統帥権干犯問題
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1930年(昭和5年)、第58帝国議会のロンドン海軍軍縮条約の批准をめぐる論議では軍縮問題を内閣が云々することは天皇の統帥権の干犯に当たるとして犬養毅総裁とともに濱口内閣を攻撃、濱口首相狙撃事件の遠因となった。 また、この時期の政友会は田中義一及び犬養の後任の鈴木喜三郎両総裁の下でリベラル派が屈服させられて右派・親軍派が主導的になっていったとする見解もあり、この説を採用するならば、義兄・鈴木の入党を田中に仲介したとされている鳩山が結果的にはこうした動きに加担してしまったことになる。 さらに第2次若槻内閣末期には山本悌二郎、森恪らと共に陸軍首脳であった永田鉄山、今村均、東條英機らに倒閣を持ちかけるといった、議会人としては極めて問題のある行動にも及んでいた。 こうした行動は戦後になってGHQから「軍部の台頭に協力した軍国主義者」として追及され、公職追放の一因となった。 統帥権干犯論は議会の軍に対するコントロールを弱める結果となり、これを根拠として軍部が政府決定や方針を無視して暴走し始め、以後、政府はそれを止める手段を失うことになって行く。
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統帥権干犯問題
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1930年、先の選挙に大敗北した犬養を総裁とする立憲政友会は、ロンドン軍縮条約を攻撃した。 政友会総裁は、「艦種の選択力量の決定は作戦計画に成りまったく専門的知識を俟つべきものである。 然して専門家の説を徴するにこれでは国防危険なりとの定論である。 果して然らば国家安危の係るところで、真に憂慮に堪えぬのである」と演説した。 この「専門家の意見」は海軍軍令部の意見であった。 このとき政友会はロンドン軍縮条約に不満の軍令部と通じて、財部彪海軍大臣を窮地に陥れて浜口内閣を倒閣しようとしていた。 政友会のこの野心を見抜いていた海軍軍令部長・加藤寛治大将、軍令部次長・末次信正らの軍令部首脳は、政友会を利用して批准を遮ろうとした。彼らは海軍軍縮会議からの脱退を目論んでいた。 これに対し浜口雄幸首相は、軍部の硬化を顧慮して正面から対決せず、手続き論で乗り切ろうとした。 しかし、議会のこの統帥権論議は「尽忠精神」に燃える海軍軍人に強い衝撃を与えた。 その下地にはワシントン軍縮条約など国内外による軍縮への反撥があった。 陸軍もまた大正十四年、宇垣一成陸軍大臣(第一次加藤高明内閣)の下で四個師団を廃し、2,000人あまりの将校が馘首された苦い経験があったため、海軍の態度に同調した(宇垣軍縮)。 上記のように第58帝国議会の論争で、政友会は軍部の主張を容認するかのような立場から、浜口内閣にゆさぶりをかけた。犬養は政友会総裁として代表質問に立ち、軍令部が反対する兵力量では国民は安心できないと政府に詰めよった。総務の鳩山一郎は、政府が軍令部長の意見に反し、またはこれを無視して回訓を決定したのは統帥権干犯のおそれがあると政府を非難・追及した。日露戦争以来、軍部は統帥権の独立を盾に、議会の統制を極力無視し、 軍の思うがままに国政を左右しようとする衝動を絶えず持っていた。 犬養は必ずしも反軍的な政治家ではなかったが、古参の政党政治家として軍縮等を主張してきた。その彼がこの軍の非立憲主義的衝動を知らないはずはなく、兵力量の決定という最も重要な国務を内閣の所管外であるかのように説いたのは、政党政治家の自殺行為に等しいものだった。この点、当初から親軍であった鳩山一郎や森恪が統帥権干犯を主張するのとは異なる重みがあった。 実際に、自らが首相になって軍縮をしようとした約2年後の1932年の五・一五事件で統帥権独立を呼号する軍部によって、その生命を絶たれたのは歴史の皮肉だった。
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統帥権干犯問題
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統帥権干犯問題とは、明治憲法の第11条(もしくは第12条)の権能が、軍令事項(国務大臣の輔弼が必要でない軍令的専権事項)なのか軍政事項なのか、それとも両者を含むものなのかという解釈をめぐって争われた問題である。1930年(昭和5年)のロンドン海軍条約の批准をめぐり問題が表面化した。
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