Y染色体
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Y染色体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/18 02:56 UTC 版)
Y染色体(ワイせんしょくたい、英語: Y chromosome)は、性染色体の一つ。正常な雄個体ではX染色体と同時に存在し、正常な雌個体には存在しない性染色体をY染色体という。
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- ^ 諸橋憲一郎ほか(2006年)「性を決めるカラクリ『X・Y染色体』」『Newton』2006年2月号、106ページには「Y染色体はX染色体から進化した」との見出しがあるが不正確である。性染色体としてX染色体のみ持つ生物は、全個体がXX個体またはXO個体となるが、XO型生物からXY型生物が進化したとする報告はない。64-66ページの説明文は常染色体からの性染色体の進化が起こったことを説明する文章となっている。当該106ページの説明も研究者の談話はX染色体からY染色体ができたとは述べておらず、編集者による地の文章で不正確な記述となっている。
- ^ (遺伝的)組換え - 遺伝子の組合せが入れ替わること。同じ現象を染色体の間の可視現象として捉えると染色体の乗換え(染色体交差)となる。
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- ^ Y染色体と共にSRYを失ったトゲネズミも存在する(黒岩麻里「Y染色体を失った哺乳類,トゲネズミ」『生物の科学 遺伝』)。
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Y染色体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 07:39 UTC 版)
アンダマン人のY染色体は大アンダマン人とオンガン人で大きく異なっている。大アンダマン人は出アフリカ後「南ルート」をとったハプログループF*、K*、L、P*、および「北ルート」のオーストロアジア系O1b1が合計100%であるが、オンガン人(ジャラワ族、オンゲ族)はハプログループD1a2bが100%を占める。ハプログループD1a2bは出アフリカ後「北ルート」でイラン→アルタイ山脈→チベット→ビルマ→アンダマン諸島という経路をたどってきたと考えられる。
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Y染色体
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コイサン諸語を話すカポイドはアフリカの最古の住民であると考えられており、最も古くに分岐したY染色体ハプログループA系統が高頻度に見られる。 ピグミー(ネグリロ)はY染色体ハプログループB系統が高頻度で見られる。 ニジェール・コンゴ語族系民族にはハプログループE1a1aが高頻度に見られる。 アフロ・アジア語族系民族にはハプログループE1b1bが高頻度である。ただし、チャド語派を話す民族にはR1b系統が高頻度である。 ナイル・サハラ語族系民族には様々なタイプがみられる。
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Y染色体
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モンゴロイドは出アフリカ後にイラン付近からアルタイ山脈付近に至り東アジアに拡散した、「北ルート」をとった集団である。モンゴロイド人種を特徴づけるY染色体ハプログループとしてC2、D、N、O、Qが挙げられる。 ハプログループC2は主にモンゴル系民族やツングース系民族、一部のテュルク系民族において高頻度であり、エスキモーやアサバスカ族などの北米先住民にも中頻度、中国北部や朝鮮半島でも中 - 低頻度で日本列島でも低頻度見られる。その他、モンゴル帝国の拡大とともに中央アジアなどでも確認される。 ハプログループDは日本列島やチベット、アンダマン諸島で見られる。現在においては日本や山岳チベット、その他一部島嶼でしか見られず非常に稀なハプログループとなっている。D1a1系統はチベット人に約50%と高頻度に見られ、その他ヤオ族でも確認されている。 D1a2a系統は3.8万年程前に日本列島で誕生した日本固有の系統である。縄文人はほとんどがD1b系統であったと考えられ、弥生人が到来するまでの日本列島では非常に高頻度であったと考えられる。現代においてはアイヌ人で75%(4人中3人)または87.5%(16人中14人)、琉球民族で約40%(1999年発表の新家利一等の研究によれば64/187 = 34.2%、2006年発表のMichael F. Hammer等の研究によれば25/45 = 55.6%、2007年発表の野中育・水口清等の研究によれば35/87 = 40.2%)、日本人全体で約35%となっている。 なお、チベット人に見られるD1a1系統と日本固有とアンダマン諸島固有の祖型であるD1a2系統はお互いに最も近縁な兄弟群ではあるものの、5万3千年以上前に分岐しており、他のハプログループと比べるとサブグループ間でも親グループ間並に時間的距離が離れている。 ハプログループNはサモエード系、ヤクート人と言ったシベリア北部やフィンランド、エストニアなどの北欧、バルト三国で高頻度に見られ、ウラル語族の担い手であると考えられる。ユーラシア大陸北部に広く分布している。東アジア周辺で発祥したと言われており、中国遼河文明時代の人骨からも高頻度に見つかっているため、かつては中国大陸北部などで支配的であったと考えられるが、現代の東アジアにおいては北部(満洲、モンゴル)でも概ね10%前後の頻度となっており、中国全国や朝鮮半島では5%程度で、日本ではそれを下回る低頻度となっている。 ハプログループOは東アジアから東南アジアにかけて最多を占めるグループである。親系統別に見ると、コーカソイド系のハプログループRと並んで現代人類において最も帰属人口の多い系統である。その人口の多さから、多岐に渡るサブグループを生み出している。日本においてもO1b2が30%以上、O2がおおよそ20%見られ、親系統別で見るとやはりO系統が最多である。O1a系統は台湾先住民に80%前後と非常に高頻度見られ、他に東南アジアやオセアニアの一部にも多く見られる地域がある。オーストロネシア語族、タイ・カダイ語族と関連。 O1b1系統は中国南部及び東南アジア、並びにインドのムンダ語派の言語を使用する民族で多い。オーストロアジア語族と関連。マダガスカルやケニアでも検出例有り。 O1b2系統は日本、朝鮮半島、満州民族などの東アジア北東部で多い。日本では30%程見られ、D1b系統と並んで日本人で最も多く見られる系統である。 南方系古モンゴロイドを特徴付けるO1系統は東南アジアを中心に分布している。 O2系統は漢民族で50%以上、朝鮮民族やベトナム人(キン族)で40%以上と東アジアで最多のサブグループである。日本人にも20%程見られ古墳人にみられるY染色体ハプログループもO2系統で古人骨ゲノムデータの主成分分析では現代日本人と大陸集団との中間に位置する。シナ・チベット語族、ミャオ・ヤオ語族と関係。 ハプログループQは南北アメリカ大陸先住民はほとんどがQ系統であり、かつてのアメリカ大陸においては非常に高頻度に見られた。一方ユーラシア大陸においてはエニセイ系ケット人で90%以上、パシュトゥーン人に16%、東アジア地域で5%未満と道中に足跡を残してはいるが、ユーラシア大陸では総じて低頻度である。 ただし、人種を反映する形態形質は、父系のY染色体ハプログループのみでなく、母系のミトコンドリアDNAハプログループとも相関性があること(古モンゴロイドに特徴的な母系のハプログループとしては、ハプログループM7aなどがある)、さらに多くのY染色体ハプログループの系統が同一集団として同じ人種を形成した(遺伝子の系統と集団の系統が一致しない)ため、形質とY染色体ハプログループの系統は一致しない場合が多い。 ハプログループD (Y染色体) ハプログループC2 (Y染色体) ハプログループN (Y染色体) ハプログループO (Y染色体) ハプログループQ (Y染色体)
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