デニズンへの帰化推進論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 15:30 UTC 版)
「日本における外国人参政権」の記事における「デニズンへの帰化推進論」の解説
「デニズン」とは、スイスの政治学者トーマス・ハンマーが使用した概念で、帰化を望まない外国籍の市民のことであり、「永住市民」または「永住外国人」と翻訳される。このデニズンの考え方を受けて、樋口直人や近藤敦、宮島喬らがいる。樋口は、参政権付与をめぐる論理として1)「過去の国民」の権利―植民地支配の清算、2)「将来の国民」の権利―国民と一般外国人の中間的存在としての永住市民の権利(denizenship)、ほか人権と住民権なども挙げ、国民化を強制する国民国家体制を再考し、国籍とも国民とも切り離された住民自治実現のため永住市民権と地方市民権の推進を訴えている。 これに対して、日本国籍を取得した外国人(日本国籍取得者)には、当然参政権が保障されるため、むしろ帰化推進によって国籍取得による参政権の十全な行使を主張する観点から、帰化を拒否したまま外国人参政権を要求することに対する反論として帰化推進論がある。鄭大均もこの帰化推進論者であり、日本国籍取得によってこそ参政権は十全に行使できるし、またそのことによって「日本人(日本国民)」という概念の多様性が広がるという見解を提出している。 この帰化推進論はフランスの社会学者フランソワ・デュベも主張しており、「移民の権利向上には賛成であるが、選挙権について完全な権利を持つ市民(国民)と、不十分な地方選挙の権利しか持たない外国人市民という二重の存在を作りだすことは問題である。フランス共和国的平等の理念は<二級市民>を容認できない。したがって、参政権を持つなら、国籍を取得し、完全な市民(国民)としてこれをフルに行使すべきである」とする見解を述べている。
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