連続上告とは? わかりやすく解説

連続上告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 14:33 UTC 版)

福山市独居老婦人殺害事件」の記事における「連続上告」の解説

また、検察当局この上以降1998年1月までに、死刑求刑対し控訴審言い渡され無期懲役判決4件に対し相次いで上告した。この一連の検察による死刑求めた5事件への上告については「連続上告」と呼称される場合がある。 同年3月18日には札幌両親強盗殺人事件1991年11月発生被害者2人)の被告人対し札幌高等裁判所無期懲役言い渡した第一審支持し検察官被告人双方からの控訴棄却する判決検察官の求刑死刑)を言い渡したが、札幌高等検察庁同月28日死刑適用求めて上告していた。また、同年5月12日には国立市主婦殺害事件1992年10月発生)の被告人対し東京高等裁判所11刑事部中山善房裁判長)が第一審死刑判決破棄自判)し、被告人無期懲役とする判決言い渡していたが、東京高等検察庁は同判決について同年5月26日、「連続射殺事件判決永山基準)で示した死刑適用要件照らしても、死刑をもって処断すべき事案だ」として、判例違反および量刑不当理由最高裁上告した検察当局その後1998年平成10年1月までに、高裁無期懲役判決言い渡した2件の強盗殺人事件について、相次いで最高裁上告した。 「連続上告」の対象となった5事件罪状はいずれ強盗殺人など)事件名被害者数事件発生年月発生地第一審判決高裁控訴審判決宣告年月控訴審判決主文小法廷裁判形式上告審備考本事件 1人 1992年3月 広島県福山市 無期懲役 広島 (差戻前)1997年2月 (差戻前)控訴棄却 第二 判決 破棄差戻 強盗殺人の前科あり(仮釈放中の再犯)。共犯の男は無期懲役判決求刑:同)を受け、確定。 (差戻後)2004年4月 (差戻後)破棄自判死刑 第三 上告棄却死刑確定 札幌両親強盗殺人事件北海道職員夫婦殺害事件2人 1991年11月 北海道札幌市 札幌 1997年3月 控訴棄却 第一 決定 上告棄却無期懲役確定 共犯少女被害者夫婦の娘・当時19歳)も無期懲役が確定国立市主婦殺害事件 1人 1992年10月 東京都国立市 死刑 東京 1997年5月 破棄自判無期懲役 第二 判決 5事件では唯一第一審死刑言い渡されていた。 岸和田市銀行員殺害事件 1人 1994年10月 大阪府岸和田市 無期懲役 大阪 1997年11月 控訴棄却 第一 決定 倉敷市両親殺害事件 2人 1993年12月 岡山県倉敷市 岡山 1998年1月 第三 5事件被害者はいずれ1人 - 2人で、死刑無期懲役分けボーダーラインとされていたが、検察当局当時下級審死刑適用回避する傾向疑問視し、「近年裁判所量刑は軽すぎ、国民感情からかけ離れている」と訴えたこのような検察当局動向当時、「検察当局死刑選択基準揺らぎ釘を刺す狙いがある」と受け取られたが、法務検察幹部の中からは「最高裁下駄を預けることで『永山基準』が再確認される可能性もあるが、死刑回避方向見直されるなど、上告逆効果になる恐れもある」という声も上がっていた。 一方日本弁護士連合会日弁連人権擁護委員会で、死刑問題調査研究委員会委員務めていた小川原優之弁護士は、各事件弁護人との意見交換行い、5事件全体統一する形で最高裁提出する書面作成検討したほか、1998年11月には私見として「死刑無期懲役境界」をまとめて公開し、「検察側の求刑量刑基準混乱している。死刑無期懲役境界客観的に存在せず裁判官価値観によるところが大きい」と指摘していた。また、市民団体死刑廃止フォーラム90」は1998年2月に「暴走する検察庁 5件連続検察上告考える」というシンポジウム開いたが、このシンポジウムでは「被害者1人強盗殺人事件死刑判決は珍しい」「最高裁の新判断を得るのが目的ではなく判決上級裁判所晒し下級審寛刑傾向止める狙いがある。裁判官大きな圧力与えるだろう」などと、検察側の姿勢反発する声が上がった結局国立事件について本事件とともに最高裁第二小法廷口頭弁論開いたが、同小法廷福田博裁判長)は1999年11月29日に「死刑選択した第一審判決首肯し得ないものではないが、犯行計画性が高いとは言い難く原判決破棄しなければ著しく正義反するとまでは認められない」として控訴審判決支持し検察官の上告を棄却する判決言い渡した。しかし、その一方で永山基準」を示した1983年7月最高裁判決引用して殺害され被害者が1名の事案でも、極刑やむを得ない認められる場合がある」と判示した。他3件についても、後に相次いで上告棄却決定出されたが、一連の「連続上告」を決断した堀口は「(連続上告により)それまで裁判官判断抑圧してきた、極刑慎重な流れのようなものを取り払った意味は大きかった」と回顧している。

※この「連続上告」の解説は、「福山市独居老婦人殺害事件」の解説の一部です。
「連続上告」を含む「福山市独居老婦人殺害事件」の記事については、「福山市独居老婦人殺害事件」の概要を参照ください。

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