検察官の求刑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 07:45 UTC 版)
裁判官は、量刑を行うための判断資料として、検察官が行う求刑も重視する。求刑とは、証拠調が終わった後に検察官が行う、「事実及び法律の適用について意見」の陳述(論告、293条1項)に併せて行う、具体的な量刑についての意見である。検察官は、一人一人が独立の官庁として個別に判断して訴訟行為を行う(検察官独立の原則)一方で、検察庁全体が一体となって、いずれの検察官も、また日本全国津々浦々どこの検察庁であっても、上意下達の組織を固め、安定的な判断を行うものとされている(検察官同一体の原則)。検察庁では、全国の裁判例をまとめた量刑資料に、地方の検察庁ごとの量刑資料も加味して求刑を行う。そのため、検察官は、同じような罪名、同じような犯罪態様ならば、同じような求刑を行うことが多い。したがって、裁判官が司法全体の安定的な量刑、公平性と法的安定性を考慮した量刑を行う場合、検察官の行う求刑も重視することとなる。 もっとも、裁判官の量刑は、検察官の求刑に拘束されることはない。法的には、検察官の論告は、事実及び法令の適用についての意見に止まり、裁判所がいかなる量刑をすべきかという意見を検察官が述べる権限は明文ではない。また、検察官は、求刑において、被告人にとって有利な諸事情を一応は考慮するが、訴追官としての立場から事情を片面的に検討するに過ぎないものである。したがって、求刑は、裁判官の量刑の参考とするにとどまる。
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