第一章 関口さとみ編
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「東京ラブストーリー」の記事における「第一章 関口さとみ編」の解説
永尾完治は愛媛から上京し、東京の広告代理店に就職していた。職場では上司の和賀夏樹にイヤミを言われ、同僚の帰国子女赤名リカには「カンチ」と呼ばれてからかわれて振り回される日々。リカには和賀と交際しているという噂が立っていた。そんなとき、完治は幼馴染で都内の私立医科大に通う三上健一と再会する。三上は完治を無二の親友と呼ぶが、地元の名士で資産家の息子で垢抜けた軽い性格の三上に完治は強いコンプレックスを抱いていた。三上は東京での生活にすっかり馴染んでおり、完治が高校時代から片思いする関口さとみを呼び出そうとするが不在。完治はBarで知り合った行きずりの女性二人組をナンパする。それぞれカップルとなり女性をホテルに誘ったものの相手の女性は酔って体調を崩す。彼女を部屋に残して帰ろうとしたが支払いの際に財布がないことに気づいた完治は偶然鉢合わせたリカから金を借りる。「置いてきぼりにされた女の気持ちがわかる?」というリカの言葉が胸に刺さった完治は部屋に戻り女性を介抱。彼女も福島から上京し、「東京の女」ぶってナンパに応じたものの故郷に恋人を残していた。完治は朝までとりとめもない話をして女性を慰める。「東京にコンプレックスを感じているのは自分だけではない」ということにすがすがしさと勇気を得た完治だったが、リカに大きな借りを作ってしまう。 後日、金を返した完治だがリカに付きまとわれるようになる。そんなリカに完治は同級生の田々井アズサを重ねる。和賀に誘われた席で政財界の大物と対面した完治は和賀が完治の思う以上の「やり手」であることと、そんな和賀に自分が高く買われていることをまざまざと知る。帰りのタクシーで話題がリカに及び、和賀がリカの自由奔放さに魅力を感じていることを知るが、完治はリカがアズサに似ており、アズサが自殺したことを打ち明ける。和賀と別れた後、自宅前のアパートでリカが待ち伏せしていた。部屋に入ると電話が鳴っており、それは三上とさとみからの誘いだった。リカは強引に同行し、4人は初めて顔を合わせる。だが、さとみは保母の仕事を理由に早々に帰宅。完治と三上はカラオケに夢中のリカを置いて三上の部屋で飲み直すことにしたが、女癖の悪さが祟り三上の部屋は占拠されており、やむなく二人は完治のアパートに向かうことになる。三上もまたリカがアズサに似ていると感じていた。そして、三上は大嫌いな故郷で認めていたのは完治とさとみの二人だけだったと語る。その後、激怒したリカがアパートに襲来し、完治はパニックを起こしたリカを宥める。そんな完治に、三上はさとみの連絡先を置いていく。 日曜日に完治はさとみをデートに誘う。その日は父親参観日と言われ、完治は嘘をつかれていると思ったが事実だった。仕事を終えたさとみと公園に行くが、そこでさとみの職場の教え子家族と鉢合わせてしまう。デートは散々だったが、さとみから上京の理由が実家が経営するラブホテルについて誰も知らないからだと打ち明けられる。良い雰囲気になりかけたが、アパート前で待ち伏せしていたリカのせいでさとみは帰ってしまう。後日、完治の職場に故郷から研修で上京中の親友青木が訪ねてきていた。かつて完治は青木に頼んでさとみの真意を確かめて貰ったことがあり、さとみは完治について「いい人だけど・・・」と口にしていた。さとみは実家の商売もあって潔癖で身持ちが堅かった。完治は三上に頼んでフランス料理店を紹介して貰い、さとみとデートに行くことになるが、さとみから同僚の北川も一緒でいいかと言われる。北川たちは男っ気のないさとみを賭のネタにしていた。会話が弾む中、三上が現れる。予約人数を変更したことが気になって様子を見に来たのだった。三上は完治とさとみを邪魔しまいと、北川を相手に軽口を叩くがそれを見たさとみが動揺。北川を口説こうとする三上にさとみは激昂する。場所を変えたBarで完治はさとみに交際して欲しいと告げるが、さとみは回答を保留。