日野・レインボー HR系ノンステップバス

日野・レインボー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 02:24 UTC 版)

HR系ノンステップバス

レインボーHR 観光マスク(9 m車)

KK-HR1JKEE 南海バス

1999年に登場した中型車幅のノンステップバス専用モデルとしてレインボーHRが誕生。当時路線バスの主流となりつつあったノンステップバスを、いち早く7 m、9 m、10.5 mの3車体長でラインナップを完成させたが、ラインナップ整理が徐々に行われ、モデル末期は中型長尺の10.5 m車のみとなった。

レインボーRJ・レインボーRR (路線系)のノンステップ版後継車種として、1999年12月のレインボーHR(KK-HR)発売から2004年8月のレインボーRJ(KK-RJ/RR)製造終了までは、レインボーHRとレインボーRJ路線仕様が併売されていた(詳細は#KK-RJ/RR1J系を参照)。

発売当初の製造は日野車体工業で行われていたが、同社はいすゞ自動車と日野のバス製造事業に伴って設立された2社の合弁会社・ジェイ・バスに吸収合併され、生産終了までジェイ・バス小松事業所(旧日野車体工業)で製造されていた。また、いすゞ自動車にはエルガJとしてOEM供給もされた(詳細は#いすゞ・エルガJを参照)。

HR系は改造仕様の車両が多数納入されている。観光マスクは東京特殊車体で対応する。CNG車はメーカーオプションではなく、フラットフィールドによる改造で、コミュニティバス伊予鉄バスなど一部の事業者へ納入例がある。詳細は「フラットフィールド#日野・レインボーHR」を参照[4][5]

2004年10月1日、いすゞ・日野のバス製造事業統合に伴い、製造会社が日野車体工業からジェイ・バス小松事業所へ移管された。

レインボーHRの新短期規制適合マイナーチェンジにあたり、レインボーRJの生産終了を受け、車名が単にレインボーを名乗るようになった。

レインボーHR

レインボーHR(KK・KL-HR系10.5 m車)

KL-HR1JNEE 京王電鉄バス

KK/KL-HR系は、長期規制(7 m車と9 m車は平成10年、10.5 m車は平成11年規制)適合車で、全長7 m車・9 m車・10.5 m車の3種からなる。

エンジンはJ08C<J-VA>型(直6、ネット220 PS)に統一され、横置きエンジン+アングルドライブ(名称は「日野パラレルドライブ」)を採用し、低床化とコストダウンを両立させた。中扉から後ろは7 m車はツーステップ、9 m車と10.5 m車はワンステップ+スロープとなっている。トランスミッションはFFシフトによる5速MTのみ。酸化触媒マフラーやEGRを使用して指定低公害車にも適合している。

車体はレインボーRJに準じた意匠だが、改良点も多数見られる。ノンステップ化に伴う窓位置の低下、方向幕板の大型化、前照灯ベゼル・後面コンビネーションランプの配置、非常口位置(非公式側中央部)などが挙げられる。

型式は以下のとおり。

7 m車
WB 3.35 m
9 m車
WB 4.6 m
10.5 m車
WB 5.48 m
レインボーHR KK-HR1JEEE KK-HR1JKEE KL-HR1JNEE

KK-HR系

1999年12月に7 m車(KK-HR1JEEE)・9 m車(KK-HR1JKEE)を発売。7 m車はクラス初のノンステップバスとなった。9 m車は横置きエンジン+アングルドライブ採用により、わずかながらホイールベースを長くしてノンステップ部分の床面積を拡大した。

KL-HR系

2000年7月、ラインナップに10.5 m車(KL-HR1JNEE)が追加され、9 m車および7 m車のKK-HR系と併売となった。このタイプの中型長尺車(中型ロング車)は、1999年に発売された日産ディーゼル(現:UDトラックスJP系に続くものとなる。

5速MTのみのラインナップだが、同時期に発売されていた日野の大型ノンステップバスであるブルーリボンシティAT仕様のみのため、MT車を要望する事業者や、全体的な車両導入コストを下げたい事業者に好評を得た。

レインボー (HR系)

レインボーHRの後継車種で、型式は同様にHR系となる。併売されていたレインボーRJが生産終了したことで、車名は単にレインボーとなった。なお、のちにいすゞ・エルガミオとの統合車種であるKR系も、2016年5月6日のモデルチェンジ(2代目、SKG-KR290J2)以降は単にレインボーを名乗るようになったが、当モデルとの時期的な重なりはない。

PB/PK-HR系

レインボー(PK-HR系10.5 m)

PK-HR7JPAE 千葉海浜交通
PB-HR7JHAEの運転席

2004年8月24日発売。新短期規制(9 m車は平成15年、10.5 m車は平成16年排出ガス規制)適合車。PM排出レベルは平成12年基準値比85 %減(☆☆☆☆適合)である。

このモデルではレインボーHR(KK-HR系・KL-HR系)から多くの点が変更されている。エンジンが横置きから縦置きになり、客室面積が拡大して9 m車では後部座席が3列から4列に増えたが、その一方で7 m車は対応できずに製造中止となった。またホイールベースも見直され、9 m車は短縮された一方で10.5 m車は延長されてノンステップ部分の床面積を拡大した。さらに、トランスミッションも5速トルコンATがオプション設定(改造扱い)で設定可能になった。

