ヴォルテラの乗法的積分の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/09 22:39 UTC 版)
「乗法的積分」の記事における「ヴォルテラの乗法的積分の場合」の解説
単函数は階段函数を一般化するものであるから、以下では単函数としてそれが階段函数になっている特別の場合のみを考えるが、議論としてはそれで十分であることに注意する。これにより、リーマン式の定義と比べてルベーグ式の定義の方が平易なものとなる。 区間の分割 a = y0 < y1 < ⋯ < ym に対応する階段函数 f: [a, b] → R および点付き分割 a = x 0 < x 1 < ⋯ < x n = b , x 0 ≤ t 0 ≤ x 1 , x 1 ≤ t 1 ≤ x 2 , … , x n − 1 ≤ t n − 1 ≤ x n {\displaystyle a=x_{0}<x_{1}<\dots <x_{n}=b,\quad x_{0}\leq t_{0}\leq x_{1},x_{1}\leq t_{1}\leq x_{2},\dots ,x_{n-1}\leq t_{n-1}\leq x_{n}} を考えると、この函数のヴォルテラ積分の「リーマン式」の近似は ∏ k = 0 n − 1 [ ( 1 + f ( t k ) ) ⋅ ( x k + 1 − x k ) ] {\displaystyle \prod _{k=0}^{n-1}[{\big (}1+f(t_{k}){\big )}\cdot (x_{k+1}-x_{k})]} で与えられる。大まかに言って、ヴォルテラ積分はこのような積の極限として Schlesinger, Ludwig (1931), Neue Grundlagen für einen Infinitesimalkalkul der Matrizen (「行列の無限小解析に対する新たな基礎」)で定義された ヴォルテラ積分のこのリーマン式の定義は、ほかにも ∏ k = 0 n − 1 exp ( f ( t k ) ⋅ ( x k + 1 − x k ) ) {\displaystyle \prod _{k=0}^{n-1}\exp(f(t_{k})\cdot (x_{k+1}-x_{k}))} と近似を定義できて、f が定数函数のとき先の近似とこの近似の極限は一致する。ここで、一般に、階段函数に対して後者の近似は(それがもとの階段函数を定義する分割の細分である限りにおいて)分割のとり方に依存しない(対して、前者はそのような細分だけを考えても分割のとり方に依存する)ことに注意する。 さらに「任意の」ヴォルテラ積分な函数 f に対して、上記二つの近似の極限は一致することが示せる。階段函数に対して後者の近似が「十分細かい」分割に対してはその分割の細かさに依存しないのだから、階段函数に対する「ルベーグ式の」ヴォルテラ積分(ルベーグ乗法的積分)を ∏ a b ( 1 + f ( x ) d x ) := def ∏ k = 0 m − 1 exp ( f ( s k ) ⋅ ( y k + 1 − y k ) ) {\displaystyle \prod _{a}^{b}(1+f(x)\,dx){\overset {\text{def}}{{}:={}}}\prod _{k=0}^{m-1}\exp(f(s_{k})\cdot (y_{k+1}-y_{k}))} と定義することは意味を為す。ただし、 y 0 < a = s 0 < y 1 < ⋯ < y n − 1 < s n − 1 < y n = b {\textstyle y_{0}
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