アジア通・知日派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 05:24 UTC 版)
「リチャード・アーミテージ」の記事における「アジア通・知日派」の解説
ベトナム戦争に従軍し、ベトナム語が堪能。また、レーガン政権の国防次官補代理職にあった時に、東アジアおよび太平洋地域を担当していたこともあり、知日派(ジャパン・ハンドラー)として知られ、現在は米国内の知日派政策エリートの保護者的立場にある。1980年代の東芝機械ココム違反事件の際には、対日経済制裁に反対した。 日米間の安定的な安全保障システムの確立に貢献してきたほか、椎名素夫・佐々淳行など日本の政治家や官僚らとの繋がりも強い。一方で、日本の核武装には否定的とされる。FS-X開発問題では日本側との調整を担当している。 日本や東アジア全般の安全保障に関する発言が常に注目を集める。アーミテージの名が一般に広く知られるようになったきっかけとして、2000年に対日外交の指針としてジョセフ・ナイらと超党派で作成した政策提言報告「アーミテージ・レポート」(正式名称:INSS Special Report "The United States and Japan: Advancing Toward a Mature Partnership"、「国防大学国家戦略研究所特別報告 合衆国と日本―成熟したパートナーシップに向かって」)の存在が挙げられる。この報告書では、日本に対して有事法制の整備を期待する内容が盛り込まれた。 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受けて、日本側に共闘を求めた。この時にいわゆる「Show the FLAG」(旗幟を鮮明にしろ)発言があったとされる。ただし、柳井俊二(当時の駐米大使)は協力の要請があったことは認めたものの、Show the Flagという発言は否定している。 イラク戦争開戦時には日本の役割を野球に例えて「Boots on the ground」(野球場に来るなら観客になるな、野手でも代打でもいいから試合に出ろ)と発言したことでも有名になった。また、2004年7月には日本国憲法第9条を日米同盟の障害とする主旨の発言をして物議を醸した。また、北朝鮮による日本人拉致問題においては、朝鮮民主主義人民共和国に対する圧力路線を主導。2004年4月には北朝鮮のテロ支援国家指定の根拠に拉致問題を明記させた。 2005年6月6日、『筑紫哲也 NEWS23』に出演した際に、靖国神社参拝について質問され「主権国家である日本の総理大臣が、中国に限らず他の国から靖国神社に参拝してはいけないと指図されるようなことがあれば、逆に参拝すべきだと思います。なぜなら内政干渉を許してはいけないからです。もう一つは、全ての国が戦死者をまつりますが、それぞれのやり方で良いのだと思います」と主張した。2006年7月20日の「産経新聞」(東京版)の取材に対しても同様の認識を示している。 2005年、コンサルティング会社「アーミテージ・インターナショナル」を5名の共同設立者(ランドール・シュライバーなど)とともに設立した。 2006年の講演で、「世界でどの国が優れているか聞いた調査によると、アジアの人々の82%が『日本』と回答しました。彼らは(第二次世界大戦の)日本軍による占領は独立への機会になったと考えています。日本は文化、政治、安全保障の面でも優れた模範を提供でき、その役割は高まっているのです。日本はこの現状をゆったりと構えてとらえ、もっとアジアに関わっていくべきです」と述べている。 2007年2月には、政策シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)において再度超党派による政策提言報告「第二次アーミテージ・レポート」(正式名称:"The U.S.-Japan Alliance: Getting Asia Right through 2020"、「日米同盟 2020年までのアジア外交をいい塩梅に」)を作成・発表、日米同盟を英米のような緊密な同盟関係へと変化させ、東アジアの地域秩序の中で台頭する中国を穏健な形で秩序の中に取り込むインセンティブとすることなどを提言している。 2012年8月には「第三次アーミテージ・レポート」(正式名称:"The US-Japan Alliance: Anchoring Stability in Asia"、「日米同盟 アジアにおける安定の礎」)を作成・発表。“日本が一流国家であり続けるか、二流国家に甘んじるかの重大な局面を迎えている”と指摘し、また日米同盟関係における日本の役割拡大を求めた。 2012年アメリカ合衆国大統領選挙の共和党候補者であるミット・ロムニーが同年8月28日に行った演説において日本に言及する箇所が1箇所しかなかったことは、アーミテージら知日派の影響力の低下の表れと分析する向きもあった。 2013年10月30日、東京都内で自民党幹部に対し、「靖国神社参拝は絶対にやめてくれ。積み上げたものを全て壊す」と、首相の靖国参拝を見送るよう力説した。日本と中国、韓国の対立激化がアジア太平洋地域に重心を移す米国の「リバランス」政策上、大きな不安定要因になることへの強い懸念を示したと見られる。 2015年秋の叙勲で旭日大綬章受章。 2018年10月3日、「第四次アーミテージ・ナイレポート」(More Important than Ever - Renewing the U.S.-Japan Alliance for the 21st Century、21世紀における日米同盟の刷新)を発表。中国脅威論や北朝鮮脅威論を唱え、自衛隊と在日米軍の基地の共同使用など同盟の深化を提案し、日本にGDP比1パーセント超の軍事費支出を求めた。
※この「アジア通・知日派」の解説は、「リチャード・アーミテージ」の解説の一部です。
「アジア通・知日派」を含む「リチャード・アーミテージ」の記事については、「リチャード・アーミテージ」の概要を参照ください。
- アジア通・知日派のページへのリンク