評論家等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 02:16 UTC 版)
「在日特権を許さない市民の会」の記事における「評論家等」の解説
安田浩一(作家) 安田浩一によれば、在特会は特別永住者のことを「特権階級」と決め付け、「階級闘争」たる民族紛争を仕掛けることを通じて、ワーキングプアである日本国民の生存と地位向上を志向していると主張している。安田浩一は、自著において『在日に対して「ゴキブリ」「死ね」と叫ぶのは、彼らの理屈を拝借すれば強者へのレジスタンスなのである』という。在特会には、自営の社長、メーカーや銀行等の上場企業に勤務している者が少なからず在籍しているが、会の内部で階級対立は起きていない。安田浩一によれば、韓国ネチズン等の海外極右勢力は、特定の国や民族に生まれた自らの出自と、祖先や同胞が特定民族として他国および他の民族に対して「与えた」文化や技術の数とを誇りとして、他民族に対して今後より一層の教化を行い、他民族を文化的・経済的に取り込む同化運動を展開している一方で、在特会の場合は正反対に、自身の不遇は「自己責任論」で片付けられる性質のものではなく、本来与えられるはずだった各種の社会的・文化的機会やセーフティネットを、日本に流入してきた他民族から不当に奪われた結果であるとして憎しみを募らせ、「愛国」を大義名分とする階級闘争で「奪われた」ものを取り返そうとしているところが対照的だという。ただし、歴史認識や過去の賞罰等の尤もらしい理由をもって他国や他民族を蔑視し、有形無形の攻撃を執拗にすることは、世界中すべての極右勢力に共通する思想体系であり、韓国や中国の「反日教育」には在特会と同様に辟易させられるという。また安田は、2013年3月14日、参議院議員会館において「在日への敵意をドライブとして街宣しネット上で支持を集める。より下劣に、より激しくすることで一定の支持を得られることを知っている。思想的な足場がないので運動(街宣)をやめてしまったら、運動自体がなくなってしまう。彼らは右翼でも保守でも民族派でもない。レイシストだ」「在特会は、右のべ平連である」と主張した。 また、安田によると、街頭活動時に非常に過激で挑発的・差別的な言動を多用するという特徴があり、単に制度的な「在日特権」を非難するだけではなく、しばしば在日韓国・朝鮮人そのものの排斥まで主張している、と批判した。 マスメディアの対応について、「マスメディアは当初、在特会などは一部の特殊な人々で、そのうち消えるはずだし、取り上げたら、彼ら彼女らを社会的に認知してしまうとして無視した。メディアがもっと早くから批判していたら、『在日特権』のデマが今ほど広がることはなかった」としている。 樋口直人(社会学者) 徳島大学の樋口直人は2012年の論文で「保守主流派よりナショナリズムと排外主義に関して右=強硬派で、既成政治勢力から独立した者」を「極右」と定義し、その代表的存在が在特会だとした。樋口はホワイトカラーや自営業者など「正常範囲」の人々が在特会メンバーの主体であり退職者を除いて無職はいなかったとして、安田浩一の主張に疑義を呈した。樋口によれば、「(在特会は)中間層の運動とみなしたほうが正確であり、階層の低い者の不安が排外主義運動を生み出すという仮説は棄却されたといってよい」。2011年から1年半をかけて会員の34人を調査した樋口の報告によれば、会員は主に「高学歴の正規会社員」であった。樋口の調査によれば、学歴面では京都大学や東京工業大学出身のエンジニアなど大卒(在学・中退者を含む)が34人中24人、雇用形態面では正社員が34人中30人(他は非正規職2人、その他2人)、そのうちホワイトカラー(事務職)は22人であった。この結果から「意外に普通の市民が普通の経歴を経て、全国各地で集まる、それなりの論理を備えた合理的な行動」をしており、だからこそ「これは極右市民運動の新たな怖さ」と樋口は憂慮している。また、樋口は在特会について「右翼崩れからノウハウを、歴史修正主義から係争課題を、インターネットからネット右翼という動員ポテンシャルを得てきた。在特会の新しさは、インターネットへの依存度が極端に高く、組織されざるネット右翼を組織化したことだ。」とした。
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