォルテール主張した一方、彼は自身著作ルイ14世世紀フランス語版)』(1751年)のなかで人類の「4つ幸福な時代」として、ペリクレスプラトン代表される古代ギリシアキケロとユリウス・カエサル代表される古代ローマメディチ家ルネサンス時代、そしてフランスルイ14世時代挙げている。これらと対照的なのが「信仰の時代」であり、これを悲惨遅れた暗黒時代みなしたヴォルテールロック同様に寛容説き少なくとも当初無神論にも反対した。ヴォルテール宗教がなぜ必要なのかについて、「法は表に現れ犯罪目を光らせ宗教隠れた犯罪目を光らせるから」と述べている。ただし、ヴォルテールよりどころにしたのは、自身歴史哲学であり、「かつてはおそらく必要であった不寛容勅令がもはや必要ではなくなっているとみなしたというのも、いまや「理性」が社会前面現れ人々を「啓蒙」しているからである。あるいはまた、ヴォルテールヨーロッパの歴史一種例外とみる歴史観持ち合わせており、彼によれば「ギリシア人ローマ人ユダヤ人中国人日本人」などはみずから寛容であることを示してきたのであり、不寛容さはむしろキリスト教とりわけ教皇権至上主義者やイエズス会士下層民などのカトリック信仰とともにあると考えたヴォルテール世界最高の文明中国だと断言したのに対しヨーロッパ諸国歴訪体験読書による知識によって法制度と風土経済宗教習俗との関係を明らかにした法社会学の祖シャルル・ド・モンテスキューは、1748年有名な法の精神』を著しており、そのなかで中国について論じているが、中国にはおびただしい貧困蔓延しており、人々専制体制下にあると記している。専制支配反対する点では他のフィロゾーフたちと同じであったが、モンテスキュー貴族聖職者高等法院都市など特権をもつ中間の社団組織活性化させることによって国王権力濫用抑止し、個人の自由確保主張した。同著は、立法権行政権司法権いわゆる三権分立」の理論提唱したことで知られ、これはとくにアメリカ合衆国成立とその国制大きな影響与えた1761年宗教対立続いていたトゥールーズにおいて、新教徒のジャン・カラスがカトリック改宗した息子殺害した疑い死刑判決を受けるカラス事件フランス語版)が発生した1763年69歳となっていたヴォルテールは『寛容論(フランス語版)』を著すなど精力的に再審運動展開している。世人関心喚起する目的3年間に書いた手紙の数は約500通におよび、そのうちの何通かは国王側近にも達した。『寛容論』では狂信偏見人類与えてきた害を告発しイギリスにおいてカトリック享受している寛容さ着想得てフランスプロテスタントに対しても「理性精神」に信頼して寛容発揮しようと働きかけた。1765年国王諮問会議判決無効宣告しカラス無罪になったとともに名誉回復なされたヴォルテール説く寛容ロック唱えた政教分離理論化ではなく反教権主義ガリカニスム方向性有しており、イエズス会廃止という主張ともなっていた。当初ヴォルテールローマ教皇イエズス会司祭敵愾心燃やしイングランド平和的なクエーカー教徒フレンド派)を称賛していたが、やがてキリスト教全般に攻撃加えようになった

※この「ヴォルテールの反教権主義」の解説は、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の解説の一部です。
「ヴォルテールの反教権主義」を含む「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事については、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の概要を参照ください。

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