アゼルバイジャン語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 09:24 UTC 版)
母音調和
アゼルバイジャン語には、a、ə、e、ı、i、o、ö、u、üの9母音があり、下の表のように分類される。
前舌母音 | 後舌母音 | |||
---|---|---|---|---|
非円唇 | 広 | e | ə | a |
狭 | i | ı | ||
円唇 | 広 | ö | o | |
狭 | ü | u |
日本語の前舌、後舌母音のことをアゼルバイジャン語では「細い母音 (incə ünlü)」「太い母音 (qalın ünlü)」という。固有語において原則前舌母音と後舌母音はそれぞれ一語中で共存せず、非円唇母音と円唇母音、広い母音と狭い母音がそれぞれ整然とした対応関係を持つ。
簡単には、「e,əおよび点の付く母音」と「それ以外の(点の付かない)母音」に分け、前者は「ə」で受け、後者は「a」で受けると覚えると分かりやすい。
例えば、時点、地点を表す接尾語(助詞)は「〜də」と「〜da」だが、
- 「2時に」は saat ikidə(「時」「2」「に」)
- 「6時に」は saat altıda(「時」「6」「に」)
のように、直前の母音により使い分ける(dəとdaに意味上の区別はない)。
熟語を形成した単語も、
- 「トルコに」は Türkiyədə(「Türkiyə」は「トルコ」)
- 「ここに」は burada(「bu」は「この」)
となる。
方向を表す「〜に」は「〜ə」と「〜a」、「〜から」は「〜dən」と「〜dan」だが、これらも同様にそれぞれ、
- İzmirə(イズミルに)、İzmirdən(イズミルから)
- Bakıya(バクーに)、Bakıdan(バクーから)
になる。
例外として、方向を表す際、語末が語末が-k と-qの名詞は、格語尾を接尾するときkがyに、qがğに変わる。アゼルバイジャン語はトルコ語と異なり子音表記も母音調和と密接に関わっていることがわかる。
- Çörək(パン)、Çörəyə(パンに)
- Otaq(部屋)、Otağa(部屋に)
- ^ a b c 松谷裕尚 編『アゼルバイジャン語会話練習帳』大学書林 1999
- ^ Unseth, Peter (2005). “Sociolinguistic parallels between choosing scripts and languages”. Written Language & Literacy 8 (1): 36. doi:10.1075/wll.8.1.02uns.
- ^ a b c d e f g 松長昭『アゼルバイジャン語文法入門』大学書林 1999
- ^ IranLiveNews (2010-10-31), The only known footage of the Reza Shah of Iran with audio discovered in Turkey 2019年3月18日閲覧。
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