実行犯X
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 15:23 UTC 版)
「熊谷養鶏場宿舎放火殺人事件」の記事における「実行犯X」の解説
一方、被告人Xは、逮捕後の警察の捜査では罪を認めていたが、第一審の公判では無罪を主張。証言をした被害者Aには、軽度の知的障害があったため、その証言の信用性が焦点になったが、さいたま地裁第3刑事部(川上拓一裁判長)は2003年7月1日の第一審判決公判で、検察官の求刑通り、被告人X(当時78歳)に死刑判決を言い渡した。さいたま地裁 (2003) は、警察の心理学者の意見書を採用し、「(Aは)境界線知能の水準だが、長期記憶の保持能力に劣るところはない」として検察側主張を認めた。また報酬として受け取った300万円が養鶏場の記録にあることなどから有罪と判断したほか、被告人Xが本事件以前に、女性1人を殺害して懲役20年に処された前科があったことなどを、死刑選択の理由として挙げた。 控訴した被告人Xは、控訴審では状況証拠がないことや、自白の信用性を否定する旨の主張を展開し、無罪を主張した。2006年(平成18年)9月26日、東京高裁(池田修裁判長)は原判決(死刑を選択した第一審判決)を破棄自判し、被告人Xに無期懲役を宣告した。東京高裁 (2006) は、首謀者であるWの無期懲役が確定していたことから、「Wの無期懲役とは歴然とした差異のある極刑は、共犯者間の刑の均衡を失する懸念をぬぐい難い」と指摘したほか、「被告人XはWに利用され、巻き込まれた面があるのは否定できない。被告人Xの年齢(当判決時82歳)などを考えると、極刑はいささか躊躇を覚えざるをえない」と述べた。被告人Xは最高裁に上告したが、上告中の2007年(平成19年)5月28日に東京拘置所内で病死(82歳没)。これを受け、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は同年6月12日付で公訴棄却の決定を出した。
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