航空機搭載のための改修と試験とは? わかりやすく解説

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航空機搭載のための改修と試験

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 02:07 UTC 版)

ホ501」の記事における「航空機搭載のための改修と試験」の解説

1944年昭和19年3月6日、「キ一〇九」搭載に関する協定事項大阪陸軍造兵廠策定された。この協定では「キ一〇九」搭載砲として八八式七糎高射砲使用し、これに大阪陸軍造兵廠製作した砲番三五二号および三五八三号を使用することと決められた。航空機搭載用とするにあたり撃発機と砲取付金具改修部分とされた。構造としては脚、匡照準器、歯弧板など、揺より下の構造撤去し新たに砲と航空機結合する砲架取り付けている。改修用の図面第一陸軍技術研究所から3月20日までに送付することとされた。また改修期間は図面送付一カ月とされた。 これ以降改修試験予定は以下のように策定された。 4月下旬 竣工射撃試験 4月下旬から5月上旬温度における駐退機調整試験 5月下旬 取付試験 6月上旬 総合試験 3月31日第一陸軍技術研究所では搭載基礎試験要報を提出した日程3月22日から28日、場所は大阪陸軍造兵廠および大津川射場である。この試験では八八式七糎野戦高射砲後座抗力計測航空機搭載基礎資料とした。初速720m/sを得るには装薬量1.390kgが必要とされた。この試験では後座特性抗力変化経過後座長最大抗力調べられた。試験後、低温での駐退液の試験が必要とされた。 砲架クロームモリブデン鋼板で製作すること、また後座抗力安全率1.5倍とし、5.31tとして設計された。取り付け金具類の安全率1.8×1.5=2.7、金具胴体との結合部分では1.8×1.4=2.52、胴体構造関係では1.8×1.25=2.25とされた。 5月2日第一陸軍技術研究所では「キ一〇九」搭載竣工試験要報を提出した大阪陸軍造兵廠にて試験砲が竣工4月24日から28日まで大阪陸軍造兵廠大津川射場にて機能抗堪性試験し結果良好だった。ただし撃発機に改修が必要と判定された。 この時点で砲の諸元一部表記されている。砲の全備重量は740kg、閉鎖機つき砲身重量は490kg。揺体重量は250kgであった。また重心位置砲口から2.420mの位置だった。初速720m/sで後座抗力は4.8t、初速750m/sでは後座抗力が5.2t。発射弾数86発。連続発射して異常はなかった。電気発火機能良好だ電磁石牽引力がやや弱く発火バネ電磁石改良が必要とされた。改修しない場合には不発恐れがある指摘している。後復座機能は良好であり、安全機能はやや不良とされた。取り付け金具への取り付け作業、砲への取り付け問題はなかった。 さらに第一陸軍技術研究所5月11日に「キ一〇九」搭載低温試験要報を提出した日程5月10日から13日射場東京第二陸軍造兵廠稲付射場である。高空では砲が低温晒され地上常温とは使用条件異なるため、必要な試験である。低温での機能抗堪性能は良好だった後座抗力変化はなかった。氷結時の信管安全度変化見られなかった。駐退液乙50%に純アルコール50%加えて使用した。以下は各温度での駐退液の粘度変化である。 摂氏10度にて粘度は8.636センチポアズ。 0度、14.844 -10度、27.606 -20度、54.217 -30度、118.110 -40度、296.317。 この試験では1.39kgの装薬量で射撃し状況調査した装薬温度摂氏-41.5度で発砲した際には腔圧が2307kg/cm2、初速682m/s、推定駐退機温度-37度。後座長不明後座状況は可だった。装薬温度10度発砲する初速712m/s、腔圧2740kg/cm2、推定駐退機温度-41度、後座長1.39m、後座状況は可だった。 問題点として復座機空気不足が生じ、復座不足となったがこれは射撃前の準備問題があると考えられた。駐退液に問題発生しなかった。砲各部氷結生じなかった。各機能良好、不凍性軽質潤滑油により固着生じない。しかし低温から常温へ砲を戻すと大量氷結生じた撃発機の作動がやや不良となった砲腔内にも着雪したが信管には悪影響はなかった。摂氏-50度までは使用可能と推測された。 6月1日第一陸軍技術研究所では「キ一〇九」搭載駐退機調整試験要報を提出した日程5月26日から29日、場所は伊良湖試験場である。電気発火機能点検では、戦車電磁石改修後)および三菱電磁石は共に牽引力十分で機能抗堪性良好であり、連続60回以上の撃発行って機能不良一切なかった。俯角をかけて射撃した際の機能点検では、弾量は6.540kg、装薬は三号帯状1.390kgの弾薬使用され、0度、-5度、-10度、-15度、-19度の各俯角における後復座の状況比較良好だった9月5日陸軍航空審査部にて「キ一〇九」射撃試験計画たてられた。これは地上射撃試験空中射撃試験であり、試験人員には、第一陸軍航空技術研究所職員、および三菱重工業名古屋航空機製作所から若干名参加する予定とされた。日程陸上試験9月8日から10日空中試験9月11日から9月16日とされた。 予定では地上射撃試験福生射場にて実施24発射撃とされた。装薬量を1.1kgから1.46kgまで順次増量し平射撃を行う。ここでは砲架機体強度撃発装置機能確認する結果により改修実施し空中射撃移行するものとされた。 水戸試験場射場では空中射撃試験実施するとされた。弾薬39発を使用し装薬量を1.1kgから1.46kgまで順次増量する。的は布板的を使用平射撃、緩降下射撃を行う予定であった。ほか、海上平射撃、布板的射撃、吹流的射撃が想定され射法には後方攻撃、前下方攻撃予定された。この試験では砲架機体強度装置への振動状況照準弾薬装填難易、砲の機能命中精度確認するものとされた。 使用機材は「キ一〇九」第1号機で、前方固定装置完備状態だった。目標機は「キ四十三」一型とされた。搭載する八八式七糎野戦高射砲は脚、匡照準器、歯弧板を除去したのである弾薬100発を使用する。ほか、使用機材は以下が用いられる予定だった。 10m布板的 2個 吹流(10m) 6個 三式急降下爆撃照準機 1器 その他試験機一式 自動貨車1輌 1945年昭和20年1月10日第一陸軍技術研究所では「キ一〇九」搭載砲用内トウ竣工試験計画立てた日程1月25日から29日、場所は大阪陸軍造兵廠および大津川射場である。内トウ砲の諸元測定機能試験射撃試験、射後検査を行う予定であった数量は2門、母砲として八八式七糎野戦高射砲使用し弾薬九四式三十七粍砲と同じものであった。 内トウ砲とは、砲身内部に母砲より口径小さ専用の砲を装着し弾丸射撃して訓練用い装備である。これは訓練時に大口径の弾薬用いると高額であることや、使用できる射場限られることから、より低廉かつ低威力小口径の弾薬代用するためのものだった

※この「航空機搭載のための改修と試験」の解説は、「ホ501」の解説の一部です。
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