樋口直人とは? わかりやすく解説

樋口直人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 09:01 UTC 版)

樋口 直人(ひぐち なおと 1969年 - [1])は、日本社会学者、元気象庁職員。早稲田大学教授

在日外国人社会運動政治を論じている[1]

経歴

神奈川県厚木市出身。神奈川県立厚木高等学校を経て[2][3]、1988年気象庁入庁、気象大学校入学[4]。1994年一橋大学社会学部[5]、1996年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、1999年同博士課程中退[5]。この間1997年から1999年まで日本学術振興会特別研究員。2015年に一橋大学に提出した学位論文「日本型排外主義 : 在特会・外国人参政権・東アジア地政学」で博士(社会学)[6]

1999年より徳島大学総合科学部人間社会学科で講師として教鞭をとり、2005年より同助教授、2007年より同准教授。2020年から、早稲田大学人間科学部教授[7][4]

2003年から2005年まで国立民族学博物館共同研究員、2009年から2010年までオランダユトレヒト大学欧州移民・エスニック・人種問題研究所(ERCOMER)客員研究員、2018年ドイツフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク客員教授[8][4]徳島労働局労働関係紛争担当参与なども務めた[8]

評価

在日コリアンに対する排外主義ヘイトスピーチに関する研究で、徳島大学総合科学優秀賞を受賞[9]

塩原良和は樋口の著書『日本型排外主義』について「実証的な調査データと堅実な理論枠組み、そして歴史的広がりをもった視野に基づく分析」とする書評を寄せた[10]

町村敬志、伊藤るり、田中拓道によれば、樋口は「誠実な態度、揺るぎのない姿勢で知られる」[6]

主張

樋口は「日本型排外主義」を「近隣諸国との関係により規定される外国人排斥の動きを指し、植民地清算と冷戦に立脚するものである」と定義した[11]

排外主義運動について研究しており、「在日特権を許さない市民の会」がその中で最大かつ最も知名度が高いとしている。『社会科学的にみれば、「在日特権」なるものは根拠のないデマ』と述べているがこれにより人を集めることに成功しているという現実が重要としている[12]

排外主義運動の活動家33名(在特会を中心に活動しているのは25名)を聞き取り調査した結果、「市民の会」については、その会員はホワイトカラー自営業者などが主体であり、退職者を除いて無職はいなかったとし、「(在特会は)中間層の運動とみなしたほうが正確であり、階層の低い者の不安が排外主義運動を生み出すという仮説は棄却されたといってよい。」などと論じている[13]

ヘイトスピーチに対しては、「被害者が訴えて救済される道が開かれる点で、筆者は法規制に賛成である。しかし、法的な規制だけで問題は解決しない。一連の事件の背景には、日本は日本人だけのものであり外国人は脅威であるという排外主義があり、その抑制がなければ対症療法にしかならない」[14]

著書

脚注

  1. ^ a b パネルディスカッション:今後の外国人労働者問題を考える ―経済危機が日系人労働者に与えた影響等を踏まえて―:第50回労働政策フォーラム (2010年12月4日)|労働政策研究・研修機構(JILPT)
  2. ^ http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/ISBN 978-4-7872-3278-6
  3. ^ 樋口直人
  4. ^ a b c 「樋口 直人」Researchmap
  5. ^ a b 徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 樋口 直人
  6. ^ a b 日本型排外主義 : 在特会・外国人参政権・東アジア地政学 2015-09-25「学位審査結果の要旨」・博士論文審査要旨
  7. ^ 「氏名 ヒグチ ナオト 樋口 直人」 早稲田大学
  8. ^ a b 「准教授 : 樋口 直人」徳島大学
  9. ^ 平成28年度 総合科学優秀賞受賞者表彰式について
  10. ^ 塩原良和 日本社会学会 社会学評論 Vol. 66 (2015) No. 1 p. 156-157
  11. ^ 樋口直人『日本型排外主義』名古屋大学出版会、2014年2月
  12. ^ 樋口直人「排外主義運動のミクロ動員過程―なぜ在特会は動員に成功したのか―」『アジア太平洋レビュー』、アジア太平洋研究センター、2012年。 
  13. ^ 樋口直人「排外主義運動のミクロ動員過程―なぜ在特会は動員に成功したのか―」、『アジア太平洋レビュー』第9号、アジア太平洋研究センター、2012年9月
  14. ^ 「ヘイトスピーチと排外主義 根本的な対策のために」『聖教新聞』2014年8月7日付

外部リンク


樋口直人(社会学者)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 02:16 UTC 版)

在日特権を許さない市民の会」の記事における「樋口直人(社会学者)」の解説

徳島大学の樋口直人は2012年論文で「保守主流派よりナショナリズム排外主義に関して右=強硬派で、既成政治勢力から独立した者」を「極右」と定義し、その代表的存在在特会だとした。樋口ホワイトカラー自営業者など「正常範囲」の人々在特会メンバー主体であり退職者除いて無職はいなかったとして、安田浩一主張疑義呈した樋口によれば、「(在特会は)中間層運動みなしたほうが正確であり、階層の低い者の不安が排外主義運動生み出すという仮説棄却されといってよい」。2011年から1年半をかけて会員34人を調査した樋口報告によれば会員は主に「高学歴正規会社員であった樋口調査によれば学歴面では京都大学東京工業大学出身エンジニアなど大卒在学・中退者を含む)が34人中24人、雇用形態面では正社員34人中30人(他は非正規2人、その他2人)、そのうちホワイトカラー事務職)は22であった。この結果から「意外に普通の市民が普通の経歴経て全国各地で集まる、それなりの論理備えた合理的な行動」をしており、だからこそ「これは極右市民運動新たな怖さ」と樋口憂慮している。また、樋口在特会について「右翼崩れからノウハウを、歴史修正主義から係争課題を、インターネットからネット右翼という動員ポテンシャル得てきた。在特会新しさは、インターネットへの依存度が極端に高く組織されざるネット右翼組織化したことだ。」とした。

※この「樋口直人(社会学者)」の解説は、「在日特権を許さない市民の会」の解説の一部です。
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