御所川原とは? わかりやすく解説

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御所川原【ゴショガワラ】(果樹)

登録番号 第5077号
登録年月日 1996年 6月 13日
農林水産植物の種類 りんご
登録品種の名称及びその読み 御所川原
 よみ:ゴショガワラ
品種登録の有効期限 18 年
育成者権の消滅  
品種登録者の名称 五所川原市
品種登録者の住所 青森県五所川原市岩木町12番
登録品種の育成をした者の氏名 前田栄司 原田久
登録品種の植物体の特性の概要
この品種は,育成者所有していた実生系統の中から選抜育成されたもので,果実外観長円錐,果皮被う色は赤,大きさ150g程度果肉の色が白地果皮及び心室周辺赤くなり,育成地(青森県五所川原市)で9月下旬成熟する中生種である。  姿は中間大きさ及び樹勢は中である。太さは細,節間長は長,皮目大きさは小,多少は中,の毛じの多少は無~僅かである。短果着生結果習性)は短果上,えき花着生は多,の形は円錐である。葉身の形中間大きさ葉身長さ)は中,色は緑,毛じの多少は少,たく葉の形鎌形長さは中,葉柄長さ及び太さは中である。1花そうの花数は少,花の大きさは大,色は濃赤,花弁の形は長円,数は中である。やくの色は黄,花粉多少は少である。果実外観長円錐,王冠は弱,がくの開閉は閉,がくあの深さは浅,広さは狭,こうあの深さは浅,広さは狭,果実大きさは小(150g程度),果皮地色は黄,果皮被う色は赤,色の型は縞不明,さびの量は無~僅か,果点の形(さび状果点)は有,果点の大きさはやや小,密度は低,スカーフスキンは無,果皮光沢は中,ろう質は小,粗滑の程度は滑である。果梗の長さは長,太さは細,肉こうの有無は有である。果心の形は長楕円心室の数は中,果肉の色は白地果皮心室周辺部が赤,硬さは硬,きめは粗,蜜の多少は無~僅か,甘味は中,酸味は強,渋味は有,香気は少,果汁多少は中である。種子の数は中,形は倒卵,大きさは中である。発芽期,開花期及び成熟期は早で育成においては9月下旬自家結実性は高,後期落果は無~僅か,普通貯蔵はやや長い,心かびの発生は無~僅かである。  「レッドフィールド」と比較して果実外観長円錐であること,肉こうが有ること等で,「サマーデビル」及び「桜小丸」と比較して果実外観長円錐であること,果梗の長さ長いこと等で区別性認められる
登録品種の育成経過概要
 この品種は,育成者前田英司)が所有していた果肉の赤いリンゴ実生系統の中から3系統昭和48年五所川原市譲り受け57年1系統選抜し高接ぎし,さらに62年多数の品種に高接ぎして特性が安定していることを確認するとともに,特性の調査確認行って育成完了したのである



御所川原

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/04 07:30 UTC 版)

‘御所川原’
1. 果実
リンゴ属 Malus
セイヨウリンゴ M. domestica
交配 不明
品種 ‘御所川原’
開発 日本 青森県五所川原市、1996年
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御所川原[注 1](ごしょがわら)は、青森県五所川原市のみで栽培されている、リンゴ(セイヨウリンゴ)の栽培品種の一つである。果実は小型、果肉は特に周縁部が赤くなり(図1)、酸味が多い。ジュースジャムなどに利用されている。‘御所川原’と、これを品種親とした‘栄紅’、‘レッドキュー’はいずれも果肉が赤くなるリンゴであり、まとめて「赤~いりんご」として五所川原市の特産ブランド化されている[5]

特徴

一般にリンゴのは白色だが、‘御所川原’の花は紅色であり、若葉や枝も赤みを帯びている[6][7][5][8]。自家結実率が比較的高い[7]中生種であり、収穫期は9月下旬[7][9]

果実は小型で重さ150–200グラムほどであり、長円錐形、果柄は長い[7][9]。果皮の地色は黄色、赤色に色づく[9]。果肉の特に周縁部に、アントシアニンが蓄積して赤くなる[7]。果肉は粗で硬く、甘味もあるが、酸味が強く、渋味もある[7][9][10]。貯蔵性は比較的良い[7][9]

起源

梅沢村(現 五所川原市梅田)村長を務めた育種家である前田顕三が、1939年(昭和14年)から20数年をかけて果肉が赤いリンゴを複数系統作出したが、種苗登録する前に亡くなった[5][11][12]。孫の前田榮司がこれを引き継ぎ、さらに青森県五所川原市が3系統を譲り受け、そのうち1つから選抜を行い、特徴が安定していることを確認し、1993年(平成5年)に種苗法に基づく品種登録を出願、1996年(平成8年)に‘御所川原’として登録された(第5077号)[11][7][10]。‘御所川原’は、五所川原市域以外で育成することは禁じられている[10]。2016年以降、苗木の育成・管理は、株式会社アグリコミュニケーションズ津軽に委託されている[10]

