神戸の新教育課程論とは? わかりやすく解説

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神戸の新教育課程論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:46 UTC 版)

神戸伊三郎」の記事における「神戸の新教育課程論」の解説

神戸1922年初めて「新学課程」を公にした。彼は『学習本位 理科の新指導法』の中で「新学課程提案」として次のように書いた。 私は次の段階提案する第一段 疑問……問題構成 第二段 仮定……結論予想 第三段 計画……解決方法工夫 第四段 遂行……観察実験考察解決 第五段 批判……検証発表討議 ヘルバルト派の五段階教授法が、諸事実の提示から始まり、それらを比較して総括する、つまり帰納することによって概念法則達するというのと違って神戸の五段階最初に問題次にその結論予想がおかれ、計画・実験検証へ進むものである。これは及川平治学習過程論を受け継ぎそれを定式化したものであった第一段問題構成は「児童作れ疑問を、教師指導のもとに共同的に選題せしめて児童各個解決に委(まか)す」というものである第二段神戸がもっと重要視した段で、「予想立てる必要」を神戸主張している。 いかなる活動にも目的なければならぬ。…ただ漫然と実験し観察することは科学的活動本義ではない。…何者その分析の方向指示するところの目的意識なくてはならぬ。…「こうではあるまいか」という予想生まれたときに、探求動機確立する仕事対する熱心もこれによって発動する。…予想ひらめいたときに問題内容明瞭になり、学習動機活動始めるものである神戸は、 見たまえ、〈実験観察虚心坦懐なるべし〉という言葉を。多く理科教授法書物中には何ら考察めぐらすことなしに、翻訳そのままに、ほとんど機械的に実験観察上の一大注意要件として、この箇条麗々しく掲げておきます。 と批判している。神戸帰納法批判してこうも書いている。 フランシス・ベーコン一般に帰納論理創設者として知られ近世学術研究法先鞭をつけ、もって自然科学基礎開いた科学恩人でありますベーコンは「およそ学問研究多く事実経験することに出発ししかして漸次これらに通ず法則発見する至るところ帰納法によらねばならぬと言われている。これだけであるなら名言で、まことにけっこうなことです。 …また(ベーコンは)こう言っています「中世学者採用するところの真理発見方法は、自然を予断するものであって、これがそもそも誤った研究方法である」と。…すなわちその予断を誤らしめるところの、先入の見というのは、…それは妄想であって真理探究の上に害をなすものとしているのです。帰納法一般解釈もこれと同様なものです。 …先入の見を無くせとは「ものを見るときは何も考えてはいけない」というのと同様でありますこれでは理科能力伸びる道理がありません。されば、ベーコンが自然を予断することを、真理発見方法を誤るとしたのが謬見で、かえってこの予想発動奨励するのが、我々学習者指導者大切な務めである。 第三段は、「児童独自に問題解決方法工夫し独力をもって計画立てて学習進めところに真の科学的精神そういうくふうの精神存する第四段は、一歩一歩観察次々に起こる実験変化学習帳記録し留めさせることが勧められる神戸はさらに従来帰納主義誤り指摘し、「実験結果予想通りであったとしても、ただ一回実験観察結果確定することは決し最良研究態度ではない」として、「最後の段にいたって収得したる知識をさらに形式改め演繹的に発表させる」ことが必要だ述べた第五段では、クラス共通の問題各個人が実験考察勧めることを基本としている。そこで最後段階には発表討議がくる。神戸討議について、「児童社交的暗示性を利用して他人研究参考とすることができる」「児童優勝本能利用することになるから、個人的学習白熱的全心的に進行する」「この場合における劣等生は、たとい発言者立場になくとも単なる聴従者ではない。討議場における一員である。沈黙中にあっても、力相当の判断をもってこれに臨んでいる」としている。 さらに、「討議における教師役割は単に議長立場にあるのが良い。彼らに干渉することなく公平な議長態度を保つがよい」として、個人中心考えがはっきり確保されている。 神戸新学課程効果として、子どもたちを「全心的・白熱的」にし、「独創くふうの力」を養い、「人生無上幸福感」を抱かせるだけでなく、「実に人を作るの道」になるとしている。 「仮説実験的認識論」も参照科学的認識の成立条件」も参照

※この「神戸の新教育課程論」の解説は、「神戸伊三郎」の解説の一部です。
「神戸の新教育課程論」を含む「神戸伊三郎」の記事については、「神戸伊三郎」の概要を参照ください。

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