頭骨以外の骨格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 05:24 UTC 版)
スキピオニクスの脊椎は10個の頸椎と13個の胴椎で構成されると推測されている。しかし発見されている標本は生後間もない雛のものであるため、頸椎と胴椎の違いが十分に発達しておらず、区別はかなり任意である。仙椎は確実に5個である。標本では尾椎が7個のみ保存されていた。生存時は尾椎は50個以上あった可能性が高い。頸椎は後凹型(opisthocoelous)である。軸椎は含気孔(首の基部の気嚢の憩室が内部の空洞に達するための開口部)が骨の側面に見られ、含気化(英語版)していた。第3、第4、第5頸椎にも含気孔が見られるが、空洞はつながっていない。含気化の過程は背中から始まり、前方へ広がっていったと想定されていたため、前方の方が含気化が進んでいるというこの状態は驚くべきものであった。1998年の論文では頸肋骨は短いものと見られたが、2011年の研究では逆に非常に細長く、椎体の3倍におよぶものであることが判明した。 胴椎は含気化していない。椎体の断面は楕円形かつ両平型(amphiplatyan 前後どちら側にも凸凹が見られない)である。側面は六角形で棘突起は短い。棘突起の最上部のすぐ下の前後の縁には嘴状の突起がある。1998年の研究では多くの獣脚類に見られる二次関節機構である、ハイポスフェン-ハイパントラム複合体(英語版)が縮小したものであると解釈されていた突起は、2011年の研究では2006年に他のコンプソグナトゥス科で同定されたものと同じ、1対の腱の付着部であることが確かめられた。例外的に第13胴椎には2つの肋骨関節突起があり、側突起(parapophysis)および横突起(diapophysis)が同じ水準に並んでいる。5個の仙椎は互いにまだ癒合しておらず、真の仙骨にはなっていない。尾椎は平凹型(platycoelous)で、棘突起は短く、血道弓は後方に傾斜していた。 肋骨は少なくとも12対あり、外れた位置に見つかったいくつかの化石要素は、13対目の肋骨の可能性がある。3番目と4番目の肋骨は下端が広がっていて、生存時にはおそらく軟骨性の胸肋骨があり、この標本ではまだ骨化していない状態の胸骨と接続していたようである。臀部の下部はかご状になった18対の腹肋骨(英語版)で覆われていた。ダル・サッソとMaganucoは前肢付近に存在した不思議な骨幹の破片について、これが最前部に位置する19対目腹肋骨であり、1対の通常の腹肋骨の中間部の要素に相同な2つ骨幹が完全に癒合したもので構成されていると解釈した。このような血道弓に似た骨はジュラヴェナトルでも報告されている。腹肋骨はヘリンボーン状に並び、左右の骨が接する腹側の末端が分岐していて、互いに重なり、腹部の呼吸運動に適応してかご状構造が拡大、収縮できるようになっている。 肩甲骨は比較的まっすぐで、長さは幅の約6倍から7倍ほどであるが、上端は失われている。下端は半円状の烏口骨と接続している。叉骨は幅が広く、125度程度の角度で分岐したU字型をしている。前肢はかなり長く、上半身の長さのほぼ48%ほどである。特に手は他の一般的なコンプソグナトゥス科の種と同様に細長い。しかし、コンプソグナトゥス科の中ではスキピオニクスの手は比較的短い。上腕骨はまっすぐで、三角胸筋稜が適度に発達している。尺骨は細く、上腕骨の70%ほどの長さで筒状である。手首を構成する骨は二つのみであり、橈骨は下端がその下にある円盤状の骨にかぶさっている。この円盤状の骨は第一下手根骨が拡大したものか、もしくは第一、第二手根骨が継ぎ目なく完全に癒合したものであるとみられる。中手骨は小さくまとまり、適度に細長い。3つの骨で構成され、それぞれに互いに鏡像型の指が付いている。第一の骨が最も短く、最も分厚い。第二のの骨が最長である。第三の骨は長さも厚みも第一、第二の中間にある。この骨に付く第三指はコンプソグナトゥス科でも特に長く、第一指の123%におよぶ。第一中手骨の関節には斜角が付いているため、第一指は内側に広がっていて、かぎ爪は第二指のもより小さい。