アップル・ジャックとは? わかりやすく解説

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アップル・ジャック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/07 09:55 UTC 版)

アップル・ジャック』は川原泉による日本の短編漫画作品。『花とゆめ』(白泉社)1984年24号に掲載された。初出時および「花とゆめコミックス」収録時には「陸の食欲魔人」の副題があった。

タイトルは、自衛隊における警戒態勢の3段階の符丁である旨が作中で説明されている。

  • アップル・ジャック = 赤 = 交戦状態
  • レモン・ジュース = 黄 = 空襲警戒態勢
  • スノー・マン = 白 = 平時

あらすじ

北原エリカは弟と二人暮らし。ある日、マンションの向かいに住む式部浩一郎の頭上に買ってきたリンゴを落としてしまう。

いったんは謝るエリカだったが、浩一郎が陸上自衛隊勤務と知ると、手のひらを返したように程度の低い(弟の透に呆れられるくらいの)いたずらを繰り返すようになる。実は北原姉弟はアメリカ軍中尉と日本人女性の間にできた子供で、父親はベトナム戦争従軍中に戦死していたのだった。そのため、エリカはひと一倍、戦争と軍隊を憎んでいたのだ。

ある日、薩摩汁を作ろうとした北原家だったが、味噌を切らしていた。向かいの式部家では醤油を切らしており、物々交換が成立する。また、ある日は特売で木箱ごと買ったリンゴを運ぶのに難儀していたエリカを浩一郎が手伝った。弟の透に言われたこともあって、お詫びかたがたアップルパイを向かいの式部家に差し入れるが、それは砂糖の分量が多すぎるアップルパイだった。しかし、それに更にメープルシロップをたっぷりかけて浩一郎は食べる。

ある日、エリカが屋外でのCMモデルの撮影中に崖から落ちそうになったところを勤務中の浩一郎が救い出したことで、エリカは自分の偏見を自覚し、毎日毎日だだ甘のアップルパイを作っては浩一郎に持って行くのだった。

登場人物

北原エリカ
主人公。19歳の女性で、モデルとして働いている。
北原透
16歳。エリカの弟。
式部浩一郎
30歳。陸上自衛隊一尉。独身。極度の甘い物好きであり、出勤時にもスーツの懐にペロペロキャンディを潜ませている。
式部久美子
浩一郎の兄夫婦の娘。幼稚園児。兄夫婦が亡くなったため、浩一郎に引き取られている。

コミックス

花とゆめコミックス版
カレーの王子さま 食欲魔人シリーズ
白泉社文庫版
空の食欲魔人 川原泉傑作集
  • 1994年9月発行 ISBN 4-592-88311-X
  • 収録作
    • 空の食欲魔人
    • カレーの王子さま
    • アップル・ジャック
    • 不思議なマリナー
    • ミソ・スープは哲学する
    • アンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?
    • 進駐軍(GHQ)に言うからねっ!
    • 3月革命
    • 月夜のドレス

アップルジャック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/22 15:31 UTC 版)

ジャック・ローズとそのレシピに使われたアップルジャック。

アップルジャック英語: Applejack)はアメリカ植民地時代に普及した、リンゴを原料として造られるアルコール飲料である[1][2][3]。"Jack"は英語で「(アルコール度数を)増やす」、特に「凍結濃縮する」というこの飲料の伝統的製法を説明するために付け加えられた言葉である[1]

歴史

ニュージャージー植民地において、アップルジャックは道路建設隊への賃金として使われ、これは「ジャージー・ライトニング」という俗称へと繋がった[4] 。

アメリカで最も古い、認可を受けたアップルジャックの醸造所はニュージャージー州スコベイービルのレアード・アンド・カンパニー英語版であり、これはアメリカ国内に残る唯一のアップルジャックの醸造所でもある[4]

なぜなら凍結濃縮法は一般の蒸留に比べて原始的な手法であり、たとえば熱を作り出すために薪を燃やしたりする必要が無いため[3]、穀物から造る酒類よりも高価ではあるがシードルとアップルジャックは歴史的に製造が容易であるとされてきたからである[3][5]。従ってこれらは植民地時代のアメリカ及び初期のアメリカ合衆国、特に気候が冷涼で衛生的な飲料水を手に入れづらかった北部地域において重要な飲料となった。

イギリスにおいては、シードルを製造した後の搾りかすを発酵・蒸留した酒をアップル・ジャックと呼んでアップル・ブランデーと区別している[6]

生産

伝統的には、アップルジャックはフルーツビールなどと同様、冬期にシードルを寒中に放置し、成分を濃縮することによって製造される。シードル中に含まれる水分が凍結してできた氷は定期的に取り除かれ、そうすることによって外気の温度で凍結することのないアルコールは濃縮されていく[3]。当初は10度に満たなかったアルコールの度数は結果として25度から40度近くにまで上昇する[3]

商業生産が始まってからはアップルジャックも一般的な蒸留法を用いて製造されることとなった[7]

現在のアップルジャックは凍結濃縮法ではなくアップル・ブランデー中性スピリッツの配合によって製造されている[2][3][8]。蒸留によってアルコール度数55 – 65%まで濃縮し、そこに水と中性スピリッツを混ぜることでアルコール度数40 – 50%に調整[6]。その後2 – 3年の熟成を経る[6]

人気の減衰

穀物、蒸留器、衛生的な飲料水の可用性の高さ、そして19世紀中葉に始まったパスチャライゼーションの影響、またコスト面の影響によりアップルサイダー、そしてアップルジャックは次第に他の飲料、酒類に移り変わっていった[5]

また伝統的製法で造られたアップルジャックは健康上の問題も抱える。凍結蒸留法では飲用可能なエタノールだけでなくメタノールフーゼル油などの健康に害を与える成分をも濃縮してしまうのである[9]。多くの国では健康上の問題から凍結濃縮によって製造されたアップルジャックは法律上禁止されている[要出典]分子ふるいに吸着させメタノールを削減する手法は実用的なものであると考えられている[10]

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b https://books.google.co.jp/books?id=mb0SZIYCXREC&pg=PA10&redir_esc=y#v=onepage&q&f=false Black, Rachel (2010).
  2. ^ a b Michael Foley, Drinking with the Saints: The Sinner's Guide to a Holy Happy Hour (2015, ISBN 1621573834): Perhaps the most interesting option is applejack, the first distilled liquor native to North America and a great favorite among the colonists.
  3. ^ a b c d e f Sanborn Conner Brown, Wines & Beers of Old New England: A How-to-do-it History (1978, ISBN 0874511488)
  4. ^ a b Karen Tina Harrison, Jersey Lightning, New Jersey Monthly, July 13, 2009.
  5. ^ a b Lew Nichols, Annie Proulx, Cider: Making, Using & Enjoying Sweet & Hard Cider, 3rd Edition (2015, ISBN 1603428399)
  6. ^ a b c 三沢 1974, p. 33.
  7. ^ Scott C. Martin, The SAGE Encyclopedia of Alcohol (2015, ISBN 1483331083): The evaporative technique was used when commercial applejack production began.
  8. ^ "2005-Laird apple products sell sheet" (PDF).
  9. ^ Ben Watson, Cider, Hard and Sweet: History, Traditions, and Making Your Own, Third Edition
  10. ^ http://www.spkx.net.cn/EN/abstract/abstract15544.shtml

参考文献

関連項目


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