連邦議会襲撃事件をめぐって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 16:51 UTC 版)
「ドナルド・トランプ」の記事における「連邦議会襲撃事件をめぐって」の解説
詳細は「2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件」を参照 連邦議会が先の選挙人の投票結果を正式に認定する日だった2021年1月6日、トランプはホワイトハウス前でその抗議集会を開き、トランプ支持者に向けて暴力を煽るような演説を行ったうえで、ペンシルベニア大通りを連邦議会議事堂まで行進することを促した。少なくとも数千人のトランプ支持者が連邦議会へ向けて行進し、そのうちの一部が連邦議会議事堂に乱入し、占拠する事件が発生した。この事件では、5人が死亡した。 この暴動で連邦議会の議事は中断された。ジョー・バイデンは、暴動を批判して暴徒に即時退去を呼び掛けるよう要求した。トランプはツイッターに投稿した動画で「平和でなければならない。家に帰ろう。愛している」と支持者に訴えたが、一方で「盗まれた選挙だった。私たちの地滑り的勝利だった」と改めて主張した。 その後トランプのSNSアカウントは、ツイッターが「ルールへの違反があった」ため3件のツイートの削除要求と12時間の投稿ブロック、フェイスブックが「規約違反があった」ため24時間の投稿ブロックになるなどアカウントが一時凍結された。ツイッターは、トランプが今後再びツイッターのルールに違反した場合には同氏のアカウントを永久に停止すると警告した。その他、ライブ配信サービスTwitchもトランプのアカウントをブロックし、ショッピングサイト開設サービスShopifyはトランプの公式ショップを削除した。 1月7日にトランプのツイッターアカウントの一時的な凍結は解除された。トランプは同日夜にツイッターで動画を投稿し、「連邦議会への極悪な攻撃について、すべてのアメリカ人と同様に激怒している」「議事堂を汚した」者たちは「この国を代表しない」と述べた。「自分はこれまで公平な選挙を確保し民主主義を守るために闘っていた」ので、「議会が選挙結果を認定した今、1月20日に新しい政権が就任する」と、議会の大統領認定を承認した。前の声明とは異なり、選挙に勝ったのは自分だという主張をすることはなかった。これは事実上、トランプが今回の大統領選挙について初めて敗北を宣言したと受け止められている。また、選挙に関する法律を、投票人の身元と有権者資格をはっきりさせるように変える必要があるとも主張した。 しかし1月8日にはトランプのTwitterアカウントが「2件のツイートがルール違反であり、暴力をさらに扇動する可能性がある」ため永久凍結された。これについて1月11日、ドイツ、フランス両政府は強い懸念を発表し、民意により選出された一国の大統領の言論の自由が一民間企業により停止されるべきではない、あくまで立法府の手続きを経て行われるべきだとの考えを示した。また、日本国内においては三浦瑠麗や上杉隆等の学者、ジャーナリストからもこのアカウント停止措置について批判の声が上がった。これに対してTwitterのジャック・ドーシーCEOは1月14日、自身のTwitterで「我々(Twitter社)の判断は正しかったのか?」と問題提起したうえで、「(アカウントの凍結は)正しい決断だったと思う」とし、「健全なコミュニケーションを促進する」ことに失敗したと認め、モデレーションの透明性を高める必要性を説いた。 事件後、集会で支持者を煽ったトランプとルドルフ・ジュリアーニを扇動罪に問うよう求める声が高まり、1月7日に連邦検察はトランプに対する捜査や起訴の可能性を排除しない考えを示したが、1月8日にはワシントン連邦検察局のケン・コールはFBIは今回の事件について「扇動」や「反乱」の疑いで捜査を行ってはいないとし「その種の訴追が行われる見込みはない」との見解を示している。ただ民主党内では追及機運が高く、バイデン政権へ政権交代した後にトランプ不正捜査の一環で起訴に踏み切る可能性があると報じられている(司法省は1973年に現職の大統領について原則として起訴しないとの内部指針を定めたが、退任後は適用の対象外となるため)。 政界では民主党からトランプ解任を求める声が高まっており、共和党からも部分的に同調する声が出始めている。 ナンシー・ペロシ下院議長はトランプの精神状態を不安視し、トランプ大統領が核兵器を使った攻撃命令を出すことなどを防ぐためとしてマーク・ミリー統合参謀本部議長と協議した。 さらにペロシ下院議長は1月11日にマイク・ペンス副大統領に憲法の規定に基づいてトランプを解任することを求める動議を下院に提出する意向を示した。12日に本会議で賛成多数で可決されたが、ペンスは採決に先立ち、トランプの解任に応じない意向をペロシに書簡で伝えている。 1月13日、「反乱を扇動した」として、トランプ大統領に対する弾劾の決議案が下院で可決。2月13日、上院の弾劾裁判は、有罪57票、無罪43票で罰則に必要な3分の2に届かなかった。
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