カリフォルニウムとは? わかりやすく解説

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カリホルニウム

(カリフォルニウム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 09:25 UTC 版)

バークリウム カリホルニウム アインスタイニウム
Dy

Cf

不明
98Cf
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 カリホルニウム, Cf, 98
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 [251]
電子配置 [Rn] 5f10 7s2[1]
電子殻 2, 8, 18, 32, 28, 8, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 15.1[2] g/cm3
融点 1173 K, 900[2] °C, 1652 °F
原子特性
酸化数 2, 3, 4[3]
電気陰性度 1.3[4](ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 608[5] kJ/mol
共有結合半径 168 pm
その他
結晶構造 六方最密充填構造 (α-Cf)

体心立方格子 (β-Cf) 面心立方格子 (γ-Cf)

モース硬度 3–4[6]
CAS登録番号 7440-71-3[2]
主な同位体
詳細はカリホルニウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
248Cf syn 333.5 d α (100 %) 6.369 244Cm
SF (2.9 × 10-3 %) 0.0029 -
249Cf syn 351 y α (100 %) 6.295 245Cm
SF (5.0 × 10-7 %) 4.4 × 10-7 -
250Cf syn 13.08 y α (99.92 %) 6.129 246Cm
SF (0.08 %) 0.077 -
251Cf syn 898 y α (100 %) 6.172 247Cm
252Cf syn 2.645 y α (96.91 %) 6.217 248Cm
SF (3.09 %) - -
253Cf syn 17.81 d β- (99.69 %) 0.29 253Es
α (0.31 %) 6.126 249Cm
254Cf syn 60.5 d SF (99.69 %) - -
α (0.31 %) 5.930 250Cm
出典:[7]

カリホルニウム: californium [ˌkælɨˈfɔrniəm])は、原子番号98の元素元素記号Cfアクチノイド元素の一つ。超ウラン元素でもある。比重は15.1、融点は900 °Cである。安定同位体は存在しない。物理的、化学的性質も不明な部分が多い。原子価は+3価。実用的な用途がある最も原子番号の大きい元素でもある。カリホルニウムには3つの同素体(α、β、γ)がある。

名称

元素名は、地名であるカリフォルニア米国)、及びカリフォルニア大学に由来する[8]。そのため「カリフォルニウム」と日本語表記されることもあるが、学術用語集で定められた日本語表記は「カリルニウム」である[8]

同位体

いくつかの同位体が発見されているが、最も半減期が長いのはカリホルニウム251で898年である。原子炉内でウラン235中性子の捕獲を繰り返して出来るカリホルニウム252は、半減期が2.65年である。このカリホルニウム252は、自発核分裂(平均3.8個の中性子を出す)する。

歴史

1949年カリフォルニア大学バークレー校[:en]グレン・シーボーグ (G.T.Seaborg)、トンプソン (G.Thompson)、ギオルソ (A.Ghiorso) らが、キュリウム242にサイクロトロンで35 × 106 eVに加速したα粒子をぶつけてカリホルニウム245(半減期45分)を発見した。

日本では、1973年、日本原子力研究所がカリホルニウムの合成、検出に成功したと発表。アメリシウム241に中性子を46日間照射後、中性子を吸収して成長した物質を化学的手法で分離、これを濃縮した物質からカリホルニウム250カリホルニウム252を検出したもの[9]

用途

カリホルニウム252は、中性子線源や、非破壊検査、その他研究用に使用される。また、原子炉建設後、最初の中性子源としても利用されるが、必要量はμg単位にすぎない。仮に100 gの価格を単純に計算すると約7円になる。

原子爆弾

原子爆弾にカリホルニウムを使用した場合、非常に小型化できる可能性が高いため研究されていた時期があり、サイエンス・フィクションでも個人が持ち運びできるものとして描写されている。

しかし、先述のとおり大変高価な物質なので、兵器としての運用は現実的でないと考えられている。

カリホルニウム爆弾が登場するフィクション

  • 地球0年 - 矢野徹の小説。冒頭で自衛隊の情報士官である主人公が「歩兵用カリフォルニウム弾発射装置」設計図を入手する。
  • トップをねらえ!シリーズ - 劇中でカリホルニウムを用いた核ミサイルが登場する。
  • アダルト・ウルフガイシリーズ - カリホルニウムを使用した核小銃弾が登場するエピソードがある。
  • 宇宙戦艦ヤマト(石津嵐小説版)ではヤマトの主砲としてカリホルニウム核砲弾が使用されている。
  • サイコキネシス大戦争シリーズ - 豊田有恒の小説。アニメのメカデザイナーである主人公の腕にカリホルニウムのカプセルが仕込まれる。
  • タイムトルーパー - 小林源文によるSF劇画。1944年のヨーロッパにタイムスリップした22世紀火星軍の下士官兵5名のうち、1名がカリホルニウム弾を携行。
  • 科学忍者隊ガッチャマン - 第94話「電魔獣アングラー」にカリホルニウムを用いたペンダント爆弾が登場する。

出典

  1. ^ CRC 2006, p. 1.14.
  2. ^ a b c CRC 2006, p. 4.56.
  3. ^ Greenwood & Earnshaw 1997, p. 1265.
  4. ^ Emsley 1998, p. 50.
  5. ^ CRC 2006, p. 10.204.
  6. ^ CRC 1991, p. 254.
  7. ^ CRC 2006, p. 11.196.
  8. ^ a b 桜井弘『元素111の新知識』講談社、1998年、400-401頁。ISBN 4-06-257192-7 
  9. ^ 「カリフォルニウムを合成」『朝日新聞』昭和48年1月26日朝刊、13面、3面

参考文献

  • CRC contributors (1991). Walker, Perrin; Tarn, William H. (eds.). Handbook of Metal Etchants (英語). CRC Press. ISBN 978-0-8493-3623-2
  • CRC contributors (2006). Lide, David R. (ed.). Handbook of Chemistry and Physics (英語) (87th ed.). CRC Press, Taylor & Francis Group. ISBN 978-0-8493-0487-3
  • Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). Butterworth-Heinemann. ISBN 978-0-7506-3365-9
  • Emsley, John (1998). The Elements (英語). Oxford University Press. ISBN 978-0-19-855818-7

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