日野・スーパードルフィンとは? わかりやすく解説

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日野・スーパードルフィン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/24 23:00 UTC 版)

スーパードルフィン
(1983年改良型)写真はダンプにトラクタのグリルを装着したもの
スーパードルフィンFS
(1985年改良型)通称蜂の巣グリル。バンパーは鬼グリル期用。
スーパードルフィンFH
(最終型)鬼グリル

スーパードルフィンSuper Dolphin)は、日野自動車により1981年KF/ZM系(全車系に共通の名前はない)の後継車として発売された大型トラックである。

概要

発売当時、この名前は正式名称ではなく、正式に呼ばれたのは1983年になってからである(1981年当時のCMでも「日野大型トラック」と呼称。CM終盤にイルカのマークに名前記載はあった。キャッチコピーは「81年大地を支配する」)。現在、大型車では当たり前となったハイルーフキャビンを誕生させた車種でもある。1992年には“スーパードルフィン・プロフィア”として2003年までこの名前が使用され、日野・プロフィアに引き継がれる。

また、車系を単車系はF、セミトラクタ系はSで始まるものにすべて一新した。この型式はプロフィアにも受け継がれている。 先代のH系トラクタに設定されていたハイマウントキャブは存在しないが、単車とセミトラクタではグリルデザインが異なる。 運転手の間では、トラクタのグリルを単車に移植する改造が流行っている。

歴史

  • 1981年5月 発売開始。排ガス識別記号が型式の頭に付き、型式は単車がK-F#、セミトラクタがK-S#系となる。キャブデザインは中型のレンジャーの大型版、といった感じである。前期型は丸目4灯ライトで、レンジャーと同じものが採用された。セミトラクタのみトレーラーグリルと呼ばれるHE/HHの顔を踏襲した物が装着されている。前期型はトラクタも丸目である。エンジンはV10がEV700(415馬力)、V8がEF550(300馬力)とEF750(330馬力)、直6はEK100(270馬力)と日本初のインタークーラーターボを採用したEP100(285馬力)が搭載された。フロントのウインカーランプはZM系のものと非常に似通っており一見すると流用に見えるが、よく見るとドルフィン用はレンズの幅が大きく、反射鏡の形状も違う別物である。テールランプはイチコーの角型タイプが純正装着された。ウインカーランプに反射板があるのが特徴で、国内他3社のトラックでは純正装着されていない。フロントグリルには「(例)SH63」と4桁の文字がエンブレムで表記されていた。これは車種によって異なり、前から2桁のアルファベットは車系、後ろから2桁の数字はエンジン型式や出力を表している。(例えばSHは2軸セミトラクタを表しており、63は330馬力のEF750型エンジンを搭載している事を表している)。キャッチコピーは「ディーゼルエンジンが頭脳をもった」、「81年大地を支配する、日野大型トラック」。
  • 1983年 昭和58年排出ガス規制適合を機にマイナーチェンジ。角形4灯ライトに変更。ウインカーの形状変更、ポジションランプはウインカーランプに組み込まれていたが、独立してヘッドライト横へ配置。横線基調のルーバータイプグリル採用。「シャッターグリル」や「ブラインドグリル」、「洗濯板」と呼ばれる。トラクタもマイナーチェンジされ、グリルが新しくデザインされた。ヘッドライトベゼルはグリル同色だった。また、旧型のWGが継続生産されていた除雪車がモデルチェンジした[1]。キャッチコピーは「先進が走る」。
  • 1985年 マイナーチェンジ。四角い穴が上下左右に並んだグリルが装着された。通称「蜂の巣グリル」と呼ばれる。V8エンジンにF17C(360馬力)、直6ターボにK13C(330馬力)を追加。バッテリーリレースイッチ廃止。ヘッドライトベゼルはブラックに塗装される。ミラーステーなどの形状もシャッター期と異なる。キャッチコピーは「独走スーパードルフィン」。車型とエンジン番号のエンブレム「例SH63、FR28、FH22等」は立体のエンブレムから、ステッカーになった。セミトラクタではシャッター期と違いを見分けるポイントである。
  • 1987年 単車に続きトラクタをマイナーチェンジ。V10エンジンはEV700からV21C(390馬力)、V22C(420馬力)に変更した。
  • 1990年 平成元年排出ガス規制適合を機にマイナーチェンジ。単車は通称「鬼グリル」と呼ばれる逆台形のグリルが採用された。速度表示灯はこれまでZM系の物を踏襲した串差し型の丸型3連から角型に変更された。5代目レンジャー増トン車の速度表示灯はこのドルフィン用の流用である。フロントバンパーもデザイン変更され、トラクタでは速度灯とともに年式を見分けるポイントである。また、ドアの窓枠が従来のシルバーからブラック、運転席側のミラーステー取付位置がピラーからドアに変更された。エンジンはV8をEF750からF17D、F17CからF17Eと改めてF20Cを追加した。型式が変化しており、搭載エンジンは2桁の数字から1桁の数字と英字を組み合わせたものになる。(例P-SH631AA→W-SH3FDAA)。そのためかフロントグリルには車型のみが表示されるようになる。一方、直6エンジンはEK100からK13Dに、直6ターボをEP100からP09CとK13Cに変更。ハイルーフ車の速度表示灯はキャブにビルトイン化された。キャッチコピーは「私の前には誰もいない」、「ハイバランス10t」。