これらの手のかぎ爪は程度に曲がっている。 骨盤では腸骨が短く、平らで上側の側面が凸である。後端は長方形で、前方のへりにはかぎ状に尖った付加物があり、頂点付近に丸い切痕がある。これらの特徴はティラノサウルス上科との共有派生形質(synapomorphy)とみなされることが多い。恥骨の先端はほぼ垂直に下がっており、「mesopubic」もしくは「orthopubic」の状態である。恥骨は比較的短く、大腿骨の長さのおよそ2/3である。坐骨は恥骨の3/4ほどの長さで、54度の角度で付いていて、先端は少し広がっている。坐骨の骨幹の前方には手斧状をした筋肉が付着するための大きな突起があり、ここに恥骨坐骨大腿括約筋(Musculus puboischiofemoralis externus)が付着する。突起の下の縁と骨幹の間にあるはずの小さな丸い切痕がみられないが、この欠損は通常、下部に三角形の閉鎖筋突起が存在することと関連している。 後肢では下腿が見つかっていない。大腿骨はまっすぐで太い。小転子が大転子よりも著しく短く、狭い裂け目で分離されている。前方には翼状の拡張部がある。後方転子はなく、同様に骨幹後方の第四転子も無い。脛骨の下腿隆起は小さく、深く狭い溝で外側顆と分離されている。腓骨は上部が幅広く、骨幹は細い。
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頭骨以外の骨格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 16:51 UTC 版)
アロサウルスは、首に9個、背中に14個、腰部(仙骨)に5個の椎骨を持っていた。尾部の椎骨の数ははっきりせず、個体によっても異なるようである。ジェームズ・マドセンは50個、グレゴリー・S・ポールは45個かそれより少ないと推測している。首部の椎骨には空隙があり、そこには現生の鳥類と同様に呼吸用の気嚢があったと考えられている。 肋骨の広がりは大きく、ケラトサウルスのようなより原始的な獣脚類よりも太い胴体を持っていた。また標本数は少ないが腹肋骨(腹側を覆う骨)を持っていたと考えられており、それは完全には骨化していなかった。1996年には叉骨の存在も確認されている(ただしそれまで腹肋骨と混同されていた場合も多い)。腰部を形成する腸骨は強固で、恥骨は竜盤目特有の体前下方へ大きく突出する構造であったが、それは筋肉の接着部であると同時に地上へ体を下ろして休息する際の支えとして働いた。マドセンはクリーブランド・ロイド発掘地で見つかった約半数の個体の恥骨先端が、体の大きさに関わらず融着していないことを発見した。マドセンはこれを性差を示すものとし、恥骨先端が分離しているのは雌で、産卵しやすい骨格構造になっていると主張した。しかし、この仮説はあまり顧みられていない。 アロサウルスの前肢は後肢に比べて短く、成体では後肢の約35%である。手にはそれぞれ3本の指があり、その先には湾曲した大きな爪が付いていた。腕は強力で前腕は上腕に比べていくらか短かった(尺骨と上腕骨の比は1:1.2)。手首の手根骨は半月状であり、これは鳥類を含む小型獣脚類グループ(マニラプトル類)に見られるものと同様であった。3指は親指に当るものが最も太くて大きい。脚はケラトサウルスのような同時代の大型獣脚類に比べると長いが、後の時代のティラノサウルスほど長くはなく、移動速度はそれよりも低かったと考えられている。また足先の爪はそれほど発達しておらず、初期の獣脚類よりも蹄に近いものであった。各足には接地点を持つ3本の指があり、そのやや上部内側に1本の母趾(狼爪)がある(マドセンはこの母趾は幼獣を掴むために使用していたという説を唱えた)。またこれらの指を構成する4本の中足骨の内側には5本目のものがあるが、これはアキレス腱を伸縮させるための一種のレバーとして機能したのではないかと解釈されている。
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