やがて泥酔した北川はさとみに「本当は三上くんを誰かに取られたくないんでしょう?」とぶちまける。三上は硬直し、さとみは戸惑う。そのことで完治はさとみの真意に気づいてしまう。 後日、北川の伝言を伝えるためさとみは三上に会う。その際に、三上から真顔で「完治に友達でいましょうとだけは言うな」と釘を刺され、「俺たちの中で一番ひどい人間は実は自分なんだって思わない」と言われ、さとみは泣いてしまう。一方、完治に呼び出されたさとみはその場で交際して欲しいという言葉を撤回され、「これからも友達でいよう」と言われる。別れ際に完治から「俺じゃダメなんだろ」と言われたさとみは胸が締め付けられる。一方、三上は交際中の女性からさとみをけなされて激怒する。北川と部屋で話をしていたさとみの所に青木から連絡が入る。東京への転勤が決まり、案内して欲しいという話だった。さとみは青木に完治を連れてくるよう告げる。水族館を楽しみ、その後、三人は食事する。青木は完治とさとみが良い雰囲気でもう少しで恋人同士だと評する。駅で別れる際に完治は青木に先に部屋に帰るよう促し、さとみを送っていく。駅に着いた途端、完治は「もう会わない方がお互いのためだと思う」と言って去っていく。自宅に帰ると三上から「愛しているからやらせろ」と何度も電話が入る。後日、さとみに三上の母親から電話が入り実家からの差し入れを届けるよう頼まれ、三上が実家と不仲で勘当同然であることを知る。一方、三上は大学内で孤立していた。出席日数が足りず、周囲からも浮いていた。大病院の令嬢で優等生の長崎尚子も三上を毛嫌いするが、誰にもノートを貸して貰えない三上に黙ってノートを置いていく。さとみは完治を頼ることも出来ず三上に差し入れを届ける。そこには伊達男が台無しで眼鏡をかけ髭面の三上がいた。既に学費が納入済みで留年が出来ない三上は試験勉強に追われていた。三上はお裾分けをあげるからとさとみを部屋に招き入れる。三上は国立医大に進学出来るほどの優等生だったがわざと金のかかる私立を選んでいた。それも尊大な父親に金を遣わせたかったからで、東京に来たかったから来たのではなく故郷に帰りたくないからだった。そんな三上にさとみは自分の事情を重ねる。さとみは地元の銘菓「一六タルト」の中に隠された母親からの手紙に「大好きな関口さんに頼んであげます」の一言を見てしまう。高校時代からさとみに片思いを続けていたのは完治だけでなく三上もだった。三上は「愛しているずっと前から」と言ってさとみにキスをする。 渋谷で仕事をしていた完治とリカは女連れの三上とばったり出会う。その際、三上が差していた安物のビニール傘がさとみとの別れ際に渡したものではないかと完治は疑う。一方、ベッドインしかけた三上とさとみだったが、行為の前にさとみは出て行ってしまう。ところが三上の父親が倒れたが三上に連絡がつかないため、さとみの許に連絡が届いていた。さとみは三上の許を足繁く訪ねる。山ごもりしていた三上がようやく帰宅し連絡をしてみると、帰る必要はないという回答だった。三上の父親は実の息子を勘当し、甥っ子を養子にしていた。「俺にはお前が必要なんだ」と言う三上をさとみは受け入れ、二人は同棲をはじめる。一方、完治は和賀と飲みに入った店で三上の連れていた女性を目にする。三上のマンションを訪ねた完治は三上とさとみが同棲を始めたことを知る。その後、三上を呼び出した完治は三上が遊び半分で連れ歩いていた女性が三上との交際を真剣に考えており、玉の輿に乗れると有頂天だった様子を語る。そして、女遊びがやめられないなら絶交すると宣言する。 完治はさとみへの失恋のショックが痛手となって仕事も手に着かない状態となっていた。一方、リカは別人の如く仕事にやる気を見せる。沈み込む完治をリカが励まし、重大な接待の席でも完治は失態を繰り返すが、セクハラを受け流したリカのお陰で救われる。「ねぇ、セックスしよう」というリカの一言から二人の関係は始まった。
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