財テクブームと消費の過熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:06 UTC 版)
「バブル景気」の記事における「財テクブームと消費の過熱」の解説
バブル経済下では金融・資産運用で大幅な利益を上げる例が強調され、企業においても本業で細々と着実に利益を上げたり、保有株式の配当金等よる利益(インカムゲイン)を上げるのでなく、所有する土地や金融資産を運用して大きな収益(キャピタルゲイン)を上げる「財テク(○○転がし)」に腐心する例もあった。 1986年2月にNTTが上場し、株価は2カ月で売り出し価格の3倍にあたる318万円の高値をつけ、企業・個人が財テクに入り込んでいくきっかけとなった。「財テク」(=財務テクノロジー)に代表される企業の余剰資金運用を日本経済新聞等のマスコミが喧伝し、「特金ファンド」(特定金銭信託ファンド)で法人の株式投資を活発化させ、個人投資家の株式投資を誘発した。主要全国紙はこの頃、株式欄を拡大させ、金融雑誌や金融商品評論家、不動産取引評論家等が出現して個人の金融取引を煽った[要出典]。 潤沢な資金による買い漁りの対象は、NTT株の公開に伴う一般投資家による投資や、フェラーリやロールス・ロイス、ベントレーなどの高級輸入車、サザビーズなどが開催したオークションによるゴッホやルノワールなどの絵画や骨董品、にまで及ぶなど、企業や富裕層のみならず、一般人まで巻き込んだ一大消費ブームが起きた。 これらの一因として、中小企業主に対する融資が緩くなったことや、企業に勤めて新居購入のために貯金をしていた世帯が、土地価格の急激な上昇のため新居取得を諦め、新車購入や旅行、消費に走ったことなどが挙げられる。 1989年に内需拡大の掛け声とともに、所得税の国税地方税を合計した最高税率が88%から75%に引き下げられ、富裕層を中心に手取り収入が最大2倍近く増えたことが、資金供給に追い打ちをかける形となった。
※この「財テクブームと消費の過熱」の解説は、「バブル景気」の解説の一部です。
「財テクブームと消費の過熱」を含む「バブル景気」の記事については、「バブル景気」の概要を参照ください。
- 財テクブームと消費の過熱のページへのリンク