セレンディピティーとは? わかりやすく解説

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セレンディピティー【serendipity】

読み方:せれんでぃぴてぃー

求めずして思わぬ発見をする能力思いがけないものの発見。運よく発見したもの。偶然の発見

[補説] 英国作家ホレス=ウォルポール(1717〜1797)の造語ウォルポール作の寓話The Three Princes of Serendip(1754)の主人公このような発見能力があったことによる。Serendipはセイロン(現スリランカ)の旧称


セレンディピティ

(セレンディピティー から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 16:45 UTC 版)

セレンディピティ英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること[1]。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。

語の起源と意味

「serendipity」という言葉は、イギリス政治家にして小説家であるホレス・ウォルポール[注 1]1754年に生み出した造語であり、彼が子供のときに読んだ『セレンディップの3人の王子 (The Three Princes of Serendip)』という童話にちなんだものである。セレンディップとはセイロン島、現在のスリランカのことであるから、すなわち、題名は「スリランカの3人の王子」という意味である。ウォルポールがこの言葉を初めて用いたのは、友人に宛てた書簡において、自分がしたちょっとした発見について説明しているくだりにおいてであり、その書簡の原文も知られている。

この私の発見は、私に言わせればまさに「セレンディピティ」です。このセレンディピティという言葉は、とても表現力に満ちた言葉です。この言葉を理解していただくには、へたに語の定義などするよりも、その物語を引用したほうがずっとよいでしょう。かつて私は『セレンディップの3人の王子』という童話を読んだことがあるのですが、そのお話において、王子たちは旅の途中、いつも意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、彼らがもともと探していなかった何かを発見するのです。たとえば、王子の一人は、自分が進んでいる道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見します。なぜ分かったかというと、道の左側の草だけが食べられていたためなのです。さあ、これで「セレンディピティ」がどのようなものか理解していただけたでしょう?

英英辞書では以下のように説明されている。

Definition of serendipity in English:noun

[MASS NOUN]

The occurrence and development of events by chance in a happy or beneficial way

'a fortunate stroke of serendipity'

[COUNT NOUN]

'a series of small serendipities'
— Oxford Dictionaries Language matters

日本語訳

日本語では、通常は音写の「セレンディピティ」「セレンディーピティー」等が用いられる。「偶察力」と訳される場合もあるが、確固とした訳語は定まっていない。精神科医の中井久夫は『徴候・記憶・外傷』(みすず書房2004年)で「徴候的知」と呼んでいる。

自然科学におけるセレンディピティ

アメリカの社会学者ロバート・キング・マートンが1958年に『The Travels and Adventures of Serendipity(セレンディピティの旅と冒険)』を発表したことをきっかけに、学術誌や科学雑誌で頻出する言葉となった。

セレンディピティは、失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結びつくという、一種のサクセスストーリーとして、また科学的な大発見をより身近なものとして説明するためのエピソードの一つとして語られることが多い。酒井邦嘉[2]ペニシリン発見や田中耕一の例をあげ、フランスのルイ・パスツールの言葉(1854年のリール大学学長就任演説より)を紹介して、「構えのある心」(the prepared mind) がセレンディピティのポイントだという。セレンディピティは社会的独創性は高いが、発想的独創性は低いと言われている[3]

観察の領域において、偶然は構えのある心にしか恵まれない
(Dans les champs de l'observation le hasard ne favorise que les esprits préparés.)

セレンディピティが見出せる代表例

脚注

注釈

  1. ^ ゴシック小説オトラント城奇譚』の作者として知られる人物

出典

  1. ^ 第5版,知恵蔵mini, 図書館情報学用語辞典. “セレンディピティ(せれんでぃぴてぃ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年7月31日閲覧。
  2. ^ 酒井邦嘉 『科学者という仕事』 中央公論新社〈中公新書〉、126-128頁。
  3. ^ 独創賞評価基準”. 日本認知心理学会. 2022年7月5日閲覧。
  4. ^ a b 化学はじめて物語” (PDF). 一般社団法人 日本化学工業協会 (JCIA). p. 6. 2021年1月3日閲覧。
  5. ^ 「アッ」ひらめきが生んだ世界最大の水槽パネル”. ビジネス香川. 株式会社朝日オリコミ四国 (2013年12月5日). 2018年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月25日閲覧。

参考文献

  • 外山滋比古『思考の整理学』筑摩書房,ちくま文庫 1986年 - 「セレンディピティ」が章のタイトルになっている。
  • R.M.ロバーツ 著、安藤喬志 訳『セレンディピティー 思いがけない発見・発明のドラマ』化学同人、1993年。ISBN 4759802495 
  • 沢泉重一『偶然からモノを見つけだす能力「セレンディピティ」の活かし方』角川書店、2002年。 
  • 日野原重明『「幸福な偶然」(セレンディピティ)をつかまえる』光文社、2005年。 
  • 宮永博史『成功者の絶対法則 セレンディピティ』祥伝社、2006年。 ISBN 4396681127 
  • 澤泉重一、片井修『セレンディピティの探求』角川学芸出版、2007年。 
  • モートン・マイヤーズ『セレンディピティと近代医学』中央公論新社、2010年。 
  • 中井久夫『徴候・記憶・外傷』みすず書房、2004年。 

関連項目

外部リンク



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