統制派による青年将校への抑圧とは? わかりやすく解説

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統制派による青年将校への抑圧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:22 UTC 版)

二・二六事件」の記事における「統制派による青年将校への抑圧」の解説

統制派エリート幕僚たちは、第一次世界大戦国家総力戦教訓から、今後戦争は、単に軍隊だけが行うものではなく国家総力傾注せねば勝てず、そのためには国家全力戦争総動員する体制総動員体制)が必要と考えた。したがって統制派志向する国家改造とは、総力戦可能にするために、軍部国家全般指導できるようにするための国家体制改造である。 この統制派将校グループとしては、1918年大正7年)頃から永田鉄山小畑敏四郎岡村寧次東条英機による二葉会があり、1926年昭和元年)頃からは陸軍長州閥を打倒して総力戦への体制を整えることの2点大きな目標とした。 また、1927年昭和2年)頃から、鈴木貞一中心とする木曜会形成され満蒙問題解決について議論していた。 二葉会と木曜会は、1929年昭和4年)に統合され一夕会改称した。ここで掲げられ目標は、①人事の刷新具体的に宇垣閥追放し一夕会メンバーを主要ポスト就かせること。②満蒙問題解決具体的には機を見て武力占領すること、などであったまた、これとは別に1930年昭和5年)には、橋本欣五郎中心とする陸大エリート日本の軍事国家化と翼賛議会体制への国家改造目指し桜会結成した桜会は、1931年昭和6年3月三月事件同年10月十月事件二度わたってクーデター計画立てたが、いずれも未遂終わった計画の段階では青年将校たちにも参加するよう誘っていたが、青年将校たちには橋本自身権勢欲のためと映ったため、青年将校たちは反発感じて参加しなかった。 青年将校たち自身クーデターを含む構想持っていながら別のクーデター計画立てた橋本一派を嫌悪する点は一見理解しづらいが、青年将校たちは自分たちが政権を担うつもりはなく、蹶起後の政権作り民主的選挙任せ自分たちはクーデター成功しても、腹を切って陛下股肱を斬ったことを詫びるつもりであった。「失敗もとより死、成功もまた死」という「純粋な動機」からなすべき維新であると考えていた。それに比べて橋本らの行動単なる欧米風の政権奪取にすぎない考えたのである三月事件十月事件事件後、同年12月には荒木貞夫陸相代わり事件首謀者橋本らは左遷された。青年将校らは橋本計画反対していたため、この処断行った荒木陸相(皇道派)を支持した一方統制派はこの荒木陸相人事重用されなかったため、一夕会(統制派)は1934年(昭和9年)になると荒木陸相見切りをつけ、荒木陸相排除動いて林銑十郎陸相就任した陸相の下で、永田鉄山軍務局長迎えられ陸軍省新聞班の名で「国防の本義と其強化の提唱」(いわゆる陸軍パンフレット」)が発表された。ここで示され統制派目指す国家改造軍部主導総動員国家統制国家樹立する方向性であったが、国防のためにも国民全体生活基盤安定が必要との観点から、「国民一部のみが経済上の利益特に不労所得享有し、国民大部塗炭の苦しみ嘗め、延ては階級的対立生ず如き事実ありとせば一般国策上は勿論国防上の見地よりして看過し得ざる問題である」と論じ、「窮迫せる農村救済せんが為めには、社会政策的対策固より緊要であるが、(中略経済機構改善人口問題解決等根本的の対策を講ずることが必要」とした。これはまた「国家改造陸軍省参謀本部がやるから青年将校おとなしくしておれ」というメッセージでもあった。 しかしながら青年将校考え国家改造とは、「君側の奸倒して天皇中心国家とする」ということであり、軍部中心国家とすることを求めるものではなかった。統制派青年将校国家改造求めてはいたが、両者国家改造方向性異なのであるこのため陸軍中央幕僚統制派)は、青年将校たちの動き危険思想判断し長期渡り憲兵青年将校動向監視させていた。 また、永田鉄山皇道派追放併せて先に三月事件十月事件の件で左遷され橋本欣五郎長勇ら清軍派(旧桜会メンバー復活図った青年将校たちは統制派対す不信感を更に強めたクーデター計画した橋本らを処断しないことは、軍紀を乱すばかりでなく、天皇対す欺瞞であり不忠であり、その意味では統制派も「君側の奸」の一種映ったからである(青年将校らは自らのクーデターで自らが処断されることは覚悟していた)。 中央幕僚らは目障りになってきた隊付青年将校圧迫加えようになった

※この「統制派による青年将校への抑圧」の解説は、「二・二六事件」の解説の一部です。
「統制派による青年将校への抑圧」を含む「二・二六事件」の記事については、「二・二六事件」の概要を参照ください。

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