川原泉とは? わかりやすく解説

川原泉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/20 21:54 UTC 版)

川原 泉(かわはら いずみ、1960年9月24日 - )は、日本漫画家女性[1]

来歴

鹿児島県指宿市出身[2]鹿児島大学法文学部卒業。専攻は日本史。 大学4年在学中に、初めての漫画「ジュリエット白書」を『花とゆめ』に投稿。その後、大学の教授の紹介で地元女子校の教員採用の面接を受けたが、良妻賢母教育と勉学のどちらを優先するかという質問に「もちろん勉学」と答えた結果、不採用となる。この件が川原のお嬢様学校コンプレックスの元となったという。以降は目標を漫画に定め、1983年、『花とゆめ』増刊に掲載された「たじろぎの因数分解」でデビューした。以来、白泉社を中心に活動[3]

1985年、「ゲートボール殺人事件」の頃、東京へ引越しし、世田谷区に住む。

1986年アイススケート漫画『銀のロマンティック…わはは』の取材のため札幌を訪れた際に、当時の担当編集者が同じだった縁で三原順と会い、交流は三原の病没まで続いた[4]

1987年、初の長期連載となった『笑う大天使(わらうミカエル)』の仕事が一段落し、一旦帰郷した際に初めてファミリーコンピュータを購入し、『女神転生』などのゲームに熱中[5]。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』の影響で『魔法の国ザンス』シリーズなどのファンタジーにも興味を持つに至る[3]

1988年、「笑う大天使 オペラ座の怪人」の原稿を落としてしまい、打ちひしがれた川原は都落ちを決意、荷物をまとめたが周囲の励ましにより帰郷を中止。せっかく荷造りをしたのだからと前の仕事場から徒歩5分の場所に移転する[6]

1996年鹿児島市に引越す[3]

2005年、『ブレーメンII』で第36回 星雲賞コミック部門 と第4回(2004年度)センス・オブ・ジェンダー賞特別賞を受賞[7]

2006年、『笑う大天使』が映画化

人物・作品

  • カーラは公式化された愛称であり、『メイプル戦記』のおまけ「カーラ君を探せ」、『小人たちが騒ぐので』などで「友人M」の「カワハラ君」という呼びかけが「カーラ君」と聞こえるのが由来。
  • 書店に行く度に2万円ほど本を購入し、生活費で一番お金をかけているのは本であるというほどの読書家。恋愛ものの本はほとんど読む事はなく、好きなのはSFホラーで、ロバート・R・マキャモンスティーヴン・キング、そして特にディーン・R・クーンツの作品を好んでいる[8]。また、『銀河英雄伝説』のファンでもあり、徳間文庫版第7巻「怒涛編」の解説を執筆、徳間デュアル文庫版のハンドブックにも再録されている。
  • 1/4スペースなどの記述によると、タカシという兄がいる。彼とのエピソードのいくつかが披露されている他、漫画にも彼(の似顔)をモデルとした、地味な顔立ちでメガネ着用のキャラクターが散見される。
  • 1/4スペースやエッセイ漫画などでは、昔からの女性の友人2人(特に「友人M」)が登場するエピソードが多く見られる。
  • ヒロインの相手は、年の離れた社会的地位のある男性という設定が多い。
  • 好きなミュージシャンに王様を挙げていて、王様も川原作品のファンである。
  • 紀文食品の「魚河岸あげ」が、東京で発見したおいしいものベスト3に入ると『メイプル戦記』の1/4スペースに書いているほど好きである。また「小人たちが騒ぐので」の中にも3回ほど「魚河岸あげ」が登場する。この事が縁となり、その思いと紀文食品が結びついて、描き下ろし作品「漫画魚河岸あげの魅力」が紀文食品のサイト内で発表された[9]
  • 福田素子とは親しく、共著もある。

作中の設定

聖ミカエル学園(セントミカエルがくえん)

架空の学校。明治36年(1903年)創立の由緒正しき名門お嬢様学校で、生徒は「アーク・エンジェルの乙女達」と呼ばれる。カトリック系聖ミカエル教団に属し、宗教の時間・朝の礼拝など、宗教行事も多く取り入れられた、幼稚園から短大まである女子校。教師の半数をシスター(外国人多数)が占める。「よき妻 よき母」を育てるための教育に重きを置き、礼儀作法や清掃活動などには大変厳格だが、多くの生徒がエスカレーター式に付属短大へ入学するためか、勉強への強い意欲はあまり見られず、偏差値は中の上程度と思われ、『不思議なマリナー』の中で、「上品だが、そのぶんバカ」との発言がある。挨拶はいつでも「ごきげんよう」。「登下校の際は車による送り迎え禁止」という校則がある。

浮世離れした深窓の令嬢がほとんどだが、変わった毛色の生徒が2 - 3人必ず混ざっている。制服はシスターのような白いハイカラーの襟の胸元にひも状のリボン、プリーツではないひざ下のスカートに三つ折りソックス。ベレー帽をかぶる。映画版『笑う大天使』では、ベレー帽にスクウェアカットの胸元の黒いAラインワンピース、胸下にベルト状の細い白のリボンをつけて、足元は黒ストッキングと、かなりフェミニンになっている。

archangel」は日本ではアーク・エンジェルの読みが一般的だが、『笑う大天使』以前の作品では、「大天使」のルビは「アーチエンジェル」となっている。また、『笑う大天使』において、その事を自虐的なネタとして取り上げている。

