Y染色体・mtDNA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 15:30 UTC 版)
現在の朝鮮民族が持つY染色体ハプログループの大まかな分類では、割合の多い順に、O2-M122(東アジア全域に多い)、O1b2-M176系統(日本列島琉球列島及び朝鮮半島に多い)、C2-M217(北アジアに多い)、である。 最も多い O2-M122 系統は朝鮮民族で約41%の割合で確認されており、中国人など東アジアで多く見られる。 次に多い O1b2-M176 系統は約31%の割合でそれに続く。サブクレード(細分岐)まで分類すると朝鮮民族と、日本人(大和民族、琉球民族)には特徴的な違いがあり、朝鮮民族では約22%:約9%の割合で確認されるものが、日本国内では約8%:約24%の割合で確認されており比率がほぼ逆転する。 三番目に多い C2-M217 系統は約14%の割合で確認されている。この系統は中央アジア及び北アジアのカザフ人、モンゴル人、ブリヤート人、エヴェンキ人、ニヴフ人、コリャーク人や北アメリカのナ・デネ語族などに多く、漢民族、京族(ジン族)、ベトナム・キン族など、東アジアでは広域にわたって約10%の割合で確認されている。日本列島では北海道・日高のアイヌ民族と九州の住民がそれに準じ、日本全国では3%〜6%ほどである。なお、C2-M217保有の朝鮮民族男性のほとんど(84/89 = 94.4%)が東アジアに多いC-Z1338に属し、北アジアおよび北アメリカに多いC-L1373に属すものはC2-M217保有者の5.6%(5/89)に止まる。 その他に、少数ながらも朝鮮民族男性はフィン人、リトアニア人、ヤクート人など、極北ユーラシアに多いN-M231(約4%)、台湾の先住民である高砂族やその他の東南アジア島嶼部に多いO1a-M119(約3%)、東アジア広域にわたり低頻度で見つかっているO1b-P31(xM95, M176)(約2%)、アメリカ大陸の先住民やインド、ヨーロッパなどに多いP-M45(約2%)、そして日本人固有のD1a2 (D-M64.1)系統(日本列島起源、日本では約35%存在)の保持が2%ほどの割合で確認されている。このD1a2 (D-M64.1) は、中国の正史「三国志」「後漢書」に登場する狗邪韓国や新羅時代に活躍した日本人の一部がそのまま帰化したものとみられる。その他の少数ハプログループについては、東アジアないし北アジアが起源と考えられており、朝鮮民族以外の民族でも同じ頻度以上で確認されているので、とりわけ朝鮮民族を特徴づけるものと言い難い。
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