航送用コンテナが生まれた背景と、関連する法令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 16:00 UTC 版)
「国鉄UC7形コンテナ」の記事における「航送用コンテナが生まれた背景と、関連する法令」の解説
世界中の国々をコンテナ船や、鉄道などで跨ぐいわゆる、国際コンテナ輸送の安全性を担保するために、使われている各種コンテナの構造・保守管理に関する共通の国際的な約束事を、1972年にジュネーブの国連欧州本部で【安全なコンテナに関する国際条約(International Convention for Safe Containers, 1972、「CSC条約」)】が決定した。 これに伴いわが国では、1977年9月に関連法案が発効され、当時の鉄道コンテナを一手に管理していた旧、国鉄が、沖縄 ←(フェリー)→ 本州 ←(青函連絡船)→ 北海道及び、下関港 ←(フェリー)→ 韓国間をそれぞれ結ぶ航路で使用されている航送用、20ftコンテナを対象にして、まず新しく新造される汎用コンテナ(ドライコンテナ)に付いては、新形式となるUC7-10000番台を付与する事となった。登録方法としては、新造された国際コンテナへのISO規格に則って付与される認定形式と同様に、UC7形式コンテナを新造したメーカー各社が、製作ロット毎にまとめて国内の指定検査機関へ申請を出して規定の各種検査を受ける。日本国内では、日本舶用品検定協会(検定刻印マークは、HK )及び、日本海事協会(検定刻印マークは、NK )の二社が検査を担当していた。これらの一連の検査に合格した個々のコンテナの片妻側ドアに、国際海上コンテナ同様に(安全承認板=CSCプレート)の貼り付けが義務付けられている。 ただし、西濃運輸が所有している両妻開式(10666 - 10685 ・ 10696 - 10742)の合計67本の場合には、コンテナ両側端にコンテナの運用上での方向を示す( R = 後妻側に該当)文字記載側の、妻ドアに取り付けられる。 以下に参考として適用される関連法令、『 船舶安全法施行規則、第十九条の三 《コンテナに関する検査の特例》 』 について記す。なお、航送用コンテナ規格が設定された当時の本州 ⇔ 北海道間は、現在の青函トンネルが未開通のために、青函連絡船を利用して専用のコンテナ貨車に、今回新規に認定されたUC7形及び、後に追加形式認定されたUT7形タンクコンテナ(5000番台の割り当て新形式として、UT7-5001~7までの僅か7個のみの登録)を積載して輸送していた。ただし、それ以外の従来型となる冷蔵UR5形や通風UV5形といったいわゆる特殊コンテナ類は、コンテナを形式変更する事もなくそのまま利用して輸送していた。またUC7に認定されていない一部の従来型であるUC5形でも、現状としては新法制定後でも多少なりとも輸送されていた事例が、当時の青函連絡船関連を記録した写真や、動画もネットで散見されている。このために新法により「コンテナを航送するために」と言う大義名分は付いてはいるが、青函航路に関しては、例えばコンテナを直接船舶に積載(一部のトラック積載乗船事例を含む)している沖縄及び、韓国ルートとは輸送形態の事情が大きく異なり、他の鉄道貨車同様にコンテナ貨車にコンテナ自体を例え空コンであれ、積コンであれ輸送貨物として積載し、ツイストロックで固定した状態で青函航路を利用していた。更に、連絡船内での積載貨車全てには、鎖を用いた専用の固定金具で厳重に船底に固縛されていた。つまり平たく言えば、無蓋貨車に積載する貨物(一例として、各種の車両・ガラス板・鋼材等)によっては、専用の鉄枠や木枠で積載貨物を梱包し、更に貨車から転落しないように、ロープやワイヤー等で厳重に固定して、普通に青函連絡船を使って輸送していた事と同じである。 これらの現状から、結果論ではあるが、わざわざ強度試験等の追加費用を支払っての新規製作や、前項の福山通運及び、松岡満運輸の二社による従来型の古いUC5形の一部を、改造補強費+検査料を支払って形式の改番登録を行うといった涙ぐましい努力をするも、UC7及びUT7を登録した一部のユーザーでは、結局、青函航路ルートしか使わなかったユーザもあった。これは登録開始から青函トンネル開通により、事実上は登録する意味の無くなるまでの僅か10年間の間、前記した様な様々なあやふやな環境下で、金額の多かれ少なかれを問わずある意味、疑問の残る追加の投資を余儀なくされた事となった。特に韓国ルートに関しては、UC5形時代からの輸送実績があった日本通運及び、西濃運輸の二社に事実上、限られていた。 なお、下記『第十九条の三』の本文中で関連する各法令の内容は、法令に併記している【"関連"】リンク先を参照のこと。 第十九条の三次の各号の一に該当するコンテナ(船舶による貨物の運送に使用される底部が方形の器具であつて、反復使用に耐える構造及び強度を有し、かつ、機械荷役、積重ね又は固定の用に供する装具を有するものをいう。以下同じ。)については、前三条の規定にかかわらず、定期検査、中間検査、臨時検査及び臨時航行検査を受けることを要しない。 一、 法による検査又は検定を受け、これに合格したコンテナであつて次に掲げる要件に適合するもの (イ)、 第五十六条の四第二項に規定する安全承認板が取り付けられていること。 (ロ)、 第六十条の四第一項第一号又は第二号に掲げる日を経過していないこと。 (ハ)、 著しい摩損、腐食又はき裂、有害な変形その他の異状が認められないこと。 二、 日本船舶を所有することができる者又は日本船舶を所有することができない者が所有しているコンテナであつて、それぞれ告示で定める外国の政府により当該国のコンテナに関する法令に適合していることが認められていることを示す有効な確認物を有し、かつ、前号(ハ)の要件に適合するもの。
※この「航送用コンテナが生まれた背景と、関連する法令」の解説は、「国鉄UC7形コンテナ」の解説の一部です。
「航送用コンテナが生まれた背景と、関連する法令」を含む「国鉄UC7形コンテナ」の記事については、「国鉄UC7形コンテナ」の概要を参照ください。
- 航送用コンテナが生まれた背景と、関連する法令のページへのリンク