利用

‘御所川原’の果実は、強い酸味があることから加工用とされ、ジュースワインジャム洋菓子花茶等が商品化されている[8][13][14][15]。五所川原商工会議所では、‘御所川原’など五所川原市特産の果肉が赤いリンゴ品種を「赤~いりんご」として全国ブランド展開を図っており、中小企業庁の平成20年度「地域資源∞全国展開プロジェクト(小規模事業者新事業全国展開支援事業)」に採択された[5][16]。健康食品、化粧水などの美容関連商品、赤いシードルなどの商品化を支援している[5]

五所川原市一ツ谷地区には、水路沿いの約1キロメートルに渡って約300本の‘御所川原’が植えられており、「赤〜いりんごの並木道」として観光名所になっている[5][13][17]

派生品種

青森県五所川原市において、‘御所川原’を種子親、‘王林’を花粉親とした交配が行われ、実生から選抜育成されたものが‘栄紅’(えいこう)として2016年に品種登録された[11][10]。‘栄紅’の果実は大きさ150–220グラム、果肉が赤く、さっぱりした甘さと、‘王林’のような芳香がある[11]。晩生性であり、収穫期は10月下旬から11月上旬[11]

また、同じく五所川原市において‘御所川原’を種子親、‘金星’を花粉親とした交配が行われ、実生から選抜育成されたものが‘レッドキュー’として2018年に品種登録された[11][10]。収穫期が9月上旬から中旬の早生性であり、収穫直後の特有の渋みが少ない点で‘御所川原’と異なる[11]

脚注

注釈

  1. ^ 栽培品種(単に「品種」とよばれることも多いが、分類学における「品種」とは異なる区分であり、規約が異なる)を表記する国際規約(国際栽培植物命名規約)では、栽培品種名(栽培品種小名)を引用符で囲むこととしている[1]。近年では、日本語でも同様に表記されることがある[2][3][4]。本稿では、これにならって栽培品種名を引用符で囲って表記する。

出典

  1. ^ Brickell, C.D. et al. (2016). “International Code of Nomenclature for Cultivated Plants (9th ed.)”. Scripta Horticulturae. 18. International Society of Horticultural Science. ISBN 978-94-6261-116-0. https://www.ishs.org/sites/default/files/static/ScriptaHorticulturae_18.pdf 
  2. ^ リンゴ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2025年1月4日閲覧。
  3. ^ 金浜耕基, ed (2015). 果樹園芸学. 文永堂出版. ISBN 978-4830041297 
  4. ^ 小松宏光, 臼田彰, 羽生田忠敬, 小池洋男, 山下裕之 & 宮沢孝幸 (1998). “リンゴ新品種‘シナノスイート’について”. 長野県果樹試験場報告 5: 9-15. https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010640958.pdf. 
  5. ^ a b c d e f 青森地域からの便り(令和3年度)”. 東北農政局. 2024年12月20日閲覧。
  6. ^ JAごしょがわら市 (現:JAごしょつがる)(2009年3月6日閲覧)
  7. ^ a b c d e f g h 御所川原”. 登録品種データベース. 農林水産省. 2024年12月14日閲覧。
  8. ^ a b 赤~いりんご 御所川原”. 五所川原市観光協会. 2024年12月21日閲覧。
  9. ^ a b c d e 御所川原(ごしょがわら)”. りんご大学. 2024年12月14日閲覧。
  10. ^ a b c d e f 御所川原(ごしょがわら)”. 旬の食材百科事典. 2024年12月21日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g 赤~いりんご”. 株式会社アグリコミュニケーションズ津軽. 2024年12月21日閲覧。
  12. ^ YOMIURI ONLINE 旅ゅーん(2024年12月20日閲覧)
  13. ^ a b りんごの花びらまで赤く染まる「赤~いりんごの並木道」”. まるごと青森. 青森県 (2013年3月20日). 2024年12月14日閲覧。
  14. ^ 五所川原特産の美容に良いりんごを思いっきり味わう旅に出よう!”. JR東日本. 2024年12月14日閲覧。
  15. ^ 五所川原地域ブランド”. 五所川原市. 2024年12月14日閲覧。
  16. ^ 「地域資源∞全国展開プロジェクト」平成20年度採択案件一覧表(商工会議所分)(2009年3月6日閲覧)
  17. ^ “赤~いりんご 花も赤~く/五所川原”. 陸奥新報. (2020年5月9日). https://mutsushimpo.com/news/2jxjesdk/ 

外部リンク



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