バイエルン州公共施設での十字架設置をめぐる論争
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「マルクス・ゼーダー」の記事における「バイエルン州公共施設での十字架設置をめぐる論争」の解説
バイエルン州にある全公共施設に2018年6月1日から十字架を据え付けるとしたバイエルン州政府の2018年4月24日の決定に関して、「十字架は宗教的象徴ではなく、むしろバイエルンのアイデンティティと生活様式を反映している」とゼーダーは説明した。十字架設置に関するこの決定はドイツ全土に対立的な議論を呼び起こした。 キリスト教会の代表者たちの多くは反対した。 キリスト教社会同盟 (CSU)幹事長マルクス・ブルーメは、当初は十字架設置の決定に対する批判者たちを宗教嫌いと自己否定する者たちの不信心連合と名づけた。 フランク=ヴァルター・シュタインマイアードイツ連邦共和国大統領は十字架設置の決定から距離を置いた。 私はバイエルン州政府による決定を担当する仲裁判事ではないが、我々が判断する際に助けになるドイツ基本法の尺度に照らしてみると若干の問題がある。 1995年の段階において、十字架はキリスト教の本質的事項を象徴していると連邦憲法裁判所が判断していた。その判断に従って、マルクス枢機卿の言うように十字架は国家ではなく教会に設置されるものなのである。この範例を州政府は尊重すべきであった。私自身キリスト教信仰を持つ者として語るが、日曜日においても我々は教会に通わない状況にあり、十字架は公共施設に設置できないのではないか — Rheinische Post ドイツ連邦議会 における同盟90/緑の党院内総務でドイツ福音主義教会 (EKD)前総会議長でもあったカトリン・ゲーリング=エッカルト は、バイエルン州の十字架設置に関する決定をキリスト者にとって恥ずべき行為であると言及した。十字架を文化的象徴と見なしたことで、キリスト教信仰から十字架を切り離してしまったとして、自由民主党(FDP)党首のクリスティアン・リントナーはゼーダーを批判した。ドイツ連邦議会元議長でドイツ社会民主党(SPD)の政治家であると同時に、ドイツ・カトリック教徒中央委員会のメンバーでもあるヴォルフガング・ティールゼは、十字架というキリスト教的象徴を政治闘争の道具として用いるべきではなかったとゼーダーを批判した。ドイツ基本法によって存立する州は世界観において宗教的には中立的存在であり、あらゆる宗教に開かれていると見なした。 「十字架設置を強制すべきではない」として、ローマ・カトリック教会のラインハルト・マルクス枢機卿 (ミュンヘン・フライジング大司教およびドイツ・カトリック教会司教会議議長)がゼーダーを強く批判した。「十字架設置によって、社会が分断され、騒擾、抗争が生じてしまう。十字架は単に文化的象徴として理解されるべきではない。公共施設に設置された十字架は州の名において接収されるべきである。十字架の大切さを解き明かすことは州には相応しくない。十字架は暴力、不正義、罪と死への抵抗でもあり、他の人々へ向けた象徴ではない。十字架に関する社会的議論は評価すべき重要なものであるが、キリスト者、イスラム教徒、ユダヤ教徒と無宗教の人々も含むあらゆる人々を考慮するべきであると」とマルクス枢機卿はミュンヘン発行の南ドイツ新聞日曜版で語った。ミュンヘン司教区のヴォルフガング・ビショーフ補佐司教は「バイエルン州にとって、十字架は象徴ではなく、バイエルンのアイデンティティでもない」と語り、ゼーダーの発言を批判した。さらに、「十字架の精神でもって働く者は人間そのものを対象の中心に見据えるのであり、とりわけ、苦境にある人間たちに配慮するのである。象徴的言葉を用いてメディアで影響力を示そうとするのではなく、信頼性という意味において、納得のいく行為を実践するのが大切である」と述べた。ドイツ・カトリック青年団バイエルン支部と福音主義青年団は協働して、公開書簡を作成しゼーダー州首相と彼の内閣に送付した。十字架を政治的、国家主義的に理解して利用したことに、個人としてショックを受け、驚愕したと記していた。 バイエルン福音ルター派教会 のハインリヒ・ベッドフォード=ストローム 監督(ドイツ福音主義教会(EKD)常議員会議長)は「十字架は何よりも宗教的象徴である」と語り、ゼーダーに反論した。さらに、十字架を公共施設に掲げる決定は歓迎できるが、本来の意味を理解しないまま十字架設置の目的を根拠づけると、キリスト教のみで占有することになってしまうと指摘した。難民を含む異なる信仰を持つ者たちを拒絶するために十字架を用いるべきではないと諫めた。 これとは反対に、ローマ・カトリック教会レーゲンスブルク司教区のルードルフ・ボーダーホルツァー司教とバイエルン福音ルター派教会レーゲンスブルク教会管区のハンス=マルティン・ヴァイス管区監督は、十字架を公共施設に設置する通達を支持する共同書簡を発表した。地方自治体の公共施設が政治的、行政管理上の責任を遂行する場であることを顧慮するならば、十字架を公共施設に掲げることを2人の高位聖職者は認めた。十字架は我々の共通した価値観である神と人間に対する責任を想起させるものであり、ドイツ基本法前文に「神と人間に対する自らの責任を自覚し」と明記されている。すべての政治家は国家を形成する基本的価値観を信頼し、感謝すべきであると語った。 さらに、教皇庁のゲオルグ・ゲンツヴァイン司教もゼーダーによる通達を歓迎した。同様に、ドイツ・カトリック教徒ファーラムもゼーダーの提案を支持した。「我々の文化は根底においてキリスト教によって刻印されている。十字架は宗教の象徴ではなく、非暴力を求める宗教の明白なしるしである。それどころか、敵意を消し去り、隣人愛を求めている。十字架は誰をも脅さず、他宗教の信仰者や無宗教の者たちをも守る」との見解を表明した。 世論調査によると、バイエルン州におけるゼーダーの果敢な取り組みは地元バイエルンの有権者の53%から56%という過半数を超える支持を得ており、不支持は38%から42%だった。この結果とは対照的に、全ドイツレベルでは64%のドイツ人がゼーダーの提案に不支持を表明し、賛成は29%に過ぎなかった。 有力紙のシュピーゲルオンラインコラムは十字架設置義務化を ドイツのための選択肢支持者に向けたキリスト教社会同盟 (CSU)によるバイエルン州議会選挙の戦術であると見なした。
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