ラインアップ

  • FH(4×2)
  • FR(6×2R、トラニオンサス、エアサス)
  • FP(6×2R、Zサスペンション)
  • FN(6×2F)
  • FS(6×4)
  • FQ(低床6×4)
  • FW(低床8×4)
  • FZ(4×4、除雪車)
  • FU(6×6、除雪車)
  • SH(4×2セミトラクタ)
  • SS(6×4セミトラクタ)
  • GN(6×2F、タンクローリー専用シャーシ)
  • WP(6×2P、構内専用車、30t積み)

搭載エンジン

「区分」は各エンジンに付けられた記号であり、車種ごとの型式から搭載エンジンを判別できるものである。例えば、P-SH631AAの場合、「63」はEF750エンジン搭載車となる。 1990年を境にエンジン記号が2桁の数字から1桁の数字+1桁の英字に変わっている。

1981-1990年

区分 エンジン型式 形態・方式 排気量(cc) 出力帯(PS) 搭載期間
22 EM100 直6・NA 9,419 220 1981-1990
27 EK100 13,267 270
28 EP100 直6・インタークーラーターボ 8,821 290・310 1982-1990
33 K13C 12,882 335 1986-1990
60 EF550 V8・NA 16,260 300 1981-1990
63 EF750 16,745 330・390
66 F17C 17,238 360 1985-1990
69 V21C V10・NA 20,932 390 1987-1990
71 EV700 19,900 415 1981-1986
72 V22C 21,548 420 1987-1990

1990-1992年。例えば、W-SH3FDAAの場合、「3F」はF20C搭載車となる。

区分 エンジン型式 形態・方式 排気量(cc) 出力帯(PS) 搭載期間
1F F17D V8・NA 16,745 310 1990-1992
1P P09C 直6・インタークーラーターボ 8,821 295・315
1K K13C 12,882 345・375
2K K13D 直6・NA 13,267 270
1F F17D V8・インタークーラーターボ 16,745 390
2F F17E V8・NA 17,238 340
3F F20C 19,688 370
1V V22C V10・NA 21,548 410
2V V25C 24,610 450

CM出演者

その他

1994年に公開されたスタジオジブリが製作した映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の一場面で同型車両(1986年マイナーチェンジ、通称蜂の巣グリル)が使用されていたことがある[2]

脚注

  1. ^ フロントグリルは途中で変更されず最後までルーバータイプが採用された。
  2. ^ Hino Super Dolphin in "Heisei tanuki gassen pompoko"”. IMCDb.org. 2021年5月24日閲覧。

関連項目





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