同校生徒が登場する作品
  • 笑う大天使
    • 笑う大天使 空色の革命
    • 笑う大天使 オペラ座の怪人
    • 笑う大天使 夢だっていいじゃない
  • 銀のロマンティック…わはは
  • メイプル戦記
  • 不思議なマリナー
  • 大地の貴族

秋吉田藩

江戸時代の外様大名が治める架空の藩で、奥州にあるという設定。石高は25万石。藩主は鳴沢家。秋吉田城は「空の鳴滝城」と謳われる名城で、私有財産として現存している設定である。特産は巨大松茸。現代でも旧・家臣団が鳴沢家当主の法要に列席するために集まってくる。

同藩が登場する作品
  • 殿様は空のお城に住んでいる - 江戸時代中期の秋吉田藩の殿様と正室の少女と、その側近たちの時代活劇。
  • 笑う大天使 - メインキャラの斎木和音の母方の先祖が秋吉田藩の藩主。
    • 笑う大天使 空色の革命 - 和音の母である旧秋吉田藩「鳴沢家」の令嬢と、実業家の父との話が軸のひとつ。
  • 秋吉田藩レポート - 『まるごと川原泉』2号に掲載された。

穴田アナ

MHKのアナウンサー。眼鏡を掛けている。ジャンルを問わず作品の報道を一手に引き受ける人物である。ヘリンボーンの上着がトレードマーク。

穴田アナが登場する作品

桜井敦子

振られキャラ。銀行頭取の令嬢である。映画『笑う大天使』では、菊地凛子が演じた。

彼女を振った相手
  • 司城一臣(笑う大天使)
  • 瀬名弓彦(フロイト1/2)
  • 小早川秀明(メイプル戦記)

作品リスト

漫画作品

※掲載誌はいずれも白泉社

エッセイほか

  • 本日のお言葉 (白泉社 1989年10月) 川原漫画から精選された珠玉のお言葉400余、ほか
    • 新・本日のお言葉 (白泉社 2000年1月)
  • 事象の地平 (白泉社 1998年7月) 川原教授のまるかじりエッセイ集
  • 川原泉の本棚 (白泉社 2003年2月) 川原泉による選・イラストのアンソロジー本
    • 川原泉の本棚2 (白泉社 2004年2月)
  • デジタル原始人☆川原泉(白泉社 2022年5月[15])共著:福田素子[15]

参考文献

  • 川原泉 『笑う大天使』 1 - 3巻(花とゆめCOMICS、白泉社、1987年、1988年、1989年)
  • 三原順 『はみだしっ子』 第1巻(白泉社文庫、1996年)
  • 『まるごと川原泉』 1 - 3号(白泉社MELODY別冊 2004年9月増刊、2004年11月増刊、2005年1月増刊)

脚注

  1. ^ 川原泉の一覧”. BookLive. 2020年12月1日閲覧。
  2. ^ NHK情報ネットワーク 編著『NHKふるさとデータブック10 [九州2・沖縄]熊本・宮崎・鹿児島・沖縄』日本放送出版協会、1992年5月1日、316頁。ISBN 4-14-009187-8
  3. ^ a b c 雑誌『エグゼクティブ』(ダイヤモンド社)2001年6月号 本棚探検隊が行く 128 川原泉の本棚(取材・文:甲斐武佳、撮影:津藤文生)参考。
  4. ^ 『はみだしっ子』第1巻 解説:川原泉 参考。
  5. ^ 『笑う大天使』第1巻 11頁 1/4スペースによーこそ (2) 参考。
  6. ^ 『笑う大天使』第2巻 77頁 1/4スペース白書・4 参考。
  7. ^ 2004年度 第4回Sense of Gender賞特別賞”. ジェンダーSF研究会. 2025年4月26日閲覧。
  8. ^ Yahoo!ブックス インタビュー 川原泉 - ウェイバックマシン(2006年8月12日アーカイブ分)
  9. ^ 紀文 HOME > ブランドサイト > 魚河岸あげ® > [マンガで伝わる魚河岸あげ®の魅力 https://www.kibun.co.jp/brand/uogashiage/manga/index.html]
  10. ^ BinB Speed Reader”. www.cmoa.jp. 2023年3月14日閲覧。
  11. ^ BinB Speed Reader”. www.cmoa.jp. 2023年3月14日閲覧。
  12. ^ BinB Speed Reader”. www.cmoa.jp. 2023年3月14日閲覧。
  13. ^ BinB Speed Reader”. www.cmoa.jp. 2023年3月14日閲覧。
  14. ^ BinB Speed Reader”. www.cmoa.jp. 2023年3月14日閲覧。
  15. ^ a b “レイヤー?ファイル?デジタル原始人・川原泉がマンガのデジタル制作に挑戦”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年5月2日). https://natalie.mu/comic/news/476259 2022年5月10日閲覧。 

外部リンク


川原泉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 03:52 UTC 版)

航空自衛隊小松基地救難隊 RESCUE WINGS」の記事における「川原泉」の解説

航空自衛隊小松基地救難隊 RESCUE WINGS』の主人公阪神・淡路大震災両親亡くしたことで人命救助をするため救難ヘリコプター操縦士となる。三等空尉

※この「川原泉」の解説は、「航空自衛隊小松基地救難隊 RESCUE WINGS」の解説の一部です。
「川原泉」を含む「航空自衛隊小松基地救難隊 RESCUE WINGS」の記事については、「航空自衛隊小松基地救難隊 RESCUE WINGS」の概要を参照ください。

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