外観も変更点が多く、前面フォグランプ部分、右側面の非常口(中央部から後部へ)、後面コンビネーションランプの位置(下部へ)、後面ナンバープレート取り付け位置の変更のほか、前面の通気口がなくなった。この他、次期灯火規制(側面の反射板取り付け)や国土交通省標準仕様ノンステップバス認定制度への対応を行った。

エンジンはJ07E-TC(直5ターボインタークーラー付き、ネット225 PS、MT車)もしくはJ07E-TB(同、220 PS、AT車)を搭載する。なお、J07E-TC型エンジンは、日産ディーゼル(現:UDトラックス)にも供給され、同時期にモデルチェンジした中型バスJPRMRPにも搭載されている。

いすゞ自動車へのOEM供給車「エルガJ」としては、KL-HR系に引き続き10.5 m車の供給となる。

名古屋市観光文化交流局が運営するなごや観光ルートバス「メーグル」(運行は名古屋市交通局)には、東京特殊車体が車両改造を手掛けたブルーリボンシティと同様のフロントマスクの車両が存在する[6]

型式は以下のとおり。

9 m車
WB 4.24 m
10.5 m車
WB 5.58 m
HR系 PB-HR7JHAE PK-HR7JPAE

BDG-HR系

レインボー(BDG-HR系10.5 m車)

BDG-HR7JPBE 川崎鶴見臨港バス

2007年6月6日発売。新長期規制(平成17年排出ガス規制)適合車。基準値に対し、NOxPMの10 %減を達成している。エンジンはJ07E-TG(225 PS)、ホイールベースは5.58 m。このモデルからAT車の設定が廃止され、トランスミッションはFFシフトのMTのみとなった。型式はBDG-HR7JPBE

ラインナップから9 m車が姿を消し、10.5 m車のみに縮小された。9 m車に関してはいすゞと日野で車種が重複していたが、エルガミオ側に整理され、レインボーIIとして供給されるようになった。いすゞへの「エルガJ」としての供給も終了した。

2010年9月をもって製造終了となった。


注釈

  1. ^ 日デからのキャパシタハイブリッド技術の供与に対する補完契約で中型エンジンを日野から日デへ供給することになったため。

出典

  1. ^ 日野自動車発行、レインボー7Mのカタログに「W06E 165 PS」の記載あり。
  2. ^ 昭和19年~昭和64年(奈良交通設立後)”. www.narakotsu.co.jp. 奈良県バス100周年記念特設サイト | 奈良交通 (2017年5月). 2020年3月20日閲覧。
  3. ^ 『TLB-0020 日野レインボーバス P-RH160AA型車 取扱説明書』日野自動車工業株式会社、155頁
  4. ^ 天然ガス自動車”. 株式会社フラットフィールド. 2020年5月2日閲覧。
  5. ^ バスラマ・インターナショナル No.77』「特集:小型CNGバスの新しい動き」ぽると出版、2003年4月25日、ISBN 4-89980-077-0
  6. ^ a b なごや観光ルートバス「メーグル」”. 東京特殊車体株式会社. 2023年11月22日閲覧。
  7. ^ 横浜市交通局 観光スポット周遊バス「あかいくつ」”. 東京特殊車体株式会社. 2023年11月22日閲覧。
  8. ^ バスジャパンハンドブックシリーズ R65 小田急バス 立川バス』BJエディターズ、2008年9月1日。ISBN 978-4-434-11565-3 
  9. ^ 立川バスさよなら運転【第7弾】エルガJ さよなら運転 いすゞエルガJ さよなら運転を実施します 立川バス、2015年2月26日、2018年6月12日閲覧。
  10. ^ 日野自動車 -日野レインボーII-
  11. ^ 日野自動車、中型路線バス「日野レインボーII」を改良し平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合させ新発売 日野自動車プレスリリース 2011年11月30日
  12. ^ 日野自動車、大型バス「日野ブルーリボンII」と中型バス「日野レインボーII」を改良して新発売』(プレスリリース)日野自動車、2012年6月19日http://www.hino-global.com/j/news_release/172.html2012年6月19日閲覧 
  13. ^ 日野自動車、中型路線バスをモデルチェンジして新発売』(プレスリリース)日野自動車、2016年4月11日http://www.hino.co.jp/news_release/16-007.html2016年4月19日閲覧 
  14. ^ a b 路線バスを改良して新発売』(プレスリリース)日野自動車、2017年8月8日http://www.hino.co.jp/news_release/17-016.html2016年11月10日閲覧 
  15. ^ a b c 日野自動車、バスシリーズを改良して新発売 日野自動車ニュースリリース、2019年6月17日
  16. ^ a b c 日野バスシリーズ「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を搭載して新発売 横浜日野自動車、2019年6月18日
  17. ^ a b c 日野自動車、大・中型路線バスにもドライバー異常時対応システムを搭載 Response.、2019年6月18日
  18. ^ 日野自動車、路線バスを一部改良して新発売』(プレスリリース)日野自動車、2023年1月11日https://www.hino.co.jp/corp/news/2023/20230111-003420.html 
  19. ^ 日野ブルーリボン/日野レインボー 操作性の進化”. 日野自動車. 2023年3月31日閲